第6話「たまお強襲なのじゃ」
「はぁ、はぁ、コンお姉さま」
「た、たまお、何をしおった!」
「さっき、お店でジャンケンしているの、こっそり見ちゃったんです」
「!!」
「すぐに走って神社に来て、結界を準備したんです」
「ジャンケン・ポンっ!」
さて、今回も「ポン村」じゃ。
セクシー担当のわらわの話、いきなりジャンケンなのじゃ。
「やったー、わたしの勝ちっ!」
「むう、わらわの負けかの」
「じゃあ、わたし、学校と老人ホーム」
「そっちの方が多いがのう」
「ふふ、コンちゃん、老人ホームの配達は『お呼ばれ』あるんですよ」
「ふむ、確かにそうじゃのう」
「ミコちゃんのお饅頭でお茶しちゃうんです」
「では、わらわが……」
残りの配達先は役場と思っておったが……
神社かの……
ちと不安じゃのう……
「ポン、シロはおらんかの?」
「シロちゃん朝のパトロールだよ」
「そんなのわかっておる、もう出かけたかの?」
「うん、だね」
「……」
これは一人で行くしかないかのう。
「のう、ポン」
「なに、コンちゃん」
「わらわと一緒に神社に行かぬか?」
「はぁ? それじゃジャンケンの意味がないよ~」
「とはいってものう……たまおが……」
「たまおちゃんがどうかしたの?」
「あの女は百合ゆえのう」
「百合ってなぁに?」
「ポン、おぬし、本当にエロポンかの?」
「むう……わたしの不法投棄で得た知識にはないです」
「偏った知識かのう」
って……ポン、笑っておる。
「そんな事言う人には、ついて行ってあげませ~ん」
バスケット持って行ってしまいおった。
わらわ、お店に一人「ポツーン」。
奥からミコが出て来おる。
「あら、コンちゃん、まだいたの?」
「うむ……久しぶりに神社に配達なのじゃ」
「それが?」
「たまおが……不安じゃ」
「術で防御したらいいじゃない」
「しかしのう……最近のたまおは稀にわらわの術を破りおる」
「いいから行って!」
ミコ、ニコニコしておるが肩が震えておる。
怒られてもたまらんゆえ、とっとと配達を済ませるとするか。
楽しい事を想像せねばならんな。
そうじゃ、配達帰りに駄菓子屋でまったりするか。
よしよし、行く気倍増なのじゃ。
「はぁ、はぁ、コンお姉さま」
「た、たまお、何をしおった!」
「さっき、お店でジャンケンしているの、こっそり見ちゃったんです」
「!!」
「すぐに走って神社に来て、結界を準備したんです」
「な、なんじゃと~」
「結界、お父さんの作ったお札だから強力ですよ」
「ぬぬぬっ!」
神社の鳥居をくぐった途端に景色が変わったのじゃ。
周囲は杉林の筈なのじゃが、今は虹色・不思議時空。
「たまお、おふざけはやめるのじゃ」
「コンお姉さま、わたしの気持ち、知ってるくせに」
「気持ち悪いのじゃ」
「最初はみんな、そう言うんですよ~」
たまお、ジリジリと迫って来おる。
なんだか手つきがいやらしくてこわいのじゃ。
この不思議時空でわらわは勝てるかの?
「ゴット・ソードじゃっ!」
わらわが念じると、「ブウン」なんて音がして光る剣が現れるのじゃ。
ふむ、ゴット・ソードが出るという事は、この封印はわらわの能力を押さえ込むところまではないようじゃのう。
「たまお……おぬしまだまだじゃのう」
「お姉さま……」
「わらわの術をすべて封じてしまうのが普通ではないかの」
「わたし、そんなふうにしてお姉さまを従わせたくなかったから」
「では、この結界を解くのじゃ」
「それじゃ、お姉さま、逃げちゃうでしょ」
「……」
「ここでしっかり、二人の仲を確かめましょう」
わらわ、ゴット・ソードを構えなおしじゃ。
たまおも構えたぞ。
おお、ヤツの手にも「光る何か」が登場じゃ。
「ううっ!」
「ふふ、これはわたしとお姉さまを一つにするアイテム!」
「光る何か」って……「ぼかし」なのじゃ。
こ、こわいっ!
神であるわらわに何をする気かのっ!
ゴット・ソードを振り回すが、ことごとく「大人のおもちゃ」ではじかれるのじゃ。
ふふ、しかしリーチはこっちが有利なのじゃ。
たまおめ、近づけずにおる。
お、動きを止めたぞ。
「コンお姉さま、いいかげんにしてください」
「いいかげんにするのはおぬしじゃ!」
「しかたありません、聞き分けのない雌狐におしおき」
大人のおもちゃが変化してお祓い棒になりおる。
「ちぇすとーっ!」
って、衝撃波。
ふん、そんなの、ゴット・シールドで防御なのじゃ。
「え!」
衝撃波、ゴット・シールドを通りぬけてわらわに命中!
