1話 雪の降る夜
どうも、菜々美です。この小説は、童話というより、三人称の小説といった感覚です。それでもいいという方なら、是非、読んでください。
月灯りの下、雪はしんしんと降っています。
普通の子供なら喜ぶところですが、ここの村の子供たちは、あまり喜びません。
なぜかというと、冬に雪なんて、当たり前だからです。
(ひまだなあ…)
誰かが、心の中でそうつぶやきました。
では今回は、この子を見ていきましょう。
鈴ちゃんへ
メリークリスマス! サンタさんはもうすぐ来るよ〜っ!
可愛い可愛いサンタさんより
きょう、手紙がとどきました。サンタさんが来るみたいです。こんなに雪がふっているのに、大丈夫なのかなあ? ふあんです。
どこか西洋人のような顔つきの、薄茶色の髪の女の子/鈴は、今日の日記を書き終えると、ため息をつきました。
やることがなかったからです。
(何をしようかな…?)
今日はもう、夜ご飯は食べたし、お風呂も入ったし、歯磨きだって済ませました。日記だって、書きたてのものが手元にあります。
でも、寝るまでには、まだ時間があります。もちろん、このまま寝てもいいです。 しかし、せっかく時間が残ったのですから、どうせなら、うまく利用したいものです。
鈴は、サンタさんからのお手紙を見つめ、(そうだ!)と考え、うなずきます。
「サンタさんへのお返事をかこう…!」
そう決めると、気持ちは華やか。なんせサンタさんへのお手紙なんて、書いたことがありません。
鈴は、お気に入りのレターセットを取り出し、花柄の手紙に羽ペンを踊らせました。
サンタさんへ
雪がたくさんふっているけど、サンタさんはどうおすごしですか?
わたしはげんきです。プレゼントは、クマのお人形がいいです。
わたしは、いい子にしていたので、プレゼントをもらえるといいです。
すずより
そこまで書いて、鈴はうなずいて、うれしそうに笑いました。
ゴーン ゴーン
いつのまにか、もう寝る時間です。
鈴は手紙を、大事そうにきれいなピンクの封筒に入れ、ホカホカの布団の中にもぐりこみました。
「あした、おかーさんに出してもらお…」
そんなひとりごとを残して、鈴は寝てゆきました。
《つづく》