表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

ヲタッキーズ154 北極ナチス詐欺

作者: ヘンリィ

ある日、聖都アキバに発生した"リアルの裂け目"!

異次元人、時空海賊、科学ギャングの侵略が始まる!


秋葉原の危機に立ち上がる美アラサーのスーパーヒロイン。

ヲタクの聖地、秋葉原を逝くスーパーヒロイン達の叙事詩。


ヲトナのジュブナイル第154話「北極ナチス詐欺」。さて、今回は稀代の詐欺師が殺されたら、被害者には北極ナチスや小金持ちに大金持ちが続々現れて…


秋葉原を舞台に騙し、騙され、愛し、愛される愛憎ゲームの果てに、真実の愛にめぐりあうのは誰?そして稀代の詐欺師を詐欺にハメたのは?


お楽しみいただければ幸いです。

第1章 北極ナチスの亡霊


真昼のアキバ。車は、首都高を流れ中央通りで渋滞。ヲタクとインバウンドにビジネスマンが加わって街に溢れかえる。"秋葉原マンハッタン"と呼ばれ、駅前にそびえる高層タワーの谷間にある小学校(アーネンエルベ)では、午後の"体験授業"が始まる。


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


「ハイルピトラー!優良アーリア人種の子弟諸君、静粛に!遊び時間は終わり。自分の席に座るのだ。転ぶな!座ったか?前回のフレチ・ヤツーの北極からの報告を覚えてるか?彼は、グリーンランドから北極点を目指している。マルチバースの彼方"アース1075"において、ナチスは世界征服を成し遂げたが、その際に大本営となった北極要塞"シャッツグレーバー"を探している。彼は、スキーで毎日15km移動しているから、今はこの辺りに到着しているハズだ」


ココは"アース1075"から"リアルの裂け目"を経由し避難して来た難民ナチスの子弟を教育スルための小学校。

実は、自分自身混血で内心アーリア至上主義を忌々しく思ってるジムウ・イーラは北極地図を前に声を張り上げる。


「よし。ビデオ回線が繋がった。フレチ・ヤツーには、みんなの声は聞こえてない。だから、質問はナシだ。わかったか?特にロンメル」


名指しされた翠髪の6才は、ポリポリと頭を掻く。


「ハイルピトラー!やぁみんな!総統命令41号により、我等アーリア人種に勝利をもたらす超古代兵器を探す旅に出ているフレチ・ヤツーだ!」

「ハイルピトラー!フレチさん!」


教室の子供達が一斉に唱和。まるで党大会←


「優良なるアーリア子弟諸君!1時間前から物凄い吹雪だ。風速20mの中でキャンプするには困難が伴う。でも、諸君が集めてくれたお金で丈夫なテントが買えて…おや?」


ライブ配信中に物音。振り向くフレチ。


「北極熊がイタズラしに来たのかな?そういえば昨日スキーで移動してた時、カリブーの群れと遭遇した。赤ちゃんカリブーの角は、ベルベットみたいで可愛いのだ。慌ててカメラを取り出したが…」


ライブ配信をポカンと口を開け見ているキッズ。

画面の中の北極探検家は、ナゼか急に慌てだすw


「何だお前?待て。嘘だろヤメろ。やめルンだ!」


銃声。


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


僕の推しミユリさんがメイド長を務める御屋敷(メイドバー)は遥か眼下に電気街を見下ろす"秋葉原マンハッタン"の最上階にある。


「どうも。スピアはいますか?」


全面ガラスのうららかな日差しを背に浴びながら、目の覚めるようなイケメンが登場。偶然出会した僕は棒立ちになる。


「おかえりなさいませ、御主人様…テリィ様、スピアの新しいバイオリンの先生です。入れてあげて」

「あ、ああ。そーなんだ…オメガ先生は?」

「引退した」


奥からスピアも出て来てイケメンをウットリ見てるw


「彼は…読モか何かやってたの?」

「ジュリアード帰りの天才。なかなか予約が取れないんだからね!」

「天才って…もっとダサくてモサっとしてナイか?」


イケメン敵視。基本的に気に入らない僕。


「こんにちわ。メイド長のミユリです」

「ディラです」

「ディラ。スピアから随分と優秀な方だと伺ってます…まぁ握手も力強くてビックリ」


な、なんとミユリさんも愛想笑い。世も末だw


「ミユリ姉様。センセはお忙しいのょ」

「じゃ早速始めよう。今日は、先ず君の実力がどの程度か見極めたい。レッスンは明日から。OK?」

「OKです。じゃあ奥の部屋で」


スピアは、踊るような足取りで"奥の部屋"へ…


「あ、ソレだったらココでやれば?僕も見たいな、センセのレッスン」

「テリィ様!何を言ってるの?プライバシーが必要です」

「さすがメイド長。芸術に御理解がアル」


何と、頬を赤らめるミユリさんw

絶対オメガセンセの方が良いが…


あ。電話だw


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


「やぁマック。死体は何処?」


馴染みの制服警官に声をかけたが、彼は肩をスボめる。


「え。テリィたんに言ってないの?」

「サプライズだモノ」

「サプライズって?何だょおい」


先に来てたヲタッキーズのエアリとマリレが、何やら不穏な発言をしている。突然、目の前にエスキモー姿の男の動画w


"ハイルピトラー!やぁみんな!総統命令41号により、我等アーリア人種に勝利をもたらす…"


何だコレ?


「北極?万世橋(アキバポリス)の管轄外だろ?」

「テリィたん、黙って見てて。ホラ、誰かが来た」

「テントに影が…ラッパ型の銃口。音波銃だわ」


銃声。画像はひっくり返り…何処かの天井を写し出すw


「スゴいじゃん!いやショッキングな出来事だけど、やっぱりコレ、北極じゃナイょね?」

「どこかのアパートだわ。少し巻き戻して。倒れる途中で何か映ってた…待って。そこ!窓の外ょ」

「東秋葉原のアッパーウェストにありそうな建築だ」


我ながら無責任極まりない発言←


「場所を特定出来るか画像を署に送って。パトロールの警官なら知ってるカモ」

「OK。ラギィ、やっとくわ」

「テリィたん、コレ。持ってて」


エアリは、僕にリモコンを渡し万世橋(アキバポリス)へ。


☆ ☆ ☆ ☆ ☆

 

引き続き高層タワーの谷間にある小学校(アーネンエルベ)


「ジムウ・イーラ先生。万世橋警察署のラギィ警部です。コチラはヲタッキーズCEOのテリィたん」

「え。ヲタッキーズまで出動してるの?しかし、信頼出来る人だと思ってたのに詐欺師だったとは。博士号も持っていたのに」

「フレチさんに最初に会ったのは?」


ジムウ先生は、腕組みして答える。


「数ヶ月前、彼がニューナチス協会へプレゼンテーションに現れた。プレテでは、1ヶ月間1人で北極を探検し、総統が探しておられた超古代の秘密兵器を発見スル企画だと。資金援助の見返りに北極から週に1回動画中継し、ナチス子弟の健全な成長を促す教材とスル」

「資金は?」

「ニューナチス協会と学校で併せて1000万円ぐらい」


結構な額だな。ニューナチスって金持ちだw


「ペミカン買いまくりだな」

「ペミカン?」

「北極探検に欠かせない保存食さ。肉と脂を固めたものでプロテインが豊富。栄養満点。不味そうに聞こえるけどコレが意外に…また今度話すょ」


ラギィから"黙れ"のサインが出るw


「フレチさんに最後に会ったのは?」

「2週間前。キッズの手紙を取りに来た。次の日、北極へ出発だと言ってたのに!」

「あら、電話…はい、ラギィ」


ヲタッキーズのエアリからだ。


「え。現場は神田北乗物町?」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


安アパートの2Fだ。壁に白い布…コレで北極のつもりか?


