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悪役令嬢が四つ子だなんて聞いてません!  作者: 青杜六九
学院編 1 魔力測定で危機一髪
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03 悪役令嬢の作戦会議 1

「今日の入学式は、なんつーか、すごかったね」

女子寮の四姉妹の部屋に戻るなり、ジュリアがそう言ってベッドに寝転がった。

「ヒロインがあそこまで悪目立ちをするとはね。ええと、アイリーンだっけ?」

「……アイリーン・シェリンズ」

エミリーが嫌そうに呟く。

「途中で声が聞こえなくなったけど、あれは?」

「私が消した」

「だと思った。エミリーの隣だったもんね」

「煩い」

ピンクの髪のヒロインは入学式ではエミリーの隣に座っていた。彼女は、在校生代表として歓迎の言葉を述べる王太子セドリックを見るなり、「ああーっ!」と絶叫して立ち上がったのである。

「王太子殿下を指さしてたからね。あれはまずいっしょ」

「会場にいた全員に印象づける作戦でしょうけど」

「成功したんじゃないかな」

「礼儀知らずのバカ」

「そうそう、そんな感じだよね」

壇上にいたセドリックは勿論驚き、不快そうに眉を顰めた。ジュリアの隣のアレックスは、儀式用の剣を帯剣していたが、手をかけて立ち上がりそうになった。在校生は後ろに着席していたので見えないが、きっとレイモンドも不快に思ったはずである。


「まさか、こちらの読み通り、ヒロインが魔法科に入学してくるなんてね」

「逆ハーレム狙いとしか思えないねー。こっちも用心しなきゃ」

「単に魔法が好きなだけかも」

「魔法科にはマシューがいないのに、入って損したと思っているんじゃないかしら」

「ざまあみろ」

「悪いけどエミリー、ヒロインの監視をお願いできないかしら」

「面倒くさい」

「そう言わないで?魔法科に攻略対象がいないと分かれば、必ず普通科や剣技科の攻略対象にアプローチをしかけてくるわ。彼女の次の一手を知りたいのよ」

マリナはエミリーの目を見て懇願した。


「ねえねえマリナちゃん」

「何かしら」

「今日、ヒロインと王太子殿下のイベントがある日だったよね。イベントは起きたのかなあ?」

「馬車に轢かれるんだっけ?」

「轢かれたら死ぬ」

「あ。轢かれかけるんだよね、で、どうなのかな」

「殿下は皆さんと歩いて女子寮までいらっしゃったもの。馬車イベントはなかったと思うわ」

「ヒロインの出鼻をくじいたってわけか」

「歩いて行こうって誘ったのはレイ様なんですって。流石はレイ様、何でもお見通しなのよ」

一年半以上会えずにいたレイモンドに会い、アリッサはひたすら幸せに酔っているようだ。

「学園の中で馬車の使用が許されるのは王族だけですもの。皆で行くなら歩くしかないわ」


「ねえ、エミリー。エミリーはキースとつきあってんの?」

「!」

驚いたエミリーがきつい目でジュリアを睨む。

「誰が?」

「いや、うん。違うならいいんだけどさ。今日、剣技科の一年の連中がさ、エミリーのミニスカートの話で盛り上がってて……」

エミリーの顔が険しくなる。

「超可愛いけど、魔法科の一年のキースとつきあってるらしいぜって誰かが言ってて」

「そんな噂になってるの?」

「エミリーちゃん可愛いから、普通科でも皆が噂してたよ?」

「剣技科もそう。マリナは美人だけど王太子妃になるから手が出ないし、アリッサは可愛いけど、新入生代表で挨拶した才媛にはバカばっかりの剣技科じゃあ声もかけられないし、私はこの通り男みたいだし……ってんで、魔法科の神秘的なミニスカ美少女が一番人気に」

「やめて!」

「脚フェチが喜んで……」

「やめてったら!ジュリアだって、脚出してた」

「そうよ。ジュリアちゃんのショートパンツだって、普通科で噂になってたよ」

「ゲームではヒロインは標準の制服を着ていたものね。今日のヒロインは制服を変えていたけれど」

「エミリーちゃんよりスカートが短そうだったね」

「座ると見えるレベル」

入学式で隣に座った彼女の様子を思い出し、エミリーは絶句した。自分やジュリアのようにオーバーニーソックスで覆うわけでもなく、ふくらはぎまでのソックスだった。脚はかなり見えている。

「やりすぎじゃない?」

「男ウケ狙うにしてもさ、こっちの世界じゃ露出しすぎだよね」

「破廉恥」

「レイ様はどう思われたかしら。私のスカート丈も短いほうがいいかしら」

「アリッサはそのままでいいと思うよ?」

「ええ、そうね。レイモンド様は見えそうで見えない方が好きそうだもの」

「ムッツリスケベ」

「何だかひどいこと言われたような気がするんだけど……」

アリッサが拗ねた目で姉妹を見る。


「明日から、いよいよ戦闘開始よ。まずは相手の出方を見ましょう」

「いいねーマリナ。作戦会議っぽい」

「情報共有は必要だもの。私もレイ様から、三年生の状況を聞き出してみるね」

「私は監視」

四人は目を見合わせて頷き、自然に中央で手を重ねた。

「ここからが本番よ。没落しないで、皆で生き延びて幸せになるのよ」

「うわー、部活みたい」

「私帰宅部」

「私もやったことないもん」

「絶対幸せになるぞー!」

「オー!」

ジュリアだけがいいタイミングで叫び、アリッサとエミリーは一瞬遅れてオーと叫んだ。


会話が多くてすみません。

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