短編
本当に短編、マジで短編。
宵闇の静寂の中に、睨み合う二つの影があった。
つはがたいの良い白髪の男、年齢は六十代後半といったところだろう。
もう一つは禍々しい真っ赤なナニか、人型なのだがそれは人ではない。
体長三メートルほどで、特徴的なのは頭に生えている二本の角。
それは[鬼]と呼ばれる妖怪だ。
両者は一歩も動かずに、ただ睨み合っていた。
いや、正確には動く事が出来ないのだ。
動いた瞬間に殺られることが、今までの経験によって理解している。
「………………」
気持ちが悪いほどの沈黙を破ったのは[鬼]だった。
体の大きさからは考えられない程のスピードで白髪の男に迫り拳を振るう。
男はそれを右腕で逸らし、顔めがけて左ストレートを放つ。
しかし[鬼]はそれを体を後ろに反らすことで回避する。
男は追撃しようとするが、[鬼]によって放たれた蹴りを喰らってふっ飛ばされる。
「クッ!」
かろうじて急所は避けたがダメージは大きい。
「っ!」
本能で横に跳ぶ、先程いた場所を[鬼]の拳が抉る。
「勘ハ鈍ッテナイヨウダナ」
鬼は関心したように呟いた。
そして[鬼]の猛攻が始まった。
男は次々と振るわれる拳を回避するが、段々と攻撃を避けることが出来なくなっていく。
「コレデ終ワリダ」
[鬼]が放った渾身の一撃が男を捉える。
男は思いっきり吹っ飛び、数メートル先の木に当たってようやく止まる。
「弱クナッタナ燕月」
燕月と呼ばれた男は力なく返す。
「俺も人間。老いには勝てないんだよ鉄」
そして[鬼]の名は鉄というらしい。
「ソウカ……」
鉄は一瞬だけ悲しそうな表情をしたが、すぐに元に戻った。
「それにしても少しぐらいは手加減してくれてもいいじゃないか」
燕月は腰をさすりながら文句を言う。
「男ノ真剣勝負デ手ヲ抜ク事ハ、鬼トシテノ誇リヲ汚スコトニナル」
「そりゃそうだけどさ〜、俺ももうおじいちゃんなんだぞ」
燕月が立ち上がって服に付いた砂を払ってると、なぜか鉄が難しい顔をしている。
「…………」
「どうした?」
燕月は恐る恐る聞いてみる。
「……ソウイエバ孫ガ産マレタンダッタナ、オメデトウ」
「今更なのかよっ!?、生まれたの三ヶ月前だぞ!?」
なんで今なんだ!とツッコミをいれる。
鉄が申し訳なさそうに言った。
「忘レテタ」
燕月がおもいっきりずっこける。
「ちょ、おまえ……」
あきれている燕月を尻目に、鉄は笑っている。
「燕月」
「ん、なんだ?」
「コウシテ燕月ト話スノハ久シイナ」
「そうか? この前もみんなで会ったばかっりだろ?」
「コンナ風ニ二人ダケデ話シヲスルノハ、出会ッタ時以来ダト思ッテサ」
「そういえばそうだな、三十年前だったよな俺たちが出会ったのは」
「燕月ガオレヲ敵ダト勘違イシテ襲ッテキタンダゾ」
「くははっ、仕方ないだろうあの時は俺も若かったんだからさ」
そして二人は朝まで思い出話に耽った。
「流石ニモウ夜ガ明ケル、帰ッタホウガイイゾ燕月」
「まあそうだな、おやすみ鉄」
「アアオヤスミ」
燕月が去り、周りには静寂が戻ってきた。
「……ヤハリ人ハ脆ク、儚イナ」
鉄 の微かな呟きは森の中へ消えていった。
地平線の先には太陽が顔を出していた、また今日が始まる。
―終わり―
長編のプロット
第三次世界大戦勃発
↓↓
大戦の途中で地球外生命体が襲来
↓↓
各国で対応
↓↓
日本は厳しい状況
↓↓
妖怪が人に協力
↓↓
日本TUEEEE
↓↓
とりあえず地球外生命体を地球から追い出す
↓↓
それからちょくちょく襲来
的なことを考えていたんですが諦めました