「警官によると鍵は開いてたそうょ。本人が鍵を開けておいたのか、犯人が鍵を持っていたのかは不明」

「出入りしてた人がいないか、近隣住民に聞き込みをして。あと被害者はリスかもしれないわ」

「失礼。リスって?」


ラギィ警部の解説。


「警察用語ょ。冬に備えて木の実を隠すクセのある人」

「木の実とはつまり?」

「貴重品とか秘密とか。ウソで生活している人は、必ず何かを隠してるから」


なるほど。


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


狭苦しいアパートの部屋にテント。囲むように巨大扇風機、ライト、吹雪に似せた発泡スチロールの粒…そして、死体w


「あの"火星着陸は映画でした"って奴みたいだ!"カプリコーン1"の雪国バージョン?」

「ルイナ。どんな感じ?」

「大口径の音波銃で顔面を1発。顔がグチャグチャ」


鑑識のタブレットからルイナの声。ルイナは秋葉原D.A.(特別区)大統領の補佐官。多忙な中"趣味"で捜査を手伝ってくれる。


「痛そうだな」

「大口径の殺人音波だと何も感じなかったハズょ」

「顔を撃つのは、被害者に相当深い恨みがある証拠ね。だって、顔はその人自身を象徴するモノだから」


ラギィは自分の顔を指差す。意外にアイドル顔w


「詐欺師って恨みを買いそうだな」

「こんな陳腐な"北極セット"で良く騙せたわね」

「だょな。最新技術を駆使してる。我々も見習うべき…こりゃ感心だ。こんな本で北極をリサーチしてたんだな」


分厚い地図帳のような本だ。積もってた"雪"を払う。


「やや?日比谷図書館の本だ。返却する気はサラサラなかったろうな」

「ラギィ。予想通りリスがこんなモンを隠してたわ」

「何冊もアルし」


ビニ手をしたエアリとマリレが証拠品袋入りの冊子を示す。

や?赤、青、黒…様々な国のパスポート?恐らく全部偽造w


「やれやれ。どーやらステヴ・フレチって、どーも本名ではなさそうだなw」

「世界各地で、同時並行で複数の詐欺を働いてる。犯人は、きっと詐欺の被害者ね」

「テントを撃った弾痕から犯人の身長は160から180㎝」


タブレットからルイナの声。


「どうやら小学生ではなさそうだ」

「甘いわ。肩車してるカモ」

「上からコートを羽織ったりして?」


ヲタッキーズと盛り上がるw


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


万世橋(アキバポリス)に捜査本部が立ち上がる。


「パスポートは…え?12ケ国分?」


スマホ片手に呆れるラギィにマグカップのコーヒーを渡す。


「ありがとう」

「読んだ?」

「何を?」

「本さ。新刊だょ」

「何の話?あ、テリィたんの新刊ね?"宇宙女刑事ギャバ子"だっけ?」


全くじれったいなw


「ソレで?」

「未だ読んでナイわ」

「未だって…なんで?」

「ごめんなさい。仕事で時間が取れなくて」


ココは突っかかるトコロだ。


「おいおいおい。1番に読ませて、と言ったのはラギィだぞ。出版社に頼み込んで…発売前だから原稿に警備の傭兵がつくほどの極秘稿なのに読まないなんて!…あ、そーゆーコトか」

「どーゆーコト?」

「僕を嫉妬させようとしても無駄だぞ」


ラギィは、真正面から見据えてクスクス笑う。


「そーかしら。バッチリ効いてるように思うけど…」

「ラギィ!アパートにあったモノを持って来たわょ!」

「OK!ココに置いといて!」


証拠の詰まったコンテナを抱えながら現れるヲタッキーズ。

因みに、彼女達はずっとメイド服。ココはアキバだからね。


「フレチの件、住民に拠ると人の出入りはなかったって」

「博士号もウソだった。ステヴ・フレチと言う博士はいたけど、全くの別人だったわ」

「そのステヴ・フレチは、身長が2mもあった?」

「惜しい。体重140kgのメソポタミア人だった」


またまたヲタッキーズと話が弾む。呆れるラギィ。


「わからない。なぜこんな手の込んだ作業をスルのかしら。準備に何週間もかけてるし」

「理由はゴマンとあるんじゃないか。詐欺師は、詐欺というゲームを楽しんでルンだ。詐欺で得られる快感は麻薬と同じで、クセになる」

「何?薬中の詐欺師なの?」


タブレットからルイナの声。因みに彼女は車椅子。


「大丈夫ょルイナ。テリィたんは、同じ詐欺師としての見解を語っているだけだから」

「学校側から電話で、捜査は内密かつ速やかに、と言ってきたわ。でも、彼は複数の詐欺を同時に働き、世界中に被害者がいる。全てを解明し、犯人を探し出すには、かなり時間が必要ょ」

「そうでもないわ。早速プログラムに反応があった。1年前フレチは、この女性から全財産を騙しとってるわ」


本部のモニターに顔写真入りIDの画像。パティ・シルツ。


「彼女は精神療養センターの常連。ソレも入退院は毎回必ず強制だわ」


ラギィは、モコモコの拘束衣を着たマネをスル。


第2章 陽気な被害者達


万世橋(アキバポリス)の取調室。


「どうも」


ラギィと一緒に入ると金髪の小綺麗な老婆がいる。


「私、サチェのコトで呼ばれたの?彼を殴ったのは、彼がエクササイズしてた私のレオタード姿を覗いたからょ」

「いいえ。サチェ氏ではなく、コチラの件でお呼びしました。この男に見覚えが?ステヴ・フレチ、或いは、ステヴ・マルスと名乗っていたカモ」

「私、逮捕されるの?」


老婆はステヴの画像に敏感に反応w


「なぜ逮捕されると思うの?」

「私が殺したから」

「あ、シルツさん。今、殺人を認めましたね?」


事件はスピード解決か?


