行間
俺はふと目を覚ました。
トイレに行きたかったのだ。
ベッドからでる。
それにしても暑い・・・
時刻を調べると午前3時24分。
また中途半端な時間に起きてしまった。
涼介はここ数日夜この時間帯に起きてしまう癖があった。
勉強は毎日少しはするようにしてる。部活もでているからぐっすり寝付けばいいものを・・・俺の体め・・・
窓の外を見ると今日も月が綺麗である。
最初に涼介が異変を感じ取ったのは廊下に出た時だった。
何かがいつもと違う。
その感覚に根拠があるわけでは無かった。要するに直感だ。
まあ、気にしないでおこう
そう思ってトイレに向かおうとしたその時だった。
母親の寝室でゴトッっていう音がした。
「・・・母さん?」
胸騒ぎがした。
母親の寝室に向かった。
ドアの前に立つ。
「母さん、なんかあったの?」
中から返事はない。
また嫌な予感がした。
涼介はドアを勢いよく開けた。
ドアを開いた涼介の目に最初に飛び込んできたのは、母がベットに横たわっている姿だった。
なんだ寝ているだけじゃ・・・
そう思った矢先、涼介は全身の鳥肌がたった。
母さんの胸に何かが刺さっている。
それは紛れもなく包丁だった。
「うわああああああああああああああああああああああああああ!!」
俺は母さんに駆け寄った。
ベッドが朱色に染まっている。
体はまだ温かい。
でも母さんは目は閉じたままである。
血がどんどん流れてくる。
包丁は柄の部分まで刺さっていた。
こういう時はどうすればどうすればどうすればどうすれば・・・・・・・・・・
涼介は完全に冷静さを失っていた。
同時に薄々感じていた。
母さんはもう・・・
これから先のことは全く覚えていない。
この時涼介は救急車を呼ぶという考えさえ思いつかなかった。
梨穂子が隣でワンワン泣いてたっけ・・・・
そういえば・・・・・
窓が空いてて外に誰かいたような・・・・