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第8話 月兎の儀式

 その日は朝からいつもと色々違っていた。

 どこかすれ違う奴がみんなそわそわしている。

 まあ意識しない方が無理というものだ。


 朝食は魔力を高めるためという薬膳と、避妊のためという薬酒を朝から飲まされた。

 恐ろしく不味いのに全て食べたかきっちり確認された。


 そんなものを食べさせられたせいか、午前中から変な気分の高まり方をする。

 俺が落ち着かないでいたら、ヨハンに水浴びに誘われたのでついて行くことにした。

 確かに体は洗った方がいい。

 ここ何週間もまともに体を洗った覚えがない。

 そんなことにも気がつかないほど、今日の俺は緊張していた。


 馬を走らせ、町で石けんを買って河まで行く。

 そこには同じ目的であろう奴らが、男ばかり15人くらいいた。

 すぐに服を脱いで、川に入った。


 中には夜への期待のためか男の体に欲情してるのか、陰部を大きくしてる奴までいる。

 しかしみんな見て見ぬふりをしてるので俺もそれに習った。

 きっとそういうものなのだろう。

 日本だって明治までは町の銭湯が混浴だったのだ。

 まだ恥じらいを持って男と女で別れてるだけ、ここの人たちは文明人だ。


 ヨハンがどこからかもってきた繊維質の枯れ木をほぐして、石けんをつけて体中をこすった。

 そのまま髪の毛まで洗う。

 しばらくぶりにに洗ったので石けんの泡が黒ずんでいる。

 俺たちはお互いの背中を流して、少し泳いでから帰った。


 部屋に帰ると、泳いだせいで少しからだが重い。

 昼はまた正露丸の盛り合わせみたいなものをしこたま食わされる。

 息が正露丸くさくなったので歯を磨きたくなった。


 午後もまたヨハンと町に出て、歯磨きと歯磨き粉用のミントが入った塩を買った。

 それで歯磨きをして部屋にもどる。


 しかし部屋にいると女性陣がいるのでやたらと緊張感がある。

 アンナもクリスティーナも態度がよそよそしくて、話しかけても会話が続かない。

 ヨハンはルイスとなにやら話しているので、俺は何もすることがなくなってしまった。


 ベットの上でぼけっとしていたら、川で泳いだ疲れが出たのか寝てしまった。


 次に起きたのは夕食の前だった。

 落ち着かなかったので、ヨハンが呷っていた酒瓶をもらって飲んだ。

 強い酒が胃に落ちて体がカッと熱くなる。

 どんな方法で造られた酒なのかわからないが、やたらと強い。

 こっちに来てからは食事のたびに酒が出るので、ある程度なれていたが、それでもこれは強い。

 酔った感じがしないので喉が焼けるような酒を何度も呷った。


 そしたらアンナが飲みたいと言ったので渡す。

 ガラスの瓶に口をつける仕草がなまめかしい。

 そんなのを見てたら余計に緊張しそうなので目を逸らした。


 夕食に行くと、またおどろおどろしい物が並んでいた。

 口に入れてみると今日一番に刺激が強い。

 いつもは水で薄めたワインしかないのに、今日は強い酒まで並んでいる。


 いつもはうるさい食堂も、今日はみな口数が少なかった。

 食堂が満席なる頃を見計らって、教師が今日のこれからの手順を説明する。

 焦らず落ち着いて、別に特別なことをするわけではないのだからと言うアドバイスもあった。

 何の役にもたちそうにないアドバイスだ。


 俺たちは部屋に戻ると手順通りに今日のために配合された香を焚く。

 そして満月の光が入ってくるようにカーテンを開ける。

 しばらくして廊下からの光が完全になくなった。


 俺とヨハンはアンナに部屋から出るよう命じられた。

 真っ暗な廊下にヨハンと二人きりで、周りからはひそひそ声が聞こえてくる。

 ここにきて俺は不思議と落ち着いていた。


「なんだか緊張してきたよ」


 というヨハンの言葉にそうだなと適当に返した。


 しばらくして部屋の扉が開かれた。


 ランプの光に映し出されたのは、股上くらいまでしかない透け透けのキャミソールのような物の上からガウンを羽織った三人の姿だった。

 同じ物でそろえて、色違いをそれぞれが着ている。

 顔を赤らめてアンナの陰に隠れているクリスティーナがとてもかわいく見えた。

 普段はあまりにも顔が整いすぎていて欲情を感じないほどなのに、今日はぞくぞくするほどそそられる。

 アンナはガウンの前を縛っていないので、下腹部にある茂みがかすかに透けて見えていた。

 その大胆さに頭の芯が熱くなるのを感じる。


 色々な刺激と無理矢理食べさせられた物のせいで意識がぼんやりする。

 どうにも現実感が感じられない。


「それじゃあ、ライトを消すわよ」


 今日は朝からおとなしいクリスティーナが言った。

 満月が雲にかげっているので、ほとんど何も見えなくなった。


