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悪役令嬢が四つ子だなんて聞いてません!  作者: 青杜六九
学院編 1 魔力測定で危機一髪
134/616

12 悪役令嬢の作戦会議 3

改変部分になります。

エミリーは魔力が回復していなかったが、本人の希望もあり、四人は作戦会議をすることにした。

「改めて、私達の今の状況と、これからすべきことを整理したいのだけど」

というマリナの呼びかけに三人が応えた。寝る準備をしてベッドに集まった。

「アリッサ、ノートにメモしてくれる?」

「分かった。ちょっと待っててね」

机の引き出しからクリーム色のノートと彫り模様が美しいペンを持ってくる。

「……それ可愛い」

エミリーが目を輝かせた。表情が変わったのは姉妹にしか分からないくらいだ。

「いいでしょ?色違いもあったから、お揃いにする?」

「こら。文具談義は後にしてくれる?」

「ごめん」

「では、始めるわよ」

「オッケー!」


「私達は、ヒロインが攻略対象の誰か一人でも攻略すれば、没落か死ぬか、で間違いないわね。ヒロインのパラメーターが低くても、好感度だけでアウトよね」

「うん。王太子殿下の場合は没落して死ぬか、幽閉されて発狂するかでしょ。アレックスの場合は夫に殺されるかアレックスに殺されるか。やだなー、あいつに殺されるのは」

「ジュリアちゃんは剣を練習してきたもの。簡単にはやっつけられないよね」

「いやあー、勝率は五分五分と言いたいところだけど、最近アレックスに勝てないんだよね」

「レイ様の場合は、服毒自殺させられるか、処刑されちゃう……」

アリッサが涙ぐんだ。

「マシューは魔王エンドしか見てない」

「それも気になるわね。マシューの魔王エンドは、王都が壊滅するんだものね。魔王化する以外のエンディングをエミリーは見ていないんでしょう?」

「そう。見る前に寝落ちした」

「全然ハッピーじゃないから、ええと?」

「エミリーがイベントを拾い忘れて、バッドエンドだった可能性もあるわね」

「全部拾った!」

エミリーが必死に訴える。

「大事なのは、ヒロインと攻略対象が接近すると危険、てことよね」

「殿下なんか、パラメーターが上がれば、近づいただけでイベント発生だからね」

「アイリーンは授業中寝てる。……パラメーターは上がらない」

魔法科の教室でエミリーが見ている限り、アイリーンは睡眠学習派のようだった。

「そうなの?」

「レイ様を攻略するには、テストで上位に入らなきゃだめなのに?」

「運動もしてそうにないよね。アレックスは運動のパラメーターが重要だよ」

四人は「うーん」と唸って黙り込んだ。

「ヒロインの狙いが分からないわ……」

「逆ハーレムじゃないの?魔法科に入ってるし」

「……マシューも戻った」

「狙える要件が整ったわね。攻略対象者にどの程度アクションしてくるか、少し様子を見ましょう」

「大丈夫?気づいた時には手遅れになってたりしない?」

「私も心配だなあ。レイ様とは学年が違うから、ずっと見張ってもいられないもの」

四人も三つの科に分かれて在籍しており、すぐに相談できる環境にはない。ジュリアとエミリーは一人で考えて行動する必要がある。

「必ず夜に報告し合いましょう、ね?」

「了解!」

「……うん」

夜は皆で報告、とアリッサがノートにメモした。


「明日から私達が何をするか、についてよ」

「マリナとアリッサは生徒会活動をするんでしょ」

「ヒロインは生徒会に入るよね?」

「入った方が確実にイベントを狙える……」

「生徒会に入ってないと、レイ様を卒業までに攻略できなくなっちゃうもの」

「一番期間が短いのはレイモンドね。逆に、この一年でレイモンドを攻略できなければ、逆ハーレムにはならないということだわ」

「賢いな、マリナ!」

ジュリアが目をキラキラさせている。

「三年生の教室にいる時以外、レイモンドを一人にしないことね。休み時間は殿下と一緒のことが多いから、放課後を押さえれば……」

「頑張る!」

拳を握りしめてアリッサが気合を入れた。

「ヒロインを生徒会に入れないように、残り一枠を埋めておかなきゃ」

「……キースを応援する」

「キースの他にもう一人よ。誰かいい人知らない?」

マリナの呼びかけに三人は首を振る。

「アレックスも断ったって言ってたよ。放課後は練習する約束だから」

「候補者はアリッサと私で探してみるわ。ジュリアはアレックスに声をかけてみて。エミリーは……」

「……アイリーンの、監視?」

「だよねー。一番近くで見られるもん」

「よろしくね。ヒロインに動きがあったら、また四人で相談しましょう」

うんうんと頷き、視線を合わせて確認し合う。

「よおっし、皆で力を合わせて生き抜こう!……円陣、ほら」

三人が手を重ね、上にジュリアが手を乗せた。

「私、これよく分かんない……」

エミリーがぼそりと呟く。

「絶対に生き残るぞー!おー!」

マリナはタイミングよく「おー」と言い、アリッサとエミリーはやはりワンテンポ遅れてしまったのだった。


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