表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/14

第8話「プール授業」

 うむ、今回もわらわのターンじゃ。

 おお、レッドとみどり、水着かの。

 そうかそうか、プール授業じゃな。

 水遊び、いいのう。

 ではでは、わらわの水着姿をおひろめといくかの。


「コン姉コン姉!」

 おお、レッドかの、朝から何用じゃ。

「コン姉、みてみて!」

「何事かの?」

 ふむ、見れば紺色のパンツかの?

 おお、スクール水着じゃの。

「レッド、今日は水泳かの」

「はいはーい!」

 わらわ、前から思うのじゃ。

 ここは山の中。

 立派な川も流れておる。

 なのに学校にはプールがあるのじゃ。

 なんでかの。

「ちょっとちょっと!」

「おお、みどり、何事かの?」

「似合ってるかしら!」

 スク水を体にあてて、クネクネしておる。

 こやつもプールが楽しみなようじゃのう。

「ほれ、はしゃぐのもよいが、忘れ物のないようにな」

「はーい」

 二人とも返事はよいが、ちと不安かのう。

「コンちゃん、準備はいい?」

 ポンの声じゃ……わらわ、配達に行く気はないのじゃ。

「お、ポン、何の準備かの」

「配達に行くんですよ」

「えー!」

「なにが『えー!』ですか……はい、バスケット」

「むむむ……今日は老人ホームかの」

「わたしが学校です」

「そっちの方が楽な気がするのじゃ」

「どっちも変わりませんよ!」

 ポンの手が伸びてきて、わらわの腕をつねるのじゃ。

「痛いではないか!」

「今日は配達だけじゃないんですよ!」

「?」

「聞いてないんですか?」

「うむ」

「今日はプール授業を一緒に受けるんです」

「はぁ?」

「本当に話、聞いてなかったんですね」

「本当に初耳なのじゃ」

「昨日、お店で村長さん話してたでしょ!」

「寝てた……」

「バカ」

 ポンにバカと言われるとムカつくのう。

「ともかく、今日はプール授業一緒に受けるんですよ!」

「ふむ……まぁ、たまには水遊びもよいかのう」

「コンちゃん、遊ぶ事しか考えていませんね」

「そう言うポンはどうするつもりじゃ?」

「えへへ……わたしは監視係がんばります」

「つまらなくないかの?」

「高いイスに座って、『コラー』とか言うんです」

「ちょっと楽しそうかのう」


 で、プールなのじゃ。

 今は女子更衣室なのじゃ。

「ちょっとちょっと!」

「おお、何じゃ、みどり」

「似合ってる?」

 さっきも言っておらんかったかの。

 今度はちゃんと着て、クルクル回っておる。

「どう? どう!」

「うむうむ、似合っておる、はしゃぐでない、転ぶぞ」

「わかってるわよー!」

 ツンツンして、行ってしまいおった。

 ポンもスク水で登場じゃ。

「みどり、プール楽しみだったみたいですね」

「まぁ、子供ゆえ、のう」

「ねぇねぇ、コンちゃん」

「なんじゃ、ポン」

「似合ってる? かわいい?」

「はぁ?」

「ねぇねぇ!」

 ポンがスク水でクルクル回っておる。

「わらわにどう言って欲しいのじゃ!」

「むー、わたしですね、どら焼き級なんですよ」

「自分で言うのう」

「しょうがないですよ、設定じゃ『中学生くらい』なんですから」

「それで……どうしたのじゃ」

「胸はナシめだけど……結構かわいいと思ってるんですよ」

「……」

「コンちゃん、どう思います」

 め、めんどうくさっ!