 重たい沈黙がしばらく続いて合図の鐘が鳴らされた。


 俺はヨハンのベットを超えてルイスのベットへ向かう。

 酒のせいか薬のせいか恥ずかしいという気持ちはない。

 俺は服を丁寧に全部脱いだ。


 静かにルイスのベッドに体重を乗せる。

 何も見えないので手探りでルイスの体の位置を探る。

 手が触れると予想よりも何倍も熱い体温が伝わってきた。

 どうやらこのキャミソールのような物は脱がないらしい。


「ここへどうぞ」


 ルイスに促されて、俺は足の間に入る。

 そのまま覆い被さるように体を近づけるとルイスの手が俺のモノに触れた。

 そのまま導かれるままに腰を下ろすとずるりとルイスの中に入った。

 何の前触れもない。

 何が起こったのかも一瞬わからなかった。


 滞りなく進むように、今日の夕食には麻酔薬のような物が入っている。

 それでも痛みを感じるのかルイスが少し喘いだ。


 さしたる抵抗もなく俺は挿入までをこなしてしまった。

 しかし動かしかたがわからない。

 もぞもぞしているとルイスからアドバイスをもらった。


「そのまま腰を振るように動かしてください」


 俺はそれに従って動かした。

 なんだか部屋のみんなの意識が集中するなかでこんな事をしていることがおかしい。


 しばらく動かして俺はルイスの中で果てた。

 すぐに引き抜くと、俺のモノをルイスが口に含んだ。

 それだけならまだしもヨハンまで手を伸ばしてきてタオルで俺のモノを拭こうとする。

 ルイスの血がクリスティーナたちに混じらないためなのだろう。

 勘弁してくれと思いながら抵抗していると、もういいよと解放された。


 俺はベッドから降りてクリスティーナのベッドに向かう。

 緊張は興奮に押しやられて、俺はいつになく大胆になっている。

 クリスティーナの息を呑む音が聞こえた。


 俺は彼女の髪に顔を埋めて、その臭いをかいだ。

 ずっとこうしたかった。

 表情がよく見えないことが残念だ。


 俺はガウンの紐を解いて、ももの間に手を滑らせた。

 茂みの感触があり、探るとぬるっとした割れ目に手が触れた。

 俺は我慢できずクリスティーナにキスをした。

 あとで何か言われるかも知れないが、どうでもいいと思えた。


 そしてルイスの時よりも積極的に、クリスティーナの中に自分のモノを入れる。

 クリスティーナは痛みに体をくねらせるが、俺は優しく押さえつけて分け入った。

 腰を動かしながら顔にキスして、首にキスして、肩紐を外して胸にもキスをする。

 顔を近づけると月明かりにぼんやりと乳首が見えた。


 そして熱いものをクリスティーナの中に注いだ。

 引き抜く前にもう一度キスをして離れた。

 何か言われるかとも思ったが何も言われなかった。


 そしてアンナのベットに入る。

 三回目は少しだけ長引いて、アンナには長く痛い思いをさせてしまった。

 本当はあまりいじったりしたらいけないであろう、その大きな胸の感触も味わった。

 そして彼女の中にも俺は注ぎ込んだ。

 その瞬間、強引に顔を引き寄せられてキスをした。

 入ってきた舌に自分のを絡める。

 まじめでおとなしそうな顔をしているのに、彼女の大胆さには何度も驚かされる。


 抜いて起き上がるとすぐそばにクリスティーナがいる。

 いまだに堅さを保っているものが月明かりに照らされ見られてしまった。

 その瞬間クリスティーナのかわいい顔も見えた。


 俺はふらふらと自分のベットに戻った。

 ヨハンとルイスは部屋の中にいない。

 俺はベットの中からクリスティーナとアンナが同じベッドの上でもぞもぞしているのを見ていた。


 次第に体が炎のように熱くなる。

 不快な感じではない。

 その熱さが気持ちいいくらいだ。

 すぐに強い眠気に襲われて、俺は意識を失うように眠りに落ちた。



 翌日は下半身丸出しで寝ているところをクリスティーナに起こされた。


「起きなさいよ。もう朝食の時間よ」


 俺は起き上がっていつもの服に着替える。

 なんだか今日はまるで生まれ変わったみたいに体が軽い。

 俺は開け放たれた窓の外に遠く見える中庭に、ボールのようなものが転がっているのを見つけた。


 なんだか無性に魔法が撃ちたくなる。

 俺は右手に力を溜め突出すと同時に力一杯の魔力を込める。


「いけないっ!」


 ヨハンが叫んだが、それは光魔を放った後だった。

 大きな地響きがして砂埃が舞い上がる。

 ボールどころではなかった。


 中庭ごとなくなっていた。


 熱で地面が燃えている。


「マジかよ」


 魔力の使いすぎによる目眩の中で、俺にはそれしか言えなかった。


 すぐに大騒ぎになったが、ヨハンたちが何も言わなかったので、誰の仕業かはばれることはなかった。


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