第11話「ポンの寝心地」
「これ、レッド」
「ふにゃ……コンねぇ~」
「何故ポンだと眠れるのじゃ」
「ちょうどよいゆえ」
「?」
ふむ、今回もわらわのターン。
今日はリビングでゴロゴロなのじゃ。
なに、ミコから洗濯物をたたむように言われておるのじゃ。
しかしの……
取り込んだばかりの洗濯物、フカフカで気持ち良いのじゃ。
わらわ、さっきから洗濯物に埋もれてぬくぬくなのじゃ。
そしてウトウトしておったのじゃが……
むう、何か物足りんのう。
リビングで、テレビを眺めながら、フカフカに埋もれる……
ウトウトしてはおるが、こう、最後に何かあればのう。
ともかく何か物足りんのじゃ。
うむ、足音が近付いて来るのじゃ。
ミコかの?
グダグダしていると怒られるのう。
しかし、洗濯物が悪いのじゃ、フカフカなのが悪いのじゃ。
「コンちゃん、ポンちゃんが怒っているでありますよ」
「およ、シロではないかの」
「コンちゃん、ポンちゃんが怒っているでありますよ、店に出ないでいいでありますか?」
「わらわ、ミコに洗濯物をたたむように言われておるのじゃ」
「……」
「たたむように……」
「たたんでいないでありますよね、まみれているだけであります」
「洗濯物が悪いのじゃ、ぬくぬくなのが悪いのじゃ」
「コンちゃん、いつもダメダメでありますね」
「わらわ、女キツネゆえ、きまぐれなのじゃ」
「しょうがないでありますね、本官が店を手伝うであります」
「うむ、シロよ、よきにはからえ」
「よきにはからえではないであります」
ふふ、シロめ、怒っておる。
しかしシロも店員気にいっておるであろう。
メイド服を着ると嬉しそうにしておるのじゃ。
シロは行ってしまったの。
では、わらわもおやすみするとするかの。
しかしこう、何故か物足りぬのじゃ。
「これ、レッド」
「ふにゃ……コンねぇ~」
「何故ポンだと眠れるのじゃ」
「ちょうどよいゆえ」
「?」
「どらやききゅー、ちょうどよいゆえ」
レッドが言っておったのう。
ポン……は、今、店に出ておるのじゃ。
誰か添い寝によい者はおらんかの。
「!」
そうじゃ、さっき目の前を通ったではないか。
「それ、シロを召喚じゃ!」
わらわが指を弾けば、あっという間にシロが登場なのじゃ。
「うわ、何事でありますか!」
シロ、パンツ&ブラなのじゃ。
わらわを見て、
「コンちゃん、召喚しないで欲しいであります」
「おぬし、なにを脱いでおるのじゃ」
「着替えていたでありますよ」
「おお、そうじゃったの、おぬしは警察の犬ゆえ、コスチューム・チェンジ出来んのう」
「コンちゃんとミコちゃん限定であります、コスチューム・チェンジ」
「わらわとミコは神ゆえのう」
わらわ、シロを手招き。
「何でありますか?」
「いいから、こっちに来るのじゃ」
近寄って来たシロの手を捕まえて、洗濯物の中に引きずり込むのじゃ。
それ、シロを「ギュッ」とするぞ。
「うわ、何をするであります」
「よいから、今からおぬしはわらわの抱き枕なのじゃ」
「き、気持ち悪いでありますよ」
「うるさい雌犬じゃ、黙ってわらわに抱かれるのじゃ」
「……」
ギュー!
ふむ、シロ、よい体をしておるの。
こやつの胸もなかなかのボリュームじゃ。
洗濯物のぬくぬくもよいが、人肌もよいのう。
ギュー!
「コンちゃんは……」
「何かの?」
「マシでありますね」
「?」
「本官、毎晩たまおちゃんと寝ているであります」
「!」
「たまおちゃんは毎晩まいばん、本官の体をまさぐるであります」
「そ、そうかの、大変じゃの」
「それに比べれば、抱きつくだけであります」
「わらわ、別に百合ではないのでの」
「まぁ、添い寝でよければ、付き合うであります」
って、シロ、さっさと寝てしまうのじゃ。
わらわもこやつを抱き枕にして……
うむむ、しかし、何か違うのう。
夜が来たのじゃ。
ゴハンも食べて、風呂にも入って、テレビも見て、そろそろお休みなのじゃ。
「これ、レッド」
「ふにゃ……コンねぇ~」
「何故ポンだと眠れるのじゃ」
「ちょうどよいゆえ」
「?」
「どらやききゅー、ちょうどよいゆえ」
レッドは言っておったのう。
しかしの、シロと一緒にお昼寝したのじゃ。
シロのナイスバディはフカフカだったのじゃ。
しかしレッドの言葉、気になるのう。
おお、ポンの足音が近付いてきたのじゃ。
「おお、ポン、待っておったのじゃ」
「コンちゃん、どうかしたの?」
「早うこっちに来るのじゃ」
「そりゃ、そっちに行くよ、お布団一緒だもん」
「早く入るのじゃ」
「ってか、ちょっと寄ってくださいよ~」
「早く! 早く!」
「今日のコンちゃん、なんか変だよ~」
ギュー!
「ふわわ、どうしたんですか、甘えん坊さん」
ギュー!
「もう、しょうがないですね、コンちゃんは」
わらわ、気付いてしまったのじゃ!
この、未発達な残念な体。
抱き枕には最高なのじゃ。
シロの豊満ボディも確かに良かったが……
ポンのこの「どらやき級」本当に良いのじゃ。
今まで毎晩一緒ゆえ、当たり前になっておった。
わらわが安眠できるのは、こやつの体のおかげだったのじゃ!
朝じゃ、まだウダウダしていたいのう。
これ、ポンよ、動くでない。
わらわはまだグダグダするのじゃ。
「コンちゃん放して~」
「動くでない、おぬしは抱き枕なのじゃ」
「朝のお勤めがあるのー!」
ギュー!
なんじゃこのちょうどよいフニフニ感。
ふむ、今までわらわが安眠出来たのは、この体のせいじゃったのじゃ!
シロのフカフカもよい……
しかしポンもフニフニ感の方が断然よいのじゃ。
「コンちゃん放して~」
「わらわ、気付いたのじゃ」
「なんに気付いたんですか?」
「ポンがわらわをグダグダにしておるのじゃ!」
「え? わたし? なんで!」
「おぬしのこのどらやき級の体が、安眠を誘うのじゃ! グダグダを誘うのじゃ!」
ドクン!
ポンの心臓、一度大きく鼓動したように聞こえたのう。
「コンちゃん……」
「ふふ、フニフニなのじゃ~」
「死ねっ!」
おお、ポンから抱きしめてきたのじゃ。
って……
ちょっ……
「ちょっと待つのじゃっ!」
「死ねー!」
「い、痛いのじゃ、力加減ないのじゃ!」
「死ねー!」
ああ、気が遠くなる……
ポンのフニフニボディのせいなのじゃ……
「ああ、どらやき級、最高……」
「死ねーーーっ!!」
ふわわ!
「コンと村おこし」なんですが、オマケの「plus」なのでわたしが主人公!
今日もお仕事終わって、あとは寝るだけなの。
って、お布団のところに行ってみると……
「これ、ポン、待っておったのじゃ」