由良姫様伝説
ここは、島根県隠岐の島、西ノ島町浦郷の由良湾、九月から二月にかけて何万匹のイカの大群が押し寄せた事から、イカ寄せの浜と呼ばれています。
この湾に面する由良姫神社の祭神・由良姫さまがその昔、桶に乗って日本海を渡って隠岐に向かう途中、
海中から1匹のイカが手を伸ばしお姫様の足に絡みつき悪さをしたため、
イカのボスはそのイカを処罰し、お姫さまに詫びを入れて許してもらったそうです。それ以来、毎年このイカ寄せの浜には、イカの群れが謝罪のために集まって来ると言う伝説があります。
その由良湾の防波堤に小学生の二人の女の子が座り楽しそうに、なにやら話しをしています、
夕方の湾の波は穏やかで、たまに波がチャプチャブ音をたてるのが、余計、会話をはずませているようでした、
この子達の名前は真衣と美羽
いつも学校帰りにこの防波堤に座り、
学校であったこと、テレビのことなど、おしゃべりする普通の小学生二人でした、
三日前が真衣の誕生日で親からの
プレゼントで腕時計の黒いベィビーGを
貰ったのを自慢し、美羽が羨ましそうに眺めていました、
「真衣ちゃん、ちょっと美羽がはめてみてもいい?」
「いいよ!」
デジタル表示が少女の鼓動のように
踊っているのが、興味深かったようです、
真衣が美羽に渡そうとした、瞬間、真衣の小さい手から、時計がこぼれ落ち
海深くゆらゆら沈んでしまいました、
二人はわんわん声をあげて泣きじゃくり、しばらくその海面を見つづけるしかありませんでした、
防波堤の波が小さく波打っていたのは、二人の涙のしずくのせいだったかもしれません、
今の真衣には数年後に時空を旅した、
その時計にまた巡り合えるとは知る由もありませんでした、
この由良湾、数100メートル沖の海底50メートルに小さな(50センチ位の)洞窟があります、
そこは海中生物しか知らない不思議な抜け穴で、その洞窟を抜けると、なんと約400年前の同じ場所へ行けるのです、
今の言葉でタイムトンネルだった訳です、
よく大漁の年、不漁の年と言います、各生き物は天敵を避けるため、この洞窟を利用していたのではと考えます、
ただ海中生物にとって時空の旅という
ファンタジー的なものでなく、
自分の生命を守るための本能で利用していただけと思われます。
そこへ、長さ1メートル体重20キロの
ベニイカ(一般的にはソデイカ)が相方を探してか?
(ベニイカはつがいで行動すると言われてます。)
洞窟を抜け約400年前の山陰沖に出てきました、腹の中には先ほどの、小アジと一緒に吸い込んだ、真衣のベィビーGとともに、、、