「YES。彼を頭の中で殺したわ」

「彼のコトを殺したのは…頭の中?」

「だって、私はテレパスだから。毎日医者の命令で1時間テレパシーを発信スルの。その時、猫のコトを考えるわ。ソレとコイツを殺すコト。ようやく効いたのねフォフォフォ」


ゾッとスル笑い声に顔を見合わせる僕とラギィw


「頭の中で?どうやって殺したの?」

「研磨機」←

「今朝の9時はどこにいましたか?」

「動物病院ょ。パンダのMr.マフィンのコレステロールが高くて…」

「お疲れ様でした!以上です」


荒々しくファイルを閉じ、立ち上がるラギィ。


「待てょラギィ…シルツさん、彼の詐欺の手口は?」

「彼は冷凍学者なの。私と猫達を冷凍保存してくれると言ってた。永遠の生命が開発されたら解凍される契約でした」

「…ソ、ソレを信じたのか?」

「貴方。騙された御経験は?」

「2度"推し変"した」


フト遠い目になるラギィ。


「私が変だから、ダマされたと思った?ソレは違う。私は妄想性人格障害ょ。つまり、あり得ないぐらい疑い深い性格ってコト。だけど、彼といると、不思議と安心出来たの。なのに私の2900万円を奪って消えた。彼なら坊主に墓だって売りつけられるわ」

「ナイスな比喩だ」

「(今度こそw)ご協力ありがとうございました」


写真を取り上げ、立ち上がるラギィ。


「待って。おまわりさん」

「何か?」

「彼の遺体を見たいの」


ラギィ即答。振り向きもせズに。


「絶対ダメ」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


万世橋(アキバポリス)の捜査本部。


「フレチには感心スルな」

「ソレ、冗談でしょ?」

「いや。人としてじゃなくて、僕と同じ物語の作り手(ストーリーテラー)としてさ。しかも、彼は恐ろしく優秀だ」


ラギィは吐き捨てるように逝う。


「少なくとも6人の人の人生を潰したヒルみたいな人ょ」

「しかし、そのヒルはメジャーリーグ級だったわ」

「なぜ?」


ヲタッキーズのエアリが割り込む。


「最近、偽名を使って婚約してるわ。お相手はリィス・フネガ」

「ん?聞き覚えがあるな」

「父親が外神田の大地主で資産は軽く100億円。いわば、彼女は100億円の花嫁ょ」


心の底から驚く。


「もはや尊敬だな」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


外神田の大地主で資産100億円の大富豪フネガ一族は"秋葉原マンハッタン"にある高層タワーのペントハウス在住だ。


「彼は詐欺師なんかじゃないわ!」


令嬢リィスは叫ぶ。


「リィスさん。残念ですけど、ざっと数えても約42件の詐欺の証拠があります」

「ウソょ。そんなの信じないわ!」

「娘は来週末の結婚式を楽しみにしていたのだ」


割って入る大富豪フネガ氏。


「2人が出会ったのはいつ?」

「半年前ょ」

「半年で婚約?かなり急展開ですね」

「2人は一目惚れだったの」


令嬢リィス、その両親に家庭教師?のスーナが加わり無敵w


「彼に不審な点はなかったですか?話に矛盾があったり、借金がバレたりしなかった?」

「彼は、式にかかる莫大な費用を自分で払うと言って譲らなかった。相当な額がかかるハズだったが。ホントに娘の幸せのために生きてる奴だった」

「フネガさん。そうじゃないと詐欺が成立しないからですょ」


一家全員ヤレヤレって感じだ。トドメは涙ぐむ令嬢リィス。


「おまわりさん、私は資産家の娘ょ。お金目当てに近づく男を見抜く力は身に付けてる。でも、ステヴは違った…私自身を愛してくれた」←


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


摩天楼を後にする。ラギィは…怒ってるw


「彼女は、何であんなにウブなの?まだ、彼を信じてる?その婚約者が詐欺師だった証拠が山ほどアルの。ソレでも、私は愛されてたなんて」

「詐欺師は、常にウブな相手を狙うんだ」

「冷酷ょね。愛してると言っておいて、良心の呵責もなしに全財産を奪うんだから」


ラギィのスマホが鳴る。


「はい、ラギィ…了解ありがとう」

「何?」

「指紋がヒットしなかった。フレチ・ヤツーは、依然として正体不明だわ」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


その夜の捜査本部。デリバリーの宅配ピザを摘みながら、ラギィとヲタッキーズのエアリ&マリレとで資料の読み込み。


「うわ。スゴいわ、彼」

「何?」

「ほら。M資金詐欺ってあったでしょ?」

「ふーん犯人の一味だったとか?」

「いや。ダマされるフリして犯人から100万円奪ってる」

「腕がいいんだな」

「彼は犯罪者ょ。褒めないで!」


ピザを食べながらラギィが釘を刺す。


「しかし、余りに見事な詐欺の手口には、先ず脱帽だ。その上、ネーミングセンスも素晴らしい。二日酔いの猫、袋の蓋、ビジョン泥棒…」

「映画みたいね。"catch me if you can"とか」

「私は断然"オーシャンズ11"ね」

「名作なら"ペテン師と詐欺師"…母さん?」

「母さんじゃない!」


2人でシーンを再現するエアリ&マリレ。僕は鼻を擦る(映画の1シーン)


「俺の1番はスティングだな。ラギィは何が好き?」

「嫌いょ」

「スティングはアカデミー賞を7部門も受賞してルンだぜ」

「多過ぎるわ」


ニベもナイ。何か恨みでもあるのかなw


「詐欺映画って、つまるトコロ観客を騙す映画でしょ?何も信じられないんだから、見る価値ないわ」

「だから、面白いんだょ」

「いたいけな瞳には悪影響ょね。キッズからフレチに宛てた手紙を読んだ?"フレチさん!ホッキョクグマはいつ寝るの?""フレチさん!ペンギンはタキシードを着てるの?"…」


