第9話「ポンvsたまお」
た、たまおじゃ!
みだら巫女たまお!
百合巫女たまお!
ど、どうして風呂場に侵入出来るっ!
ふ、封印しておったはずなのにっ!
ふう、今回もわらわが主役の「コンと村おこし」なのじゃ。
いきなりサービスでお風呂シーンかの。
もっともレッドにみどりのおまけ付じゃがの。
「コン姉~、すいぞくかんたのしかったー!」
「ふむふむ、そうかの」
レッドはどこに行ってもそうではないかの?
「ワ、ワタシもすごく楽しかったわよっ!」
「そうかの、そうかの」
みどり、何が楽しかったか知らんが、よかったのう。
わらわはおいてけぼりになりそうで、最後は嫌~な思い出になったのじゃ。
しかし水族館、楽しかったのう。
ああも大きな水槽、本当に水の中みたいだったのじゃ。
「いるかさん、すきすきー!」
「ワタシも楽しかったわよっ!」
わらわ、イルカショーには行けずじまい。
あの大きな水槽だけで満足してしまったのじゃ。
むむむ……またなんとかして行かねばならんのう。
「コンちゃーん」
ポンの声じゃ、どうしたのかの?
風呂場の戸が開いて顔を出しよる。
「どうしたかの?」
「バスタオルと着がえ置いとくよ~」
「おお、ありがとうなのじゃ」
「着がえくらい持ってってよね~」
「とは言われても、レッドにせがまれて流れゆえ」
「そうだったっけ……そうだったかも」
ポンが引っ込む……その時じゃ!
「私もご一緒します」
「!!」
た、たまおじゃ!
みだら巫女たまお!
百合巫女たまお!
ど、どうして風呂場に侵入出来るっ!
ふ、封印しておったはずなのにっ!
たまお、自然に掛り湯を浴びて体を洗い始めよる。
そ、そうか!
ポンが戸を開いたときに封印が!
「コンお姉さま、今日の水族館は楽しかったですか」
「あわわ……そそそ……そうじゃの」
「私も行きたかった……でも神社の仕事があるから」
レッドとみどり、たまおに向かって、
「たまおちゃ、こんどいっしょにいこー!」
「水族館、楽しいわよっ!」
「ありがとう、レッド、みどり、今度一緒に行きましょうね」
たまお、静々と体を洗っておる。
いきなり襲ってくるかと思ったが、レッド達がおってはそれも出来ぬか。
とりあえずは安泰じゃが……
むー、微かに桃色オーラを感じるのは気のせいかの?
「もうあがるゆえ!」
「!!」
レッドとみどり、湯船を出よる。
おお、行ってしまいおった。
戸が閉まる。
風呂場にはわらわとたまおだけじゃ。
「お姉さま、この時を待っていました」
「たたたたまお、はかりおったおったの!」
「ふふ、もう逃げられませんよ」
むむ、術……封印されておるようじゃ。
ステルスもテレポーテーションもかなわぬ!
しかしこれはどうかの!
「たまお死ねっ!」
久しぶりの「必殺心臓マッサージ」なのじゃ。
わらわが宙をモミモミすれば、たまお胸を押さえて震えておる。
どうして心臓マッサージが封じられておらんかわからん。
ともかくこのまま殺してしまうの……
「はぁはぁ……心臓がドキドキします、気持ちが抑えられませんっ!」
な、なんだか逆効果なのかも知らんっ!
おお、まるで映画の●ンビのように迫って来おる!
●イオハザードも真っ青な恐怖なのじゃ。
「コラー!」
おお、またしてもポンの声。
戸が開いて、
「コンちゃん、一緒に上がってくれないと困るよー!」
「お、おお、ポン、どうしたのじゃ!」
「レッド、濡れたままパジャマちゃうし、床濡れちゃうし」
「そうかの、そうかの、わかったのじゃ」
わらわ、さっさと風呂場を出るのじゃ。
脱出成功!
