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尼子の野面皮者、伊織之介  作者: 菜尾鹿芽
3/11

未来からの贈り物


お七は馬路(島根県大田市)の村中に細々と漁と農業で生計を立てている五宮郎佐間衞門の5歳になる一人娘で母と、親子3人で小さなボロ屋に暮していました。


ある日、五宮郎佐間衞門が松が鼻岬にサザエ漁に出た時のことです、

体長1メートル位いのベニイカが浅瀬でもがいているのを発見しました、久々の大物です、クワで力ずくですくいあげ肩に担ぎ、約4キロほどの帰路を小躍りで帰っていきました。


これを売れば、しばらくはひもじい思いから抜け出せる、安堵感であふれていました。


家族達が見守るなか、ベニイカをさばいて腹を開けてみると、中から黒い10センチ位いの今まで見たことがない物が出てきました、なにやら点いたり、消えたりしてましたが、気にも留めず水で洗ってその辺りに置いときました。

お七は不思議そうに、その点滅に見入っており、

「おとっつぁん、これお七がもらってもいい?」

「あー、いいとも!」

五宮郎佐間衞門はにっこり笑ってお七に、その黒い物体に紐を通して首に掛けてあげました、

お七は喜んでそこらじゅうを飛び跳ねて喜んでおりました。

「これこれ、床が抜ける、、、、それより早く庄屋さんのところへ、、」

母親が注意しても、お七は聞こえてませんでした。


その3日後

山吹城下、降露坂の戦いで大勝利を上げた尼子軍が意気揚々と帰ってきました。

亀井秀綱を先頭に秀綱隊の家臣が続き、中ほどに晴久がおり、皆満足そうに行進を続けておりました、

なかでもとりわけ、

秋上伊織之助は得意満面で馬上から迎える人々をどうだっ!

って顔で見下ろしていました。


自分の後ろには、毛利家臣の首が三個

馬にぶら下がり、馬の歩調に合わせて音もなくぶつかり合っており、

伊織之助にはその血の匂いさえも、心地良く思っていたと思います。


その道すがら、馬上から伊織之助が、

泣きならふらふら歩いている、少女を発見しました、

馬から降りその少女に膝まづき、目線を合わせ、「どうしたんじゃ?」と尋ねました、

泣きじゃくっていましたが、色白でまつ毛が長く、くりっとした目が印象的な5歳くらいの可愛い娘でした。


「おとっつぁん、おかっつぁんが、、、」

泣きながらその言葉を繰り返すばかりでした、

しばらくして、

「お前名前は?」

「お七、、、」と小さくつぶやきました、


近くの者に事情を聞くと、

毛利の足軽が強奪に各家を回っている時、隠れている所を見つかり両親ともに殺され、小さな隙間に隠れていたお七だけ助かったそうだ、

近くには親戚もなく、身寄りがないため、お侍さんが引き取られたらどうですか?みたいなことを言っていたが、

伊織之助は余計なお世話だと思っていた、


伊織之助はふと、お七が首からぶら下げている物に気づき、触ろうとするとお七は固く拒んできました、


なにやら南蛮渡来の物でありそうだが、点滅していることに非常に興味を惹かれ、直感的に今後の自分の将来において重要な物になるのでは!と感じたのです。

じっくり見たかったのだが行軍の最中でもあったため、しかたなく、お七を馬の後ろに乗せ山吹城下へと向って行きました。


結局、伊織之助はお七を自分の横田山城へ連れて帰ることとなりました。





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