「な、何故わらわのゴット・シールドが利かぬのじゃ!」
痛いとかないが……
ふ、服が破れておるっ!
ああ、たまおの背中に桃色オーラが揺れておる。
目がランランと赤色LEDなのじゃ。
「この、死ねっ!」
わらわも「必殺心臓マッサージ」で反撃。
たまお、一瞬は動きを止めるが……
お祓い棒を持った手が上がって……
「コンお姉さまの術、心臓が止まるみたい!」
くく……こやつに「必殺」の心臓マッサージは効かん。
「ちぇすとっ! ちぇすとっ!」
うわ、衝撃波連射じゃ。
わ、わらわ下着だけなのじゃ。
くそ~、もう怒ったのじゃ。
「ゴット・サンダー!」
たまおに雷命中じゃ。
ふふ、ヤツも黒コゲ。
って……笑っておる!
たまお、焼けた巫女服を脱ぎながら、
「コンお姉さまも、その気になったようですね」
「違うのじゃっ!」
「ふふふ、お・ね・え・さ・まっ!」
「近寄るな~」
「まだ抵抗できるんですね……では、ちぇすとーっ!」
うお、また衝撃波。
わらわ、ブラが吹き飛んでしもうた。
「はーい、最後の一枚です」
うわ~ん、大ピンチ。
誰か助けに来んかのう。
そ、そうじゃ……配達のバスケットに何か得物が入っておらんかの?
開けて見れば……なんじゃこれは?
神社には「どら焼き」配達の筈じゃが、饅頭が入っておる。
それにポンの得物「打ち出の小槌」もある。
これ……老人ホームのバスケットでないかの?
「ちぇすとーっ!」
「うわっ!」
いきなり撃つな!
って、「ひょい」って避けたら……避けれたぞ。
避けれるのか……そうか……
「コンお姉さま、避けないでください」
「嫌じゃ」
そうじゃ、ヒラリヒラリと交わすのじゃ。
「コンお姉さま、胸が見えていますよ」
「ふーん」
そうじゃ、胸くらい見せてやるのじゃ。
大人のおもちゃで合体よりずっとマシじゃ。
「ちぇすと! ちぇすと! ちぇすと!」
うわ、それ、反則!
三発扇状攻撃とは!
わらわの最後の一枚、風前の灯火!
「ごめーん、コンちゃん、バスケット間違えちゃったみたい」
「悪い悪い、渡し違えた」
ポンと店長登場じゃ。
虹色空間から飛び出してくるポンと店長。
ポンの体に三発の衝撃波直撃。
いきなり「すっぽんぽん」なポン。
きょとんとして立ちつくしておる。
たまお、ポンの裸を見て固まってしまいおった。
「コホン」
ふむ、咳払いかの。
「はぁ~」
今度はため息じゃの。
「つまらぬものを……脱がせてしまった」
「プツン」
なんじゃ、今の「プツン」は?
たまおの桃色オーラは収まったが、ポンに暗黒オーラがうずまいておる。
「たまおちゃん……服を脱がせておいて『つまらぬ』とは?」
「そ、それは……」
「キーッ!」
ああ、ポン、たまおをポカポカ叩いておる。
ふふ、わらわ、店長に抱きつくのじゃ、どさくさなのじゃ。
「あーん、店長、こわかった~」
って、店長を「ギュッ」って抱きしめるのじゃ。
びっくりじゃ。
わらわ、店長の事じゃからグイグイ押し戻すとばかり……
店長もわらわを抱きしめてきおる。
「コンちゃんっ!」
おお、叫びながらわらわを「強く」抱きしめおる。
本当は店長、わらわの事が好きじゃったのじゃな。
「コンちゃん、見ちゃダメだっ!」
は?
なんじゃそれは?
ふむ、確かに……たまおの悲鳴とも絶叫ともとれる声じゃ。
見るなと言われると、見たくなるのう。
わらわとキスでもしそうに近い店長。
目に惨劇が映っておる。
わらわも振り向いてじかに見るの……
うわ……
「ててて店長っ!」
「見ちゃだめだってっ!」
「助けに行かねばたまおがっ!」
「あ、ああ、そうだった!」
そうじゃ、バスケットに「打ち出の小槌」があるのじゃ。
これでポンの頭を「ポン」と叩くのじゃ。
それっ!
ふう……今日もわらわの「お稲荷さまパワー」でパン屋は大繁盛なのじゃ。
うむ……何故わらわが仕事をしておるかというと……
今、奥では布団にポンが寝ておるのじゃ。
わらわ、力加減せずに「打ち出の小槌」してしもうた。
そしてポンの隣には、ミイラが寝ておる。
ポンにやられた「たまおミイラ」なのじゃ。
たまおもこわいが……
やはりポンが一番かの。
ふう、今回もわらわが主役なのじゃ。
しかしのう……わらわ、思うのじゃ。
コンと村おこしは「セクシー担当」。
わらわ、サービスせねばならん。
しかしよの、サービスカットとなると……