たまおは心臓マッサージが効いておるのか、すぐに追って来れんようじゃの。
「待ってっ!」
「!!」
おお、いきなり大声。
首カックンなのじゃ。
たまおめ、わらわの髪をつかんでおる。
脱出失敗なのじゃ。
「コンお姉さま、どうしたらわたしと一緒になってもらえるのですかっ!」
「そんなの嫌なのじゃ」
「ど、どうして!」
「嫌だから嫌なのじゃ」
たまお、ポカンとしておったが、グイグイと髪を引っ張りおる。
顔を出しておるポンも、
「モウ、レッドはわたしがやるから、コンちゃんは……」
「ポン、待つのじゃ」
せっかくの脱出口、閉ざされてはかなわん。
ポンをつかまえて……そうじゃ!
「たまお、わらわと一緒になりたいのじゃな!」
「お、お姉さまっ! その気になってくれましたか!」
「ここはどこじゃ!」
「え……パン屋さん?」
「そうじゃ、山のパン屋さんなのじゃ」
わらわ、ポンをグイグイ引き寄せて、
「ちょ、コンちゃんなにっ!」
「ポン、おぬし、ここでは一番の先輩じゃろう」
「先輩! いい響き! そうですね、一番先輩なんです」
「そこでたまお、おぬしがポンと戦って勝てたらわらわをゆだねるのじゃ」
「!!」
たまおもポンも雷でも落ちたような驚きようなのじゃ。
「お姉さま、約束ですよ、絶対ですよ!」
「約束したのじゃ!」
「やったー!」
やっとたまおの手から逃れたのじゃ。
長い髪も考えものじゃの。
『ちょっとコンちゃん、今のなにっ!』
『おお、ポン、今回はおぬしのせいで危機に陥ったのじゃ』
『はぁ?』
『おぬしが風呂場に顔を出すからたまおが入って来たのじゃ』
『着がえ持って来たのにその言いよう?』
『ともかくおぬしが責任をとるのじゃ』
『むー!』
むむ……テンション低めじゃな。
わざと負けられてはたまらん、なんとかせねば。
『ポン先輩、おねがいなのじゃ、助けてなのじゃ』
『!』
『ポン先輩にたまおを倒してもらわないと、わらわ死んじゃう』
死にはせぬが、死ぬほどおぞましい気がするのじゃ。
『むう、後輩にそう言われては……』
ふふ、単純豆タヌキめ、ニコニコしておる。
『ポン先輩、お願いしますっ! 頼りにしてますっ!』
『お任せなんだからっ!』
単純な奴め~!
「たまおちゃん、わたしと勝負ですっ!」
「ポンちゃん、覚悟してください」
「いつも思うんだけど、わたしなら余裕で勝てるとか思ってない?」
「ええ……ちょっとだけ……」
「くっ! いいでしょう、わたしの本当の力、見せてあげるんだからっ!」
し、しかし……わらわも「ポンvsたまお」ならたまおに賭けたいところか。
でも……ここはポンに勝ってもらわねば困るのじゃ。
不利とわかっていても、ここはポンに賭けねばならん。
ポン、頼むのじゃ、勝ってくれなのじゃ!
夕日に染まる駐車場が舞台なのじゃ。
たまおとポンが対峙しておる。
「コンお姉さま、コイントスを」
「おう」
たまおに言われてコイントス。
小銭の落ちた音と同時にバトル開始じゃ。
「ちぇすとー!」
お祓い棒を振るたまお。
おおっ!
衝撃波が飛び出しおった。
ポンはびびってチョンと避け。
「たたたたまおちゃん、今のなにっ!」
「毎日素振りをして、出せるようになったんです」
「飛び道具反則!」
「そんなルール聞いてません」
「そ、そうだけど……」
ポン、いきなり窮地かの。
わらわの操も風前のトモシビかの。
「ちぇすと! ちぇすと! ちぇすとー!」
おお、連射じゃ。
しかしポンもしぶといのじゃ、チョンと避けよる。
「ポンちゃん、避けないでくださいっ!」
「そ、そんな~」
「早くやられてください」
「あ、当たると痛そうだもん」
わらわもそう思う。
あれに当たって負けるのは、わらわでも嫌じゃ。
むむ……しかし!
ポン、なんだかんだ言って避けておる。
これも野良のカンというものかの。
「ちぇすと! ちぇすと! ちぇすとーっ!」
「ひょい! ひょい! ひょい!」
「何で避けるんですかっ!」
「いや……そんな……」
しかしポンは避けれても攻めれんのう。
ああ、何故こっちに避けるのじゃ。
「ちぇすとーっ!」
どわ、こっちに衝撃波が来るのじゃ!