 こーゆー時は持ち上げておくに限るのじゃ。

「はいはい、かわいいカワイイ」

「棒読み~」

「これ、チョップはよすのじゃ、すぐに手が出るから凶暴呼ばわりされるのじゃ」

「そっかなー……コンちゃん水着は?」

「……そんなのないのじゃ」

「忘れたの?」

「いや、わらわ、水着なぞ持っておらぬし」

「さっき水遊びって言ってたのに~」

「まぁ、わらわ、別段水着なぞなくてもへっちゃらなのじゃ」

 そうなのじゃ、わらわは「術」で一発解決。

 指をパチンと鳴らせば、

「ほれ、水着なのじゃ」

「あー、いつものコスチュームチェンジ……」

 な、なんじゃ、ポンのヤツ、ジト目で見おる。

「ちょっとその水着はダメじゃないですか?」

「はぁ?」

「おへそが見えてますよっ!」

「ビキニを着ておるだけじゃ」

「布が……面積が少なくないですか?」

 お、ポン、手招きで千代を呼びおった。

「ねぇねぇ、千代ちゃん、どう思う、エッチじゃないですか?」

「うわ……コンちゃん、すごくきれい!」

「うむ、千代はわかっておるようじゃの」

「本当……雑誌のモデルさんみたい」

「ふふ、もっと言うのじゃ、綺麗とか美しいとか」

 ほめられるとうれしいのう。

 千代はよい子じゃ。

「千代ちゃん、よく見てください、これは女キツネですよ」

「でも綺麗だし」

「学校のプールはスク水だけなんですぅ!」

「でも、コンちゃん大人だし」

「千代ちゃん、どっちの味方なんですか」

「え……そんな話なの?」

 ポンはよくわからん事で言いがかりをつけるのう。

「これ、二人ともよすのじゃ」

 チャイムも鳴っておる。

「ほれ、授業じゃろう、早く行くのじゃ」

 わらわ、ポンと千代の手を引いてプールサイドに出るのじゃ。

 おお、子供ら、楽しそうに遊んでおる。

 子供は水遊びが好きじゃからの。

 わらわも大好きなのじゃ。

「……」

 およ?

 何事じゃ?

 静かになってしもうたぞ?

 みんなわらわを見ておる……かの?

 おお、一人ダッシュしておるのがおる。

 プールサイドで走ってはいかんのではないかの。

「ちょっとコンんちゃんコンちゃん!」

「おお、村長ではないかの」

「な、なんて水着なの……すごい綺麗」

「ほれ、もっと言うのじゃ、綺麗と言うのじゃ」

「じゃなくて……学校のプールでその水着はちょっと」

 すかさずポンが言うのじゃ。

「村長さんもそう思いますよね、淫らですよね!」

「ま、まぁ……でも、コンちゃん、すごい綺麗ね」

「村長さん、そんな事言ったらコンちゃんつけあがりますっ!」

「でも……ここまで綺麗だとちょっと……」

「わらわ、神ゆえ、綺麗なのは当たり前なのじゃ」

 ふふ、反撃するのじゃ。

「どこかの豆タヌキと一緒にされてはたまらんのじゃ」

「なんですってー!」

「ぺったん娘はスク水でちゃぷちゃぷしておれ」

「この女キツネっ!」

「その通りなのじゃ」

「けだものっ!」

「その通りなのじゃ」

「きーっ!」

 今度は髭教師の吉田が来おったぞ。

 めんどうくさそうな顔をして、頭を掻いておる。

「あー、パン屋の娘には子供の世話をしてもらいたいんだが……」

 髭教師、わらわを上から下、下から上へと舐めるように見てから、

「グラビアでよく見る格好だな~」

「ふむ、モデルのようであろう」

「まぁ、コンちゃんは大人だしな~」

 髭教師、頭をポリポリ掻きながら、

「別に色気はいらないから、スク水で頼むわ」

「むむ、髭男にはわらわの美貌がわからんかの?」

「ミコちゃんに言うよ」

 どこでその台詞を覚えたか知らんが……ミコに継げ口されてはたまらん!

「うむ、しかたない……では!」

 パチンと指を鳴らせば、あっという間にスク水なのじゃ。

「ほれ、これでよいかの」

「……」

 なんじゃ……

 言われた通りにスク水にしたのじゃ。

 それなのに……みなの視線がさらに熱い気がするのじゃ。

 どうしたというかの。

 ポンも村長も顔を赤らめておる。

 プールの男共もじゃ。

 しかし、髭教師だけはあきれておる。

『これ、髭教師、わらわの格好は変かの』

『おお! 何だ! 頭に声が!』

『わらわ、神ゆえ、テレパシーなのじゃ!』

『すご……』

『わらわの格好、変かの……言われた通りにしたのじゃ』

 髭教師、まだ笑っておる。

『コンちゃん、すぐに元に戻って』

『お、おお……』

『スク水でその胸はかえってエロ』

「~!」

 きゅ、急に恥ずかしくなってしまったのじゃ。


 ふう、今回もわらわが主役の「コンと村おこし」なのじゃ。

「コン姉~、すいぞくかんたのしかったー!」

「ふむふむ、そうかの」

「ワ、ワタシもすごく楽しかったわよっ!」

「そうかの、そうかの」


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