マリレが突っ込む。


「ペンギンは南極ょね」

「あのね。マリレ、敵は6才だから。アーリア人種だけど」

「あのね。ラギィ、私は国防軍ょナチスじゃないから」


マリレは1945年、陥落寸前のベルリンからタイムマシンで秋葉原に脱出して来た、いわゆる"タイムナ◯ス"の一派。


「でも、ホントにダマすだけだったら、こんなキッズの手紙に、いちいち返事を描くかな」

「ソレも詐欺ナンでしょ」

「どうかな。お金目当ての詐欺師がキッズ1人1人に返事ナンか描かナイょ」

「みんなカモょね騙されんな」


突然ラギィがベランメェ調になり、全員ドン引き。


「あら、私としたコトが…失礼しました」←

「カモで結構だけど、コイツは侮れないな」

「ラギィ、テリィたんを怒らせた」

「黙れょマリレ」


マリレにペンを投げたら、ナゼかラギィが立ち上がるw


「じゃ後はよろしくね」

「え。もう帰るの?」

「予定がアルの」

「あ。デートだな?」

「違うわ」

「違わない。不幸なお相手は誰?」

「笑える。じゃね」


エアリとマリレの肩を叩いて歩き去るラギィw


「エアリ、ラギィのお相手は誰?」

「知らないわ。ラギィは、知っての通り秘密主義。ってか何でテリィたんが気にスルの?もしかして、元カノに未だ未練がアルとか?」

「え、詐欺映画が嫌いな女に?あり得ナイ。ただ、元カノ会の新しい会長を探さなきゃと思ってさ」←


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


狭い浴室に大小様々なキャンドルを並べ順々に灯して逝く。

"昭和ムード歌謡"を流し足元にハラリとガウンを落とす。


熱い湯を張ったバスタブに右足から入る…


「さてと…ギャバ子が大ピンチだわ」


サイドテーブルに置いた大ぶりのグラスからワインを1口。

伏せてあった本を取り上げて、読みかけのページを開くw


タイトルは"宇宙女刑事ギャバ子"。


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


御屋敷の奥から妙なるバイオリンの音色。


「ミユリさん!レッスンは明日からでは?」

「キャンセルが出たそうで、今日に変更になりました。スピアからお願いしたようです…テリィ様、何してるの?」

「しっ!ミユリさん、静かになったぞ!」


カウンターの中で半ば呆れ顔のミユリさん。


「指導しているのでは?」

「ウソを吹き込まれてる可能性もアル」

「テリィ様。いったいナンの話ですか?」

「もう良い。確かめて来る!」


掴む寸前でドアノブが回転し慌てて手を引っ込める僕w


「そうすると、ブラームスの始まりは上げ弓?」

「YES。そーゆーコトだね…あ、お邪魔してます」

「ディラ、来てたのか!ちょっち絵をかけ直そうかと…」


壁に掛かってる額を手直しスル僕←


「スピアは、才能ありますね。スゴい頑張ってますょ。ソレじゃソティエの練習を忘れずに。来週もブラームスだ」

「わかったわ。おやすみなさいセンセ」

「じゃあね」


ミユリさんもカウンターから手を振る。ケシカラン←


「信用出来ないぞ!」

「え。ナンで?」

「スピア。君は彼の何を知ってる?」


鳩が豆鉄砲を食ったような顔のスピア。


「バイオリンの教え方が上手ってコトは知ってる」

「オメガ先生だって上手だったぞ」

「オメガ先生は、いつも変な飴の匂いがしてた。ねぇテリィたん、何が不満なの?」


スピアは戸惑ってる。根は深いw


「スピアは、未だ理解してないだろうが、人は見た目通りとは限らない。ホントにジュリアードを卒業したか、ナンでわかる?学校に問い合わせたのか?」

「太平洋の向こう岸ょ?」

「卒業証書のコピーを確認したか?」

「ソレは…」

「詐欺の疑いがアル!確認スルまでレッスンは中止だ。クレジットカートに成績表、ウソ発見機にもかけたい」

「待ってょ。何でそんなおかしなコトを言うの?」

「全然おかしくない。な、ミユリさん?」

「お言葉ですがテリィ様、バイオリンのセンセにウソ発見機ですって?完全にパッパラパーです」

「ミユリさんは、メイド長をヤメてもらう」


磨いていたグラスを取り上げる。


「テリィたん!ミユリ姉様に謝って!」

「嫌だ。コレは大人の判断だ!」

「うわ、最悪です」


ミユリさんは、僕からワイングラスを取り返す。


「確認スルまでレッスンは禁止だ!…な、何だょ?」

「ようやく芸術を分かち合えるセンセに巡り逢えたのに、ナゼ台無しに?」

「違うょ。僕は、ただ…おい!」


クルリと背を向けお出掛け…否、御屋敷を飛び出すラギィw


「何で怒るんだ?」

「リアルの理不尽さとアラサーのホルモンバランスです…テリィ様、何してるの?今すぐ追いかけて!」

「ROG!」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


その後、摩天楼が黄昏に染まる頃。捜査本部。


「テリィたん、来たわょ。キックボクササイズの最中に呼び出して何ゴトかしら?」

「事件についてひらめいたのと君が女子同士で闘う姿を想像したら、妙に興奮して」

「あら?別に相手が女性だとは言ってないわ」


え。ますます興奮w


「謎のデートの相手か?」

「あら?もしかして嫉妬?ソレとも私のヒロピンシーンに萌え萌え?」

「僕が嫉妬?フン。もう1つついでにフン。笑えるな」


ココで必殺技の"上目遣い"を出すラギィw


「もし、私のデートの相手がテリィたんの本だとしたら?」

「え。マジかょ?光栄だ…」

「ウッソぴょーん!ヘーンだ!ちょろいモンね。ソレで何がヒラメいたのか早く教えてょ」


意味不な晴れやか顔で僕に迫るw


「実は、スピアのコトが心配で、バイオリンの先生を調査した方が良いと思ったンだ。だってホラ、もし元カノ会の会長が詐欺師と結婚したら、僕だって殺人も犯しかねない。ラギィだって困るだろ?」


ところが、ラギィは急にシラケた様子w


「あら。全然」

「そかな」

「そでしょ」

「スゴい?」

「何が?」

「天才だろ?」

「浅いわ」


現場から戻ったヲタッキーズが不思議そうな顔をしてるw


「もしかして…お邪魔かしら?…テリィたんが大富豪フネガ氏の音波銃の登録情報を見ろと言うから調べたンだけどビンゴ!凶器と同口径Hzの音波銃を持ってた」

「誰が?」

「だから、父親のフネガ氏」

「それマジかょ?!」


ラギィのベランメェ調が飛び出す。全員ドン引きw


「口が悪いぞ。さっさと着替えて来い。逝くぞ!」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


再び摩天楼のペントハウス。


「もう何年間も仕舞ったママだ」


大富豪フネガ氏は、白い手袋で銀色の音波銃を木箱から取り出す。鮮やかな青トレーナーに青シャツを上品に合わせる。


「この木箱の暗証番号は誰が知ってますか?」

「私だけだ」


音波銃の匂いを嗅ぐラギィ。


「発砲も手入れもされてない。一応お預かりしてラボで検査させてください」

「わかった」


ラギィは、音波銃を木箱にしまって蓋を閉める。


「フネガさん。不思議に思うんだけど、未来の義理の息子を何で調査しないの?彼の素性を疑った事は無いの?」

「もちろんアル。彼は詐欺師だ」


僕とラギィは顔を見合わせる。


「2週間前、仕事で使ってる軍事探偵に調べてもらった。念のためと思ったまでだが、やはりステヴが詐欺師だとわかった時はショックだった。そして激しい怒りが込み上げた」


フネガ氏は、僕達を奥のソファに誘う。


「奴を追求した。リィスに話をして式を中止スルと言った。すると、彼はやめてくれと懇願してきた。奴はリィスにベタ惚れで、何としてでも結婚したいとね。私は、もちろん信じなかった。ただ、彼はもう詐欺師は廃業スル。足を洗うと。ただ旧ナチスの北極ベース探索だけは、マルチバースから命からがら避難して来たナチスキッズをガッカリさせたくないからと続けていた」