ポンと一緒に木の陰に隠れるのじゃ!
「ポン、何故こっちに来るのじゃ」
「たたたたまたま!」
「とばっちりを食らうではないかーっ!」
木の向こうにたまおオーラを感じるぞ。
「そうでした……ポンちゃんを狙いながら、流れ弾がコンお姉さまに当たるというのもありますね」
「これ、たまお、おぬしはわらわをどうしたいのじゃ」
「ねんごろになりたいのです」
わらわは嫌じゃ。
たまおがわらわに実力行使……
わらわも本気で戦わねばならんかの?
しかしたまおの邪念には何故かかなわぬ気がするのじゃ。
わらわは神じゃが……あの桃色オーラはちょっと……のう。
ポン……ポンはなんだかんだで豆タヌキじゃ。
あの邪念の前には……
まてよ……ポンはエロポンなのじゃ!
それにわらわも何度も……
「ポン、戦うのじゃ」
「嫌っ!」
その返事は想定内なのじゃ。
今のポンではたまおは倒せぬ。
しかしこれがあれば!
●パイにホウレンソウ、アンパンマ●に新しい顔なのじゃ!
「召喚、ポン太のお酒っ!」
ふふ、ミコが取り寄せおったポン太のお酒、大量にあるのじゃ。
「ポン、呑むのじゃ!」
「え!」
拒否権なしじゃ!
お酒は二十歳になってから?
ポンは設定では中学生じゃが所詮はタヌキ、OKじゃ!
純米ポン太のお酒を強制注入。
ポンの口に無理やり一升瓶……ちょっといやらしいのう。
喉が上下に波打って……
おお、ポンの目が赤く燃えておるっ!
「熱い! わたし脱いじゃう!」
こ、今回は貧乳スキーにもサービスなのじゃ。
い、いや……こやつからも桃色オーラがあふれ始めた……困ったのう。
「えへへ、コンちゃん、わたしになにをしたの?」
「う、うえ……何もしてないのじゃ」
「さっきなにか飲ませたよね?」
「あー!」
「ふふ、そういえばわたしのしっぽ、コンちゃんに挿れちゃうって話あったよね」
どわ、それはコン村1話の事じゃ!
しっぽを持って迫るでない。
そうじゃ!
「ポンっ!」
「なになに~」
「たまおが仲良くしたいと言っておった!」
「たまおちゃんが!」
「いつもおぬしを相手しておらんのはツンデレなのじゃ」
「そ、そうだったんだ!」
ポン、飛び出しおった。
途端に衝撃波の連射……ポンは避けてたまおに接近中じゃ。
おお、軽快なステップで衝撃波を避けておる。
「ちぇすと! ちぇすと! ちぇすとー!」
「たまおちゃん、わたしのしっぽ、挿れてあげる」
「わ、私、ポンちゃんには興味ないっ!」
「ツンツン~デレデレ~テレないで~」
おお、ポン、たまおを捕まえおったぞ。
あっと言う間にたまをを脱がせおった。
「えへへ、たまおちゃんにわたしのしっぽ、挿れちゃうよ」
「あわわ、そんなのは! そんなのは!」
ふむ、ちょっとまずいのう。
あんなしっぽを挿れられてはたまお死んでしまう。
作品の雰囲気ブチ壊しなのじゃ。
「えへへ、鳴け泣け~」
「いーやー!」
やはりポンに酒はいかんのう。
リセットせねばな。
「これ、やめぬか!」
一升瓶で「ゴン!」じゃ。
「そんな事があったのじゃ」
「それでポンちゃんとたまおちゃんは……」
今日の店番はわらわとミコなのじゃ。
なんせポンは一升瓶で「ゴン!」したからの。
今は包帯ぐるぐる巻きでウンウンうなっておるのじゃ。
たまおも気分悪くして布団にこもっておる。
「やはり一番こわいのはポンなのじゃ」
ミコもうなずいておる。
あやつに……タヌキに酒はダメなのじゃ。
さて、コンと村おこしなのじゃ。
美貌のわらわのセクシーターンを楽しむがよい……
と、言いたいものじゃが、今日はおそば屋さんからスタートなのじゃ。
ツルツルのざるそばはうまいウマイ。
長老のおそばは飽きのこぬ味なのじゃ!