第11話plus「代理」
「はいはい、で、コンちゃんにはプレゼント」
「!」
「この白イルカを抱き枕に寝るんですよ」
「大きいっ! 白イルカっ!」
「ほらほら~、かわいいですよ~」
ふわわ!
「コンと村おこし」なんですが、オマケの「plus」なのでわたしが主人公!
今日もお仕事終わって、あとは寝るだけなの。
って、お布団のところに行ってみると……
「これ、ポン、待っておったのじゃ」
「……」
「早う、近う寄るのじゃ」
「……」
コンちゃん、隣をポンポン手で叩きながら、もう一方の手で手招き。
わたし、最近寝るのがちょっと楽しくないの。
最近コンちゃんが寝る時まとわりついてくるんですよ。
まぁ、以前からまとわりついてはいたけれど……
山の夜は寒いから、抱き合って寝るのは普通だったかな?
でも、最近のコンちゃんは抱きつき方がちょっと嫌な感じ。
ともかく腕をまわして、脚をからませて、まとわりつく感じでしょうか。
わたしはゆっくり眠りたいのに、落ち着きません。
「ほれ、早う、近う寄るのじゃ」
「……」
で、翌日の午後。
お店にお客さんはいなくて、コンちゃんは配達です。
わたしとシロちゃんでお店を守っているんですが、お客さんいないからのんびり。
「ふわわ~」
「ポンちゃん、めずらしいでありますね」
「なに?」
「あくびが出ているでありますよ」
「うん、ちょっと寝不足で」
「寝てないでありますか?」
「寝てはいるけど、寝不足って感じ」
「夜遊びでもしているでありますか?」
「そんなんじゃ……」
って、今、おしゃべりしているのはシロちゃん。
シロちゃんも毎晩たまおちゃんと一緒してます。
「ねぇねぇシロちゃん!」
「何でありますか?」
「毎晩まいばんたまおちゃんに抱きつかれてるんだよね」
「でありますね」
「面倒くさくない?」
「面倒であります」
「眠れる?」
「本官、たまおちゃんを相手にしてないであります」
「そうなんだ」
「さっさと寝るであります」
「よく眠れるね」
「本官、雌犬であります、ナデナデされるの、触られるのはかまわないであります」
「うーん、コンちゃんが最近寝る時まとわりついてくるんですよ~」
「はぁ」
「落ち着かなくて、眠れない感じかな」
「ポンちゃんは抱きつかれると嫌でありますね」
「うーん、前から一緒に寝てるけど、最近こう抱き付き方がね」
「そうでありますか」
「なにかいい手はないかな?」
「そうでありますね……」
シロちゃん、視線がちょっと泳いでから、頭上に裸電球点灯です。
「この間、水族館に行ったでありますね」
「はい、それが?」
「イルカのぬいぐるみ、あったでありますよね」
ですです、117話ですね。
レッド・みどり・コンちゃんでイルカのぬいぐるみでしたよ。
「コンちゃんもイルカのぬいぐるみ、気にいってたであります」
「でしたね……でも」
「でも?」
「あのぬいぐるみはこう、小さくて」
って、シロちゃんが「チラッ」っと窓の外に視線を流すの。
わたし、その視線の先を見れば「配達人」。
「配達人から大きなぬいぐるみをもらえばいいであります」
ドアに付けられたカウベルがカラカラ鳴って、
「ちわー、綱取興業でーす」
はい、カモネギ登場なの。
わたし、ダッシュで配達人をつかまえて……
椅子にすわらせて……
ロープで縛って……
「ななな何を!」
ふふふ、配達人さんビビってます。
わたし、そんな配達人の前に仁王立ち。
「ねぇねぇ、配達人さん」
「な、何? ポンちゃん?」
「この間の水族館の時、コンちゃんにぬいぐるみ、あげてましたね」
「それが?」
「わたしには?」
「は?」
「わたしもイルカのぬいぐるみ、欲しい~」
「……」
「わたしには?」
配達人、嫌そうな顔で、
「ポンちゃん、ぬいぐるみってキャラじゃないじゃん」
「シロちゃんっ!」
「なんでありますか?」
「配達人を処刑、スプリングガンで撃ちまくり」
「了解であります」