「フネガさん。彼は詐欺師。プロのウソつきですょ」

「無論ソレはわかってる。だが、彼は婚前契約にも同意スルと言って来た。私の財産は一銭も渡さないと言う契約書を私が作れば、ソレにサインするとまで言って来た。金儲けのために生きて来た彼が、この秋葉原で大切な真実と出会ったのだ。ソレは"愛"だ」


頭を抱えるラギィ。遠い目になる僕。


「で、ソレを信じたの?」

「信じた。だから、誰にも話してない。君達が来た時に話すべきだったが、リィスがいたから話せなかった」

「…フネガさんが雇った軍事探偵は写真を撮りましたか?」


万事ヨドミなく答えるフネガ氏。


「モチロンだ。1週間尾行したからね。見られるといけないから、証拠の類は軍事探偵が事務所で保管してる。この家にはナイ」

「…ラギィ、何を考えてる?」

「何か手がかりが写ってないかなと思って」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


昼下がりの昭和通り。僕とラギィは軍事探偵事務所へ急ぐ。


「フレチが富豪のフネガ氏に語ったのは真実かな」

「詐欺師が改心だなんて、それ自体が詐欺ょ」

「おいおい、救われないな。人は変われるだろう?」


何となく責められてる気がして抗弁口調←


「いいえ。秋葉原じゃ2度と"推し変"しないと約束したTO(トップヲタク)が実はDD(誰でも大好き)だったナンてしょっちゅうだモノ」

「希望のない現場だな」

「違う。コレが地下の現実(リアル)なの」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


軍事探偵事務所。探偵はデスクに肩肘ついて話す。


依頼人(クライアント)から話は聞いてる。捜査に全面的に協力スルょ。フレチのコトは、昼も夜も監視した。ウチは軍事探偵が本業だからスパイ衛星も使った。奴の化けの皮は簡単に剥がれた」

「おっと!」

「え。何?」


衛星写真を見せる。


「顔馴染みの御活躍が宇宙(そら)から丸見えだ」

「コレって…」

「ジムウ・イーラ先生だ。驚いたな」


ステヴがジムウに茶封筒を手渡すツーショットw

超古風な現金授受の現場をハイテク衛星で追跡←


「コレ、いつの写真?」

「10日前」

「北極にいたハズの時に、センセにお金を渡してたw」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


放課後。教室で生徒達が提出した宿題を整理中のジムウ・イーラ教諭。荒々しい足音に気づき振り向くと…僕とラギィ。


鼻先に証拠の衛星写真を突きつけるラギィ。


「あれぇ!神様、許して!」


バツの悪そうな顔を隠すように頭を抱えるジムウ教諭。


「わかった。真実を話そう」

「信じられない。センセはウソが得意だからな」

「とにかく、聞いてくれ、フレチのパンフレットの写真が合成だと気づいたのは私だ。その時点で、私は彼が詐欺師だと分かっていた」


え。あの画像、合成だったのかw


「ソコで早速、詐欺師からキッズを守るより、自分のお金儲けのネタにするコトにしたのね?」

「ソレは違う。おかしな話だが、キッズはフレチの配信を心待ちにし、ソコから多くを学んでいた。彼もまた、キッズに北極の知識を与えようと相当な努力をしていた。なら、私が小遣い稼ぎをしたトコロで何も害は無いと考えた」

「そして、貴方はキッズが騙されるお先棒を担いだワネね。裁判員は、貴方を有罪にスルわ」


目がテンになる小学校教諭。


「裁判員?何の裁判員だ?私は誰も殺してナイ」

「でも、詐欺罪の共謀に該当する。蔵前橋(の重刑務所)が嫌なら犯人を教えなさい!」

「神田明神も照覧あれ!誓って言うが、私は何も知らないんだ。アンタら、奴の相棒とは話したか?」

「相棒?」


ソンなのがいるのか?


「いつも奴と一緒だから、多分相棒だと思う。その衛星写真にも写ってルンじゃナイか?」


え。急いで衛星写真を見る。


「秋葉原上空700kmからの衛星画像ょ。何処に写ってるの?ってか、そもそも男?女?どんな顔?」

「ラギィ、いつも探偵が持ち歩いてる虫眼鏡は?」

「いつの時代の探偵ょ」


見かねたジムウ教諭がレトロなOH(オーバーヘッド)プロジェクターを持ち出して、壁に拡大投影スル。すると、映し出されたのは…


「婚約者のリィスだわ!」

「富豪令嬢もグルだったのかw」

「ホントの詐欺師は…いったい誰なの?」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


とりあえず、フネガ一族のペントハウスをラギィと訪問。


「話してリィス。貴女、フレチがジムウに口止め料を支払うトコロに居たわょね?彼が詐欺師だと承知の上でいたんでしょ?」

「だから…そういうんじゃないの」

「じゃあ何なの?」


ラギィが詰め寄る。令嬢は狼狽スルw


「い、言えナイ」

「リィス。私達は、貴女の婚約者を殺害した犯人を探してるのょ?協力して」

「あのね。ステヴは詐欺師じゃなかった。ホントは…」


思わズ息を呑む僕達w


「彼は…"金星人"だった!」


目を丸くするラギィ。膝が笑って崩れ落ちる僕。


「最高の展開だ!」

「テリィたん、黙って。ねえ、リィス。なぜステヴが"金星人"だと思うの?」

「付き合い始めて1ヵ月後、ステヴは、私だけに真実を話したい、もう私にウソをつくのは耐えられないと言って、全てを話してくれた。自分はホントは企業弁護士なんかではなくて"太陽系評議会"から人類監視の極秘任務を受けて派遣された潜入捜査官(アンダーカバー)なのだと」


壮大な宇宙的叙事詩が語られる(何となくウルトラマンのパクりのような気もスルがw)。一方で、素朴な疑問も湧く。


「…なぜ潜入捜査官(アンダーカバー)が小学生を教えているの?」

「ソレも極秘任務の1部」

「じゃあセンセのジムウも"太陽系評議会"から派遣されて来たのかしら」


ラギィの遠慮のナイ大声に、慌てて、唇に立てた人差し指を推し当てて、静かに、と(恐らく本気でw)制するリィス。


「もう勘弁してょ!」

「だって、あそこ(アーネンエルベ)はインターナショナルスクールょ?実態は、クラスの半分が太陽系の惑星から来た外交官の子息なの。火星に金星に木星。キッズに近づくコトで、ステヴは太陽系の情報を得ていたの」

「ソレって、かなり…」

「賢いでしょ?」

「(呆れると言おうと思ったの!)」


全て?を白日の下にさらしリィスが結論を述べる。


「ステヴは詐欺師だから殺されたんじゃない。"金星人"だから殺されたの」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


