魔王降臨!
「・・・終わった。」
すでに日は傾き、閉館時刻に近くなっている。朝食の後、醍醐はずっと図書館で過ごしていた。使った本を戻していると、不意に肩を叩かれた
「よう、元気にしてたか?」
「青砥さんっ!?どうゴフッ!」
思わず大きな声を挙げると次の瞬間固いものが頭上に落ちた。
「馬鹿野郎、公共の場で大きな声を出すんじゃねえ。」
悶絶しながら見上げると、分厚い「全世界の食用キノコ図鑑」を片手に持ったイケメンがいた。公共の場で大声を出すのが悪いんなら公共の物による暴力は悪くないってのか!
「思ったより元気そうだな。」
にやりと悪役顔で笑うのは青砥幸生―幼馴染の八重の七つ年上の兄貴だ。
「今朝までは寝込んでたんですけど?」
「今までの疲れがどっと出たんやろ。夜行バスやと狭いし揺れっからな。」
誰かさんの落ちたら死んじゃう★崖っぷちコースよりはましなんですけどね!
「―まあ、色々あったんで。」
「まあ、折角久しぶりに会えたんやし、いっちょ今日は旧交を温めようや!」
ガハガハと豪快に笑うと、俺の首をひっつかんで魔王は歩き出した。
「ちょ、ちょっと「なんや、何か不都合でもあんの?」いいえ・・・。」
哀れな子ヒツジは魔王にドナドナされていった。
よいこの皆さんは人の頭を本の角で殴っちゃいけませんよ。