どこからともなくスプリングガンを出して構えるシロちゃん。
「死にたいですか? ぬいぐるみ出しますか?」
わたし、ニコニコ顔で配達人に言います。
「お、脅しだぁ~」
「なにか言いましたか?」
「あげればいいんでしょ~」
って、配達人が言いますが……
そうそう、注文付けるの、忘れないようにしないとね。
「わたし、大きいのがいい」
「……」
「シロちゃん、撃ちたい?」
「撃ちたいであります」
って、シロちゃんも協力的ですね。
言うと同時に銃口で配達人の頬をグリグリするの。
「出します出します! 大きいの出します!」
これで大きなぬいぐるみ、ゲットです。
大きな白色のイルカのぬいぐるみ。
抱いてみたら、なかなか気持ちがいいですよ。
これをコンちゃんにあげれば、きっとわたしは解放されるはずなの。
「これ、ポン、早く来るのじゃ」
コンちゃんが呼んでますね。
「はいはい、今行きますよ」
「ほれ、わらわが抱っこしてやるのじゃ、ありがたく思うのじゃ」
「抱っこしてやるのじゃ」と来ましたか、わたしは別に抱っこしてほしくないですよ。
「ほれ、ポン、早く早く」
「はいはい、で、コンちゃんにはプレゼント」
「!」
「この白イルカを抱き枕に寝るんですよ」
「大きいっ! 白イルカっ!」
「ほらほら~、かわいいですよ~」
「きゃーん、白イルカ~!」
コンちゃん、大きな白イルカを抱いてご満悦。
わたしはさっさとお布団に入って、
「じゃ、おやすみ~」
「!」
ああ、視線を感じます。
責める視線チクチク。
「これ、ポン!」
「……」
「おぬし、わらわに白イルカをあてがって、逃げる気であろう」
「……」
「ポン、おぬし、わらわに抱っこされるのが嫌であるかの!」
その通りですよ。
わたし、朝早いんだから、早く寝たいんです。
「ひどい、わらわがせっかく抱っこしてやると言うておるのに」
「……」
「一人でスヤスヤ眠りおって!」
「……」
「先輩のくせに、後輩の世話をせんかの!」
「……」
コンちゃん、わたしの体をゆすります。
わたしはタヌキだけに、タヌキ寝入りでスルーですスルー。
「のう、ポンよ、起きるのじゃ」
「……」
「わらわと一緒に寝るのじゃ」
起きるのか寝るのか、どっちですかモウ。
「ポンはわらわの事が嫌いになったかの」
ああ、なんだかだんだん面倒くさいです。
「わらわ、ポンの事、先輩と思っておるのに」
どうせ言ってるだけでしょ。
「わらわの事など、もうどうでもよいのじゃ」
正直言うと、どうでもいいかな。
「無視かの、無視かの! ううう……」
あー、泣きだしました~面倒くさ~い。
「ポンなんか嫌いなのじゃー……クスン」
「クスン」出ました、ウソ泣きですね、この女キツネはモウ。
「おーきーろー!」
「面倒くさいですね、コンちゃんはモウ!」
「ポンはわらわが嫌いかの」
「嫌い」
「バカー!」
ぬいぐるみ振り回さないでくださいモウ。
って、コンちゃん急に真顔になって、
「これ、ポン、これを抱っこするのじゃ」
「え、わたしがぬいぐるみ抱っこするの?」
「うむ、ほれ、ほれ」
「はい、はい」
わたし、白イルカを抱っこ。
ふむふむ、この大きな白イルカ、抱き心地いいですよ、ええ。
「そしてわらわがポンを抱っこじゃ」
「!」
「ふふ、ポンの微妙なデコボコがよいのじゃ」
「そ、それっていつも思うんだけど……」
「なんじゃ?」
「それってほめてないよね」
「……」
「ほめてないよね?」
「……」
「ほ・め・て・な・い・よ・ねっ?」
「……」
「ねっ!」
「よいではないか、褒めておると思えば!」
「思えば」……ほめてないですよね。
もういいや、面倒くさいから寝ちゃいましょ。
ふう。
「あれかの?」
わらわ、振るえが止まらぬ。
向こう岸の大きな穴に、大きなイセエビ級がおる!
わらわ、レッドの捕まえて来たのを見た事あるが……やはり大きいのじゃ。
「ああああんなのが釣れるのかの!」