ペントハウスから専用EV(エレベーター)で地表へ。


「絶対に違うわ!」

「でもさ、可能性は…」

「フレチが"金星人"?絶対ナイわ!」


僕も違うとは思うけど…


「賭けよう」←

「賭けようじゃないの!」

「可愛く1000円」


僕はスマホを取り出す。


「何処に電話スルの?金星?」

「こう見えて意外とリア友は多いンだ…"街中華のダイエットは若返る"暗号さ。コレで向こうからかけ直してくる」

「…金星から?」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


万世橋(アキバポリス)の捜査本部。


「エージェントピンクは極秘のエイリアン監視組織"MIP(メンインピンク)"のメンバーで"地下鉄戦隊サブウェイ5"の執筆の時に紹介され、本格的なエイリアン監視活動についてリサーチさせてもらった。彼女はマシンだ。僕は、今までテレパスやソシオパスをリサーチして来たが、エージェントピンクはズバ抜けてスゴい。ピネロンのスパイをスプーンで殺したコトもアル」

「いいえ。"蟹スプーン"ょ100均の。でも、ソレは口外して欲しくなかったな」

「スマン」


ピンクは"トランジスタグラマー"。胸にスイカを仕込んだかのような巨乳ナンだが…いかんせん小さい。140ぐらい?


「ピンクさん。貴女の外見は…私の想像とは、かなり異なりました」

「ラギィ警部。私は、外見通りのモノが存在しない世界から来たの。なぜなら、わかりやすさは"命取り"」

「あら?"地下鉄戦隊"のシーズン3452の第1058話で出て来たセリフね?」


作者である僕の出番だ。


「あぁラギィのセリフも使わせてもらってるょ。今度の本、"宇宙女刑事ギャバ子"ではね」

「読んだわ。最高だった。特にセックスシーンが濃厚ね」

「待って!セックスシーンがあるの?私達の?」


ラギィは目が三角。"ギャバ子"のインスパイアは彼女だw


「YES。"ギャバ子"とひょうきんでハンサムなヲタクとの濃厚なセックスシーンがアル」

「良かった!テリィたんとは、似ても似つかないわ」

「笑える…ちょっと待てょピンク。どこで"ギャバ子"を入手した?まだ厳重に警護され傭兵が…」


ピンクは、静かにうなずくだけだ。


「とにかく!フレチ・エツーはMIP(メンインピンク)、あら?women in pinkかしら?…じゃないわょね?」

「ココでは話せないわ」

「では、ギャレーで」


ギャレーでは警官数人がコーヒー片手に談笑している。


「出て」


一斉に振り向いた彼等は、ピンクを見るや瞬時に退散w


「本来なら誰がエージェントかを私が言うべきではナイ。でも、テリィたんだから教えてあげる。彼女は"宇宙女スパイ連盟"のエージェントじゃないわ」


宇宙女スパイ連盟?何だソレ?でも、ラギィはクルリと背を向け、僕に2本指を立てる。

仕方なく、その2本指に千円札を挟み込む。得意満面って感じで僕を振り向くラギィw


「あれ?あれれ?」


周囲を見回すと…既にピンクの姿はナイ。


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


「まさか、僕も騙されてたなんて」

「リィスが何か隠してないか、再調査しなきゃ」

「テリィたん!話がアルわ!」


続いて、スゴい勢いでギャレーに飛び込んで来たのはスピアだ。僕を隣の会議室に連れ込んで、ピシャリと扉を閉める。


椅子にポトリとバッグを落とす。


「ど、どうした?」

「座れ…ディラのコトをジュリアードに問い合わせた?」

「…かもしれない」


瞬時に激怒のスピアw


「ウソでしょ!アレだけ言ったのに信じられない!ねぇ私って悪い子?二股かけたり、不倫したり、"永遠のアラサー"に無理矢理セーラー戦士のコスプレさせたりスル?私はしない。スルのはテリィたん。御屋敷(メイドバー)で正しい判断をするのは唯一私なのに、その私をテリィたんは信用しない」

「信用してるさ。ただ、リアルは危険で、みんな嘘つきだってコトは…」

「そんなの知ってる!私は"チョベリバ(スクールキャバ)"のNo.1(ウソw)ょ!周りはDDヲタクの大運動会。だけど、うまいコトやってるの!」

「すげぇ」

「なら、バイオリンのセンセぐらい、自分で選ばせて。テリィたんのコトは今でも大好きだけど、いつまでも元カノじゃないの。守ってくれなくて結構ょ。私の自由にさせて!」


会議室を飛び出すスピア。心をズタズタにされ、僕は完全にKOされてる。再び扉が開きミユリさんが飛び込んで来る。


「テリィ様!あぁ遅かったわ!スピアったら、たった数秒(想像w)でテリィ様をこんなにボロボロにして」

「辛いょ。ミユリさん、辛過ぎるょ…」

「大丈夫ですか?推し事、続けられます?今は詐欺師の殺人捜査でしたっけ?確か未だ解決してませんょね?」


ミユリさんの声が…ずいぶん遠くに聞こえるw


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


「テリィ様は、日頃ハメを外せとおっしゃる割に、実際にハメを外されると意外に脆いのですね」

「ソンなコトはナイ。いや…やっぱりアルな」

「"永遠のアラサー"には苦労させられます。元"永遠のアラサー"としてテリィ様には同情いたします」


ペントハウスにあるフネガ家(豪邸だw)のチャイムを鳴らすミユリさん。門扉が開くと令嬢リィスと家庭教師のスーナ。


「ムーンライトセレナーダー?!モノホン?ホントにメイド服のコスプレしてるのね?!」

「はじめまして、入っていいかしら?」

「もちろん」


何処かソワソワしている令嬢リィス。


「テリィ様の調査の結果、フレチ・ヤツーは"金星人"では無いコトが判明しました」

「わかったわ。今日はソレだけ?」

「あら?先日は詐欺師じゃないと言い張ったそうだけど、突然受け入れちゃうの?…何かあった?」


異常に激しく首を振るリィス。


「絶対的に何もナイわ!出来れば事件を忘れたいと思ってるだけょ」

「何か隠してるの?」

「えっ何のコトかしら、うふふ」


リィスは必死にトボけるが、横からスーナがけしかける。


「リィス、言っちゃいなさいょ」

「あら。何かしら?」

「何でもナイわ。ただ…実はフレチが生きてたの!」←

「…最高の展開ですね」


ミユリさんが僕の耳元でささやく。僕は…再び崩れ落ちるw


第4章 真実の愛


「最初に隠そうとしてごめんなさい。混乱してたの。実は、30分前に彼からの留守電があって…」

「確かに本人なの?」

「聞いて」


令嬢リィスのスマホからフレチ?の声。


"リィス。俺はアンドロメダ星人に追われてる。また連絡する。誰も信じるな"


