第四話~屋上~
「ねえねえ起きて!!ねえってば!!」
真穂の声で目が覚めた。
なんだろう、なんか凄い嫌な夢を見ていた気がする。
「授業中こんなに爆睡してる生徒フツーはいないよ~?おかしいって、絶対。これで成績がいいんだからムカつくわよねー」
「よく言うよ。涼介の寝顔を携帯で撮って」
バシッ!!!!
恭弥が思い切り辞書で真穂に殴られた。
「いってえええええええ!!絶対後で涼介に言ってやるからなあああああああ!!」
「そんなことしたら絶対殺すからねええええええ!!」
顔を真っ赤にしながら真穂は辞書で恭弥をポカポカ殴る。
っていうか普通に痛そうだ・・・
「おい、ふざけてないで屋上に行くぞ。腹減ってから早く行こう」
真穂は渋々殴るのをやめる。
俺達は屋上に向かった。
屋上は俺らバドミントン部がいつも昼飯(弁当)を食べる場所である。俺ら以外に人がいることはまずない。
屋上に着くと、先客がいた。
「智恵!!待った~?」
真穂が聞くと
「・・・・少し」
とその先客は答えた。
この先客の名前は智恵。同じバドミントン部の一員だ。クラスが違うために、こうして昼飯を屋上でいつも一緒に食べている。
「ゴメンな~。ちょっと真穂の撮影会に付き合ってたら遅れ」
バコーン!!!!
恭弥が吹っ飛んでった。
っていうか真穂はいつも辞書をもっているのか・・・?
昼飯を食いながら、俺たちは他愛もない話をしていた。
「この間行ったコンビニの店員が超可愛かったんだよな~。もうちょいしたら告ろうかな~。」
「・・・・覚えてないと思う」
「そうよー。あんたのこと覚えてるわけないじゃない」
「みんな冷たいな~」
「大丈夫、俺は応援してるぞ恭弥」
いつも通り平和な昼が過ぎていく。
「なんか面白いことないかな~。なんかない、智恵?」
と真穂が聞くと、
智恵はしばらく考え込んだ後、
「・・・・転校生」
と答えた。
「転校生?高3の今頃になって転校生が来たのか?」
俺が尋ねると、智恵はコクリと頷いた。
「この時期に転校生か。確かに妙だな」
「名前はなんていうのよ?」
「・・・・高倉浩平」
あいつか・・・
俺はすぐ思い出した。学園の前の坂であった奴だ。そういえばなんか変な空気をまとっていたな。
俺も人のこと言えた義理じゃないが・・・
「でもそういうことならそいつと仲良くなりたいな~」
と恭弥が言う。
「そうね、その子バドミントン部に入れちゃおうよ。もしイケメンだったら大歓迎だわ!!」
「お前には涼介が」
ドガーーーン!!!!!!
なんか恭弥が吹っ飛んでった。
っていうか本当に死なないだろうな・・・
「で、どんなやつだったの!?浩平君は!?」
と真穂が尋ねると智恵は顔を赤らめながら、
「・・・・イケメンだった」
と言った。
場が凍った