第二話~教室~
教室の扉を開けると、
「せんせーーーーーい!!涼介が遅刻してまーーーーーーーす!!」
真穂の奴うるさいな...
「涼介。成績が良ければ遅刻をしていいわけじゃあないんだぞ。早く席に着きなさい。」
「は~い」
俺はそういって自分の席に座った。
ちなみに俺の成績は学内、いや全国トップである。取りたくてとってしまうんだから困ったものだ。いや、別に困らないが・・・
(ねえねえなんで遅刻したの!?やっぱり勉強?それともこれ?)
小指を立てながら興味津々に聞いてくるこいつは真穂である。学内での成績は2番であり、意外と優秀。こう見えて真穂は俺が心を許せる数少ない友人の1人だ。
(まあ、そんなものだ)
テキトーにあしらって俺は寝ることにする。
(え!!!!!涼介にそんな人いたの!!!嘘でしょ!!!ねえねねねねええええええええ!!)
全くうるさい奴だ。ちなみに俺はバドミントン部の1人である。バドミントン部は今や4人しかいない。しかも全員高校三年生。要するに廃部の危機なのだ。部員は俺と真穂、そして
「せんせーーい!!涼介と真穂がうるさいでーーーす!!」
お調子者の恭弥だ。
なんで俺の周りはこういう奴しかいないんだ・・・
(恭弥の奴、あとでバドミントンでボコボコにしてやる)
「真穂、少し黙ってなさい。」
先生に注意された真穂は「ぐぬぬ...」とふてくされている。
それにしてもやっぱりなんか教室の雰囲気がピリピリしてるな。
期末試験前のシーズンでもあり、受験を控えている高校三年生の今である。考えてみれば当たり前のことなのかもしれない。
涼介の通う高校、最上学園は進学校であり、その実績は確かなものである。日本一難関と言われている大学に毎年100人以上合格している。
だから俺とか真穂、恭弥みたいな空気を読めない人間はどこかみんなから敬遠されている、そんな気が俺はちょっと前からしていた。
実際、俺の遅刻にリアクションを起こす奴なんて真穂と恭弥しか今もいなかった。恭弥はちょっと違うか・・・
バドミントンの活動だって本来はすべきなのではないのだろう。でもみんなとてもは怖いのだ...。バドミントン部がこのままなくなってしまうのではないかって。
実は俺はバドミントンの存続に興味は余りない。ただ、そこで出会った3人の友人、彼ら彼女達だけはずっと大切にしようと思っていた。特にここ最近は本当にそう思う。
だってこの俺がこう思うだけのことが最近起きたんだから・・・
「大切な人」っていうのは失くしたときに本当に大切だと気が付くものだ。
涼介は何時の間にかぐっすりと眠りについていた。