「鳥肌が立つな」

「でも、テリィ様。あり得ないわ」

「ミユリさんも聞いたろ?」


ムーンライトセレナーダーも頭をヒネる。


「じゃあ検視局にある遺体は、一体誰なの?」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


「私は、この遺体がフレチ・ヤツーだとは言ってナイわ」


万世橋(アキバポリス)の検視局。鑑識が遺体を引き出し、顔にかかっていた白い布をめくると、僕のタブレットからルイナの声がスル。


「正直言って100%そうとは言い切れないの。だって、指紋はアパートに残されてた指紋と一致したけど、肝心のフレチの指紋かどうかはワカラナイ。12カ国のパスポートも調べたけど、どのキャラでも歯医者に行ってないから、歯型からの特定も不可能」

「ルイナ。金融政策閣僚会議の最中に呼び出して悪いけど、つまり結論は?」

「この遺体はフレチかもしれないし、違うかもしれない…あ、大統領。すぐ参ります」


回線は切れる。ラギィは主張スル。


「でも、死ぬ瞬間を見たの!」

「見てないょ。銃声の後、画面は天井だけだ」

「嫌な事件ですね、テリィ様」


僕は…完全復活←


「だから面白いンじゃナイか、ミユリさん」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆

 

"なんだ。お前?ウソだろ。やめろ!"


捜査本部。ラギィ以下全員で画像を見る。


「死ぬ寸前でカメラが倒れてる。確かに死んでナイ可能性もアルわ」

「因みに、音波銃の直撃で顔面は原型をとどめてません」

「しかし、わからナイわ。これから資産家の令嬢と結婚して大金持ちになる人が何で死んだフリをスルの?」


ラギィは助けを求めるように僕を見る。


「モノホンの"金星人"だったンだ!エージェントピンクがウソをついた可能性もある」

「テリィ様、ソレは無いわ。相当前から詐欺師として世界中で活動していた証拠が山のようにありますから。何か見逃してるモノがあるハズです」

「画像をもう1回…」


ソコへ情報が飛び込む。


「警部!今、フレチ・ヤツーのカードが使用されています!インドネシア行き飛行艇の航空券。神田リバー水上空港からジャカルタ!」

「高飛びスル気だ!でも、何でインドネシア?」

「引き渡し条約がナイの。何時の便?」

「5時です」

国土安全保障省(DHS)運輸保安局(TSA)に警報!全員出動…」

「待ってください!フレチの他の偽名のカードも使われてます!地下鉄新幹線の末広町グランド駅、電気街口のバスターミナル、秋葉原マンハッタン飛行船降着場…あらゆる航空券や鉄道切符などが一斉に買われています!」

「警備を分散させる気だわ。徹底的に追跡するわょ!全員出動!」


その場の全員が立ち上がり一斉に走り出す!瞬時に本部はモヌケの殻。僕とムーンライトセレナーダーが取り残される。


「ミユリさん。でも、きっと僕達が把握してない偽名のカードも使われてる。全てを追跡スルのは不可能だ。あぁ明日の今頃は、犯人はとっくに逃げて、どっかのビーチでカクテル片手に笑ってるカモ」

「うーんテリィ様。どこに逃げようが、彼はリィスとは繋がってると思います。なぜリスクを犯してまで、留守電を残したのか?リィスをホントに愛してるからでしょ?犯人は、愛する彼女と一緒に逃げる気です。だから、リィスを張ってればフレチは必ず現れる…って線はどうでしょう?」

「わかった。も1度リィスに逢いに逝こう」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


「リィスなら、少し前に出かけたわ…あら?貴女、ムーンライトセレナーダー?ホントにメイドのコスプレしてるのね。あのぉ、サインをいただける?孫がファンなので」


屋上豪邸の門扉を開けるとフネガ夫人の上品な対応。


サインの音(サラサラ)。リィスさんは、フィアンセからのお呼び出しでしょうか?」

「何も言わズに飛び出して行ったけど。ソレに、フレチは確か死んだのでは?」

「とりあえず、ラギィに話してリィスを指名手配にしましょう。上手くすれば水上空港で捕まえられるカモ」


スマホを取り出すムーンライトセレナーダー。

僕はサイドテーブル上にミニアルバムを発見。


「フネガさん、コレは何ですか?」

「結婚式用のアルバムょ。今、届いたばかりなの。スーナが作ったの。式の当日、参列者に配るつもりだった」

「レイアウトが、フレチの北極探検のパンフレットにソックリだ。フナガさん、このアルバムは誰が作ったの?」


パラパラとページをめくる僕。ミユリさんが、夫人の手からサイン紙を取り上げ、お絵描きを追加。夫人は喜び饒舌にw


「家庭教師のスーナょ」

「まぁ素敵。スーナと出会ったのは、いつかしら。お孫さんのお名前は?」

「おそ松。スーナとは…1年前かしら?」


僕とミユリさんは顔を見合わせる。


「相棒はスーナだ。手慣れた詐欺の手口さ。スーナが先ずリィスと親しくなり、リィスの好みを聞き出す。フレチは、リィスの情報に基づき、完璧な理想の彼氏に化けて、偶然を装い帰り道で待つわ…」

「待ち伏せ?とにかく!突然リィスの前に現れるや、あーら不思議、運命の一目惚れの出来上がり、ですか?」

「でも、ミユリさん。未だ納得出来ないょ。そもそもフレチが死んだと偽装する必要がアルのか?あんなに派手にやれば世間の注目が集まり、捜査が大掛かりになるだけだ」


ココで、ミユリさんの愛が溢れる御明察が飛び出す。


「テリィ様。フレチは、ホントにリィスを愛した。だから、この詐欺を止めたかった。そして、その愛ゆえに死んだのです」

「ソレって…つまり、相棒に殺されたってコト?もし、2人が幸せにゴールインすれば、せっかく用意した大型詐欺が全て台無しになってしまう?」

「YES。ソレに、相棒、つまり、スーナ1人では詐欺を続けるコトも困難です。ソコで彼女は作戦を変更し、彼の顔面を音波銃で撃ち、遺体を身元不明にして…」


ビンゴ。僕には出来ない発想だ。いや、男にはw


「でも、フレチから留守電が入ったのょ?」


いきなり割り込むフネガ夫人。案外切れる人みたいw


「ソレは…多分スーナが合成音声を偽造したのね」

「なぜソンなコトをスルの?」

「なぜなら…」


夫人の突っ込みは鋭いが、僕達は同時にヒラメく!


