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第43話 シンシアの悪巧み

 昼間の特訓でボコボコになった体を引きずり、シンシアの部屋を訪れる。

 最近ではこれが日課になっている。

 新しい武器の設計を一緒に相談するためだ。


 シンシアの部屋は研究道具のようなものであふれている。

 黒い服に、黒い髪で、黒い部屋だ。

 部屋の壁は勝手に黒く塗り替えてしまった。


 部屋に入ってすぐ、俺は最近ちょっと気になっていたことを聞いてみる。


「お前ってもしかしてさ、俺の魔力とかそういうものが目当てで騎士になりたいとか思ってないか?」


「そ、そんなことない。訓練で頭を打たれて馬鹿になっちゃったんじゃないの。それより、このお茶を飲むと頭がよくなるのよ。珍しいお茶だからぜひ飲んでみなさいよ。どんな凡人も天才になるお茶。それを今回だけは特別にわけてあげる。全然怪しくない、すごいお茶でね、最近頭を打たれて馬鹿になってるあなたにはちょうどいいでしょ」


「マジ?」


「ええ、マジよ」


「ちょっと怪しいよな」


「そんなことないわ。何なら私が今飲んでるのと交換してもいいけど」


 ちょっと怪しいが、シンシアも同じお茶を飲んでいるので俺も飲んでみる。

 少し苦いだけで普通のお茶だ。


 それで、いつも通り火薬を使った武器の設計を話し合うのだが、何かおかしい。

 やけにこの根暗少女が色っぽく感じるのだ。

 体をかがめた時に見える胸元から視線が外せない。


「聞いてるの?」


 視線がばれてシンシアに軽くにらまれる。

 その、なぜか赤く染まった顔がやたらかわいく見えてしょうがない。


 なんなんだこれは。

 恋か???


 シンシアの胸と尻のふくらみが気になって話し合いどころではない。

 俺がシンシアの隣に移動したいなと考えていると、シンシアが隣に移動してきた。

 最初は俺の視線を気にしたのかと思ったが、隣にきたら胸元は余計に見えてしまう。


 何を考えているのだろうと、視線を向けるとシンシアと目が合った。

 いやいや、なんでそこで目をつぶるんだ。


「お前、何か盛っただろ」


「えー、何のことかわからないしー」


 絶対に盛ったなと確信する。

 それで無理やり魔力を手に入れておさらばするつもりだ。

 しかも同じものを自分も飲んでいるに違いない。


 それにしても何を飲まされたのだろう。

 興奮剤のようなものではこうはならない。

 魔法のある世界だから惚れ薬みたいなものがあってもおかしくないのか?

 俺の体に現れている作用はまさにそれだ。


 見つめ合っていると動悸がやばい。

 シンシアの目に吸い込まれそうだ。


 というか吸い込まれるようにキスしてしまった。

 そのまま勢いに任せてシンシアのローブを脱がせると、白い肌と二つのふくらみが目に入る。

 眩暈がするほどまぶしい光景だ。


 そこで理性は完全になくなって、結局俺は最後までしてしまった。

 いったい何度キスしたかもわからない。

 何度しても全然満足できない。


 そのままベッドの中で明け方近くまで止まらなかった。


 朝、目を覚ますと顔を赤く染めたシンシアと目が合う。

 まったくおかしいと思っていた。

 どう考えてもシンシアは騎士の従士に志願するようなタイプじゃない。

 やる気も無ければ意気込みも無い。

 世の中すべてを斜めに見てるようなタイプなのだ。


「それで、魔力を手に入れてどうするんだよ。このままどっかにいくのか?」


「その予定だったけれど、どうもそういうわけにもいかないようで、なんだかカズヤから離れたくないの。私を従士にしてくれないかな」


「もう従士だろ。自分で飲んだ薬がまだ抜けてないんじゃないのか」


「薬は抜けたのだけど、なんだか心の中に新しい感情が芽生えてしまって離れたくないの。私としたことが自分の感情もコントロールできなくなってしまった。どうしよう」


 どうしよう、じゃない。

 俺はばかばかしい話に頭がくらくらした。

 自分で飲んだ惚れ薬のせいで、そういう気持ちをはじめて知って取り込まれてしまったのだろう。

 そういう感情も知らないで、そういう薬を使ってしまい、ミイラ取りがミイラになったという話だ。


 自分で飲まなければいいのに、そのほうが魔力がたくさん入るとでも思ったのか。

 俺だって昨日の感情がまだ残っていて非常にもやもやしている。


 それからというものシンシアが俺の後をくっついて回るようになってしまった。

 朝食の時も俺のひざの上から離れようとしない。

 それをクリスティーナたちがさめた目で見ていた。


 朝の会議にも、ジュリアンとの話し合いにもついて来る。

 午後の特訓では俺がかわいそうだとジュリアンに抗議までしている。


「お前はどうやってあんなのをたらし込んだんだ」


 レオナルドは尊敬の入り混じる目で俺を見た。

 俺はなんと答えたらいいのかわからない。


 それにしても、ここまで自制心もなく俺に付きまとう程度で、よくあんな強力な薬をコントロールできると思ったものだ。

 よっぽど自分の自制心に無根拠な自信があったに違いない。


 恥ずかしい話だが、俺の方がシンシアよりもいくらか耐性があったのは、クリスティーナで初恋ってやつを済ませていたからなのかもな。


 訓練の間だけはクリスティーナにシンシアを引き渡して魔法の練習でもさせておいてくれと頼んだ。

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