第42話 タケルの騙し
タケルは深刻な顔をして、一人の女性を近くのカフェに呼んだ。
「どうも、忙しい中、お会いしてくれてありがとうございます、ミケさん」
「どうしたの?目の下のクマが酷いし、険しい顔をしていて怖いわよ。まあ、タケルもミツキちゃんが亡くなったことに悲しんでいるのね。だから、私を呼んだの?」
「確かに全然眠れていません。そのせいでしょう。実は、ミケさんにはミツキに関して相談があって」
タケルは、クリムゾンスカーレットというチャンネル名でソロ活動している。ミケさんの質問に答えた。タケルは昔、数回タイアップでダンジョンを攻略したことがあり、少し交流があった。それに、ミツキはデビルギルドに所属していたので、ミツキとの接点がある。だから、タケルに彼女は同情してくれるだろう。彼女はタケルの言葉に耳を傾けてくれるはずだ。
『《《嘘でも》》』
「実は、ミツキが死んだのは事故ではなく殺されたんです」
「え?」
「ブラッド・クロウと名乗っている男によって殺されたんです。ただし、私の証言はどれもあいまいです。誰も私の言葉を信じてくれません。だから、私が知っている中で一番強いミケさんの力を借りて彼を捕まえる手助けをしてほしいんです」
「ミツキちゃんが…まさか…でも、私も可愛がっていたミツキちゃんが亡くなって悲しかったわ。ただ、ダンジョンでは死と隣り合わせ。だから、死んでも仕方がないと思っていたけど、本当に殺人なら許さないわ。そのブラッド・クロウっていう人に本当に殺されたの?」
「はい」
ミケはタケルの言葉を信じ始めている。もうすぐだ。もうすぐミケさんは私の味方になる。ブラッド・クロウがどれほど強くても、俺の実力はデビルギルドの上位ランクに入るだけの実力がある。それに、ミケさんは個人でさえも白逆塔の51階層を攻略する実力がある。
この戦力なら、ブラッド・クロウに勝てるかもしれない。
「じゃあ、そのブラッド・クロウは強いの?タケルが私に頼るなんて」
「はい、彼はレッドワームを一撃で倒すほどの力を持っています」
「そうなの。私とタケルだけでは厳しいわね。それに、ブラッド・クロウがどこに現れるか知っているの?」
「わかりません」
「私も調べてみるわ。タケルもブラッド・クロウの行動を探ってみて。」
「分かりました」
ミケはタケルの言葉を信じ始めている。もうすぐだ。もうすぐで、ミケさんは私の味方になる。ブラッド・クロウももう終わりだ。ミツキのおかげで私を心配してくれる人々に対する人気も脅かされない。
今日は安心して眠れる。
タケルはカフェ代をおごって、自分の部屋に帰った。
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