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尼子の野面皮者、伊織之介  作者: 菜尾鹿芽
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エピローグ


元亀2年 1571年8月

伊織之助は富田城にいた。

蒸し暑く風もない静かな夜であった。


尼子の富田城落城から5年が経っていた。


其の間、伊織之助は尼子勝久と山中鹿助率いる尼子再興軍の一員として毛利と戦っていたが、今は毛利方として富田城にいるのであった。


すなわち伊織之助は毛利に寝返ったのである。


城主の毛利元秋と重臣の天野 隆重とで酒盛りの真最中である。


天野 隆重が

「秋上殿、永禄12年の富田城の攻防は愉快であったのう!」

「そうで御座いますな」

「我が方、兵の数300、そちらが2000で鹿助が4000、どう転んでも勝ち目のない戦さを、そなたのお陰でひっくり返してしまったのだからのう!」

「痛快でありましたぞ、元秋殿」

「秋上殿のお陰じゃな、ワッハッハッハ!」


だが伊織之助は静かにしか笑わなかった。

「フッフッフ」


元秋が

「今更であるが何故寝返ったのであるかのう?」


「拙者は亀井秀綱殿の家臣でございます、心底お慕い申してございました、秀綱殿のためなら死も意図みませぬ覚悟でございました。

そして、拙者は産まれ育ったこの地が好きでございます。

けっして尼子義久殿、勝久殿の家臣と思ったことはございませぬ、その秀綱殿が自害されたことで、決心したのでございます。

拙者が生き残る道はどうあるべきかと!」


「うむ、、、」「うむむ、、」



永禄12年 1569年尼子再興軍は富田城奪還に伊織之助を先陣に立たせた。


その頃の再興軍は将に尼子勝久を立て残党6000で小城を次から次へと奪還し勢いに乗っていた。


だが、その伊織之助と天野 隆重とで密約が交わされていたのである。


密約を申し出たのは無論伊織之助である。


まず開城を宣言し、尼子再興軍が城の奥深く入ったところで一気に攻めたてる策である。


無論、開城の宣言を皆に信じこませ、隊を進軍させるのが伊織之助の仕事であった。



その時がきた、虚をつかれ山手から攻め込んでくる毛利軍になす術もなく討たれて逝った再興軍であったのである。


その結果、尼子再興軍は大打撃を受け戦意を失ってしまった。

尼子勝久と山中鹿助率いる尼子再興軍のその後の終焉に向けての最大のターニングポイントとなったのは伊織之助の裏切りであったのです。




ここは、島根県隠岐の島、西ノ島町浦郷の由良湾、いわゆるイカ寄せの浜である。

9月になりイカの大群が押し寄せてきたのであった。


ほとんどはスルメイカや白イカである。


真衣は家族と見物にやってきていた、

真衣達以外にも見物人は結構いた。


遠浅の浜にはおびただしい程のイカが水しぶきをあげながら跳ねていた。


地元民、観光客は奇声を発しながら手掴みでイカを取っていた、辺りはイカの墨で真っ黒になり、人々も同じく真っ黒であった、その様子が面白く真衣達は何度か見物に訪れていたのである。


その時、大きな声が聞こえた、

「ベニイカがいたぞ!」

長さ1メートル体重20キロほどの大きなベニイカであった、男衆3人で担ぎ上げ浜に運び入れた。


誰かが、さばいて振る舞うぞーっと声が聞こえた。


その声の元に見物人がどっと押し寄せてきたのであった。

マグロの解体ショウよろしく、ベニイカの解体ショウが始まったのである。


大きな出刃包丁で解体が始まった、

まだ生きているので魚体は真っ赤である、包丁を入れた所から綺麗な透明な身が現れるのであった。


真衣は解体を見るのが始めてである、

イカがもがき苦しむ様が可哀想に思いちょっとドキドキしていた。


すると、ある所で包丁が動かなくなってしまった、別の方向から切っていくと、そこからなんと!紐が付いた黒い時計が出てきたのであった。


「なんじゃこらゃ!」


その男はタオルで拭きながら

「珍しい物を食ったイカじゃあ、時計を食っとる。」


ふと裏を見ると、

MAIと彫られてあった、

「まいの時計じゃあ」


真衣はびっくりした、思わず手を上げた。

「ま、真衣です!」


「お嬢ちゃんの時計かな〜」

「良かったね〜、帰ってきて」

「うん!」

男はタオルできれいに拭いて真衣に手渡した。


真衣と母親は興奮していた。


「信じられないことがあるんだね!

この時計2年も何処に行ってたかな?

きっと世界一周してきたのでしょう」

「うん!そうだね。」


浜ではイカの大群がより一層水しぶきをあげて飛び跳ねていた。





伊織之助は富田城近くの所領を安堵されお七と共に暮らしていた。


伊織之助32歳、お七18歳である。

すでに男女の関係になっていた、だが夫婦にはなっていない。

毛利からの許しがでないのである。


伊織之助は知っていた毛利の姻戚関係の道具に使われることを。


伊織之助に以前の輝きはすっかりなくなっていた。


秀綱が自害した時に仇を取って自分も死ぬべきだったと四六時中後悔しているのである。


生きてる実感があるのはお七を抱いている時だけだった。


このままではお七とも別れなければならない時が来るかもしれない。

不安で仕方がなかった。


ずっとお七と一緒に居たい、、、、


10月のある日

伊織之助が言った

「お七、横田山城に行くぞ!

山菜を採りに行くのだ。」

「はい!」



その後に伊織之助とお七を見た者はいない。




野面皮者とは。

生意気で図々しい者

習わしや礼儀に抑制されない者

あつかましい偽善者

そして、心優しい者、義に熱い者。



それが秋上伊織之助である。






最後まで読んで頂いて誠にありがとうございました。

未熟な構成、つたない文章でございます。

今後の参考にさせて頂きますので、皆様の御意見を賜わります様よろしくお願いします。







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