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プロローグ

 ――愚かさは憎むべきだ。賢明に生きられないなら、それはただの欠陥品ではないか?


「否定します」

「それは主観による判断でしかありません」

「独善的にも程があります」


 何故、わからない。何故、考えない。何故、見過ごすことを良しとする?


「貴方こそ、何故疑うのですか?」

「我等は神の僕」

「神の統治を助け、運行する者」

「それだけが真実、我らに与えられた役目」


 繰り返される抑揚のない声。同胞たちの糾弾が胸を突き刺し、搦め捕っていく。

 自由を封じられたのは同胞の手によるもの。誰一人として同調しない同胞たちへ失望しながら叫ぶ。


「神よ! 我らが神よ! ならば、お答えください! 貴方が生み出したものが真に正しいというのであれば、この世界こそが貴方が望んだ世界なのですか!?」


 その叫びに、答えを求めた者は何も答えない。ただ、同胞だった者たちが言葉を返すだけ。


「不遜」

「蒙昧」

「傲慢」

「神の僕に相応しからず」

「主の御手を煩わせるまでもない」

「――ならば、裁きを」


 裁き? 一体、誰が、何を裁くと言うのか。ここに神の言葉はない。しかし、神の意志はここにあるという。

 それこそ思い上がりではないのか? 神は何も答えない。誰も止めようとしない。味方など誰一人いない。それでも言葉を重ねる。


「その言葉、全て自らの身に返ると何故気付かない! 神は何も答えていない! 神の意志は本当にここにあるのか!?」

「既に神の教えは示されています」

「神の意志はここにあります」

「我らが代理人として」

「ここに裁きを執行します」


 熱が背中を襲った。そこに確かにあった筈の感覚が消失し、熱に灼かれながら喪失に凍えていくという責め苦を味わう。

 そのまま押されるようにして後ろへと下がると、今度は足下の感覚が消失した。一瞬の浮遊感の後、身体が地へと落ちていく。



「私は、間違っていない! 私が間違っているというのなら、何故、どうして、神よ! 貴方は何も答えない――――ッ!!」



 落ちる、落ちる、落ちていく。

 同胞の声は遠く、主の声はなく。私は――地に堕ちた。



   * * *



 ――まず初めに、神は書に世界を見出した。

 書に綴られた理は世界の理となり、書の内に世界が生まれた。

 神は書に様々な理を記した。空を、海を、大地を。


 そして世界に生命が生まれた。神は生まれた生命たちに書を与えた。

 書は記す。書とは己の映し鏡、本質を映し出し、理想を綴り出す。

 やがて、書の叡智が齎した繁栄の先に神の相似形たる人間が生まれた。


 神は人間に神の御業の一端を授けた。それは即ち世界を描き出す法則なり。

 神は言われた。神の教えに準じ、真理を見出し、繁栄しなさい、と。

 そして人は神の法を操る術を、法術を得た。この法術により人の繁栄は進む。

 進んだ繁栄は更に神の御心へと近づき、神は人に更なる力を与えた。

 それは新たな法則を生み出す者。神の綴った世界に新たな一文を刻む者。

 神の教えを知り、神の教えの先に見た光を世界に齎すもの。


 人は、彼等をこう呼んだ。灯火を綴る者……――〝リライター〟と。

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