「なぜなら、未だ詐欺は続行中だから!」

「家庭教師のスーナは、詐欺を働いてる真っ最中か」

「フネガさん!リィスが使ってる銀行は?」

「地下アイドル通りのナショナルトマト銀行だけど」

「ありがとうございます!」


走り出すムーンライトセレナーダー。


「コレ、大事な証拠だから保管しといて!」


夫人にミニアルバムを預け、慌ててミユリさんの後を追う。


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


地下アイドル通りのナショナルトマト銀行。一抹の不安を覚えながらも銀行前に立つスーナ。ヤタラ胸強調型のスーツ。


「スーナ!」


後ろからセカセカ歩いて来て声をかけるリィス。


「スーナ。ステヴは無事?」

「えぇモチロンょ。私にもテレパシーで連絡があったわ。貴女への連絡はアンドロメダ星人に盗聴される危険がアル」

「憎いアンドロメダ星人め!…ソレで1000万円でOK?」


トンでもナイ額が飛び出すw


「モチロン大OKょ!とりあえず、貴女と2人で金星に逝く資金にとしては充分だわ」

「そう。ありがとう!すぐおろして来るわ!」

「さぁ急いで!」


女詐欺師は、令嬢を銀行へと送り出す。イソイソと銀行の人混みの中に消える令嬢。女詐欺師はシメシメとほくそ笑む。


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


銀行から出て来たリィスは、片手にアタッシュケース。


「大丈夫だった?」

「えぇモチロンょ」

「フネガさん!」


恰幅の良い支配人が、堂々と追いかけて来てスマホを渡す。


「お忘れモノです」

「あぁありがとう!」

「いいえ」


回れ右。来た時と同様、ヤタラ堂々と銀行に戻る支配人。


「彼から電話があったわ。私が彼にお金を届けるから、貴女は荷造りをして。9時に末広町セントラル駅に行けば…ようやく彼と会えるわ!」


喜色満面。スーナにアタッシュケースを渡すリィス。


「コレを彼に渡して」

「わかったわ」


スーナは、預かったアタッシュケースを胸に抱く。


「頑張って」

「貴女も幸運を」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


路地裏から、キョロキョロしながら飛び出して来るスーナ。

ヤタラと胸の谷間をチラ見せしながら路駐の車に乗り込む。


「1000万円と御対面(ごたいめーん)!」


助手席に置いたアタッシュケースを開けると中は…古新聞w

呆気にとられていると警察バッチがフロントガラスを叩く。


「え。古新聞?ネットの時代に貴重ねぇ」


遠くからサイレンの音が近づく。瞬く間にパトカーや覆面パトカーが殺到して、音波銃を抜いた警官隊が車を包囲スル。


「降りろ!」

「手を上げるんだ。後を向け!」

「詐欺師を騙すナンて初めてだったけど"推し"と一緒なら何とか騙せると思ったんだ。しかし、こんな古い手口"怠け者スーザン"に引っかかるとはね」


谷間をチラ見せしながら連行されて逝く家庭教師。


「テリィたん、怠け者スーザンって誰?また元カノ?」

「え。中華の回転テーブルだっけ?いつも間違える」

「ムーンライトセレナーダー!」


ナショナルトマト銀行の頭取だ。

やたら、ユックリと歩いてくるw


「頭取、ご協力ありがとうございました」

「お安い御用です。顧客を守るのが私の務めだ」

「余裕たっぷりのお芝居でした」


握手しながら、鼻を擦る仕草。直ぐにピンと来た頭取は、コレまた、やたら堂々と鼻を擦ってみせて、一緒に大笑いだw


「待てょ。ミユリさん、その仕草は…君達、詐欺映画は嫌いじゃなかったのか?」

「まぁテリィ様。誰がソンなコト」

「テリィたんってマジ騙しがいがあるヲタクだわ」


ラギィも加わりスティングごっこ。ヤレヤレ。


「警部、見てください」


スーナの車から押収したPCの再生ボタンを押すと"…アンドロメダ星人に追われてる…"なーんて合成音声が流れる。


「チンケな仕掛けだ。まじガッカリだな」

「ムーンライトセレナーダー!ステヴは…ステヴはホントに

死んだの?」

「リィス。残念だけど」


令嬢リィスもやって来る。


「やはり全部ウソだったのね」

「違うわリィス。ステヴは貴女をホントに愛してた。貴女のために詐欺から足を洗おうとして…命を落とした」

「ありがとう、ムーンライトセレナーダー」


おーい、僕は?


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


解散が決まり後片付けが始まった捜査本部。ヤレヤレ感が漂う中、真面目にデスクワークしているラギィに声をかける。


「今日、デートは?」

「ないわ。報告書をまとめなきゃ」

「そっか。僕は警官じゃなくて良かったょ。じゃな」


僕が去ると、ラギィはバックの中の"宇宙女刑事ギャバ子"をチラ見。周囲を見回しトイレに駆け込み便座の上で胡座(あぐら)


パラパラとページをめくっていると扉をノックされるw


「ラギィ。105ページだって」

「ミユリ姉様?何が?」

「セックスシーンょ。テリィ様と貴女の。じゃね。今度感想を聞かせて」


105ページ…あんぐり口を開け、思わず息を呑むラギィw


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


御屋敷(ミユリさんのバー)に超絶ヘタクソなキラキラ星が流れるw


「バイオリンの二重奏?ヒドいな。誰が弾いてる?」

「エアリとマリレ」

「素晴らしい!2人共、才能がありますょ力を抜いて!」


ディラがヲタッキーズを教えてる。イケメンに手取り足取り教えてもらってマンザラでもなさそうなヲタッキーズw


一方、つまらなそうなスピア。僕は同じソファーに座る。


「スピア。この前は悪かったょ。スピア以上に信頼出来る元カノはいない。今後はソレを最大限に尊重スル」

「…ホント?」

「でも、辛抱してくれ。時には失敗もスル。"年頃"の元カノ会長と接するのは初めてナンだ」

「…セックスは初めて?」

「接するのは初めて、だ!ちゃんと聞け」


苦笑しながらスピアとハグ。


「エアリとマリレのコト、ディラがどう思ってるかは心配じゃナイの?」

「全然。駆け落ちしてくれても構わない。でも、世の中、そうは上手くはいかないだろーな…こんな状況じゃ外食にスルか?」

「大賛成」


僕をソファから起き上がらせるスピア。


「行きましょ。ミユリ姉様は?」

「トイレだ」←

「素敵。では、喜んでお相手しますわテリィ様」



おしまい

今回は、海外ドラマによく登場する"詐欺師"をテーマに、秋葉原で殺される稀代の詐欺師、その詐欺師から口止め料をとる小学校教諭、次々騙される小富豪に大富豪、その妻、そのウブな令嬢、謎の家庭教師、詐欺師殺人犯を追う超天才に相棒のハッカー、ヲタッキーズに敏腕警部などが登場しました。


さらに、相棒ハッカーのイケメン講師をめぐる恋の鞘当て、新作ヒロインのインスパイアとなった敏腕警部の嬉し恥ずかしな心象もサイドストーリー的に描いてみました。


海外ドラマでよく舞台となるニューヨークの街並みを、まだまだ円安が続く中、ヲタクよりインバウンドの方が多い秋葉原に当てはめて展開してみました。


秋葉原を訪れる全ての人類が幸せになりますように。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