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プロローグ
久しぶりに投稿します。今回はかなり短いお話、かつ人を選ぶと思います。興味の無い方はまった面白くないと思いますが、最後まで読んで戴けたらなと。
ーー12月25日 AM0:02 都内某所 雑居ビル屋上
落下防止用の金網を乗り越えビルの縁に立ち、眼下を見据えている1人の男が居る。
「将来は宇宙飛行士になる」が口癖のその男の真意は誰も分からなかった。
……そう、つい数時間前までは。
吹きすさぶ冷たく乾いた風に、バタバタとたなびく真っ赤なトレンチコートを羽織ったその姿は、満月が少し欠けた雲1つ無い月夜に良く映えていた。
「見てろよ……!俺はサンタになる!」
ーージジジジ……
金網のこちら側では不安そうにその一部始終をビデオカメラに収めている、また別の男が居る。
「……本当にやるのか?」
「当たり前だろ。俺を信じろ!」
「お前に世紀の瞬間を見せてやる!」
クリスマスの夜に起こった1つの奇跡……これは、その生涯を自分の夢に捧げた1人の男のある記録である。




