静かな食卓
ちょいシリアス?
「・・・くそっ、八重の野郎。(女だけど。)」
醍醐は現在実家の座敷でぐったりしていた。
(どうして近道が幅数十センチしかない上、下は崖になってんだよ!おまけにクマ出没注意って看板もあったし、近道は近道でも黄泉への近道じゃねえか!)
正確に言えば疲労困憊のあまりぶっ倒れて布団にくるまっていた。
八重との恐怖のドライブの後、実家に帰ってそうそう疲労で醍醐は寝付いてしまった。親達は「長時間バスに揺られて疲れたんだろう。」と言っているが、疲労と言っても安全なバスでの旅と幼馴染によるドキドキ★一歩間違えれば黄泉へと里帰りの旅では精神的恐怖は比べようがない。
「起きて、醍醐さん。ご飯ができたわよ。」
「・・・はい。」
翌朝ようやく立てるようになった俺は起こされた。
食卓に着くと親父が新聞を読んでいた。
「体はもういいのか?」
「・・・ああ。」
静かに朝食が始まる。ほとんど会話らしい会話は無く、食器が触れ合う音だけが聞こえる。
「ごちそうさまでした。」
サッと席を立とうとすると、父が声をかけてきた。
「醍醐、今日はどうする予定だ。」
「図書館でレポートをまとめるつもりだ。」
「遅くなる前に帰ってこいよ。」
返事をせず、さっさと台所から出て行く。
「・・・邪魔なら邪魔と言えよ。」
吐き捨てるような言葉は誰にも聞こえなかった。