転生してきた俺があまりにおかしなこの世界で生き延びる方法:検索
結局採寸は指を褒められただけで終わった。指を褒められてなんの展開もなく「お疲れ様でした〜」と言われて終わった。俺が思い上がっただけなんだろうけど、なんか人格を否定されたような気持ちになってる…否定なんかなんもされてないし…ハーレムもチートもなし…この世界に絶望しかなし…そんな感じだ…なーんも楽しくなーいっ!さあっ!!もう残された希望はただ一つ!!下ネタ連発おねーさんだ!!そんくらいいるやろ!!どんな世界にも!!それくらいしか俺の希望ねーよ!!ふっふっふ…もう妄想劇は終わりだ…才能なくても…好かれなくても…そっちで幸せになれればそれでオッケー!!よっしゃそれじゃ早速探しにいk
「おいノア。せっかく商店街に来たんだし、お前の部屋着買いに行くぞ。」
「えっ?あっ、えーっと…はい…」
あっぶねー…突然話しかけられたから心の中吐き出しちまう所だった…初日でイメージ崩壊とかありえねーって…
「あ、でも、部屋着ってこの服じゃダメなんですか?」
俺はなんか知らないけど最初着ていた服をライリーさんに強調する。
「っ…お前…それ私の服だからな…!!部屋着なんだからTシャツでもいいだろ!!」
中世ヨーロッパみたいな世界にシャツ…?なんかおかしい気がする…ていうかおかしい。どう考えても。
「あのー…Tシャツって1950年代に流行り始めたものなんじゃないんですか?」
「はぁ?何言ってんだ?記憶が無いとはいえ時間感覚も狂ってんのかお前は…今はほとんど2020年代だぞ。Tシャツなんて随分前から身近にあるものだろ?」
あれー?中世ヨーロッパみたいな街並みしてんのに2000年代なの?え?だから釘バットがあったの?でも釘バットって90年代じゃね?年代めちゃくちゃだな…
「じゃあ電化製品…パソコンとかもあるんですか?」
「当たり前だろ!!そんなの!!お前この街なめてんのか!!電線がなくて違和感を覚えてんなら電線は地下にあるかんな!!モンスターが街に侵入した時に対応できるように!!」
うわ、めっちゃ怒られた…悲し…
「チッ…そんな顔すんなよ。とりあえずこれから慣れていけ。慣れなきゃ生きれなくなるぞ。モンスターに殺される。お前に死んでもらっちゃ困るんだ。初めての男弟子なんだからな…」
「え?そうなんですか?てっきり20人くらい男弟子育てて来たんだと思ってました…」
「アホか。確かに弟子は育てて来たが全員女だ。色んな奴がいたが私にとってはお前が1番の『異例』なんだよ。」
そうだったんか…初めてなんだ…俺…
「ま、今までの弟子と同じで三ヶ月で結果を残せないようなら破門だな。お前が望んで入ったわけではないがな。」
「あー…三ヶ月…三ヶ月ですか!?いくらなんでもそれは早いでしょ…そんなに結果を求めてるんですか?」
「流石にお前の非常識ぶりには呆れるぞ?三ヶ月なんて普通じゃねぇか。所によっては二ヶ月の所もあんだぞ?いい所に入れてもらったと思って感謝しろよ。」
そう言ってライリーさんは不機嫌そうに早歩きをした。しかし、そこまで長く歩くことはなく、二十メートルくらい歩いて旋回。お店の中に入った。それに急いで着いていく。店に入ると、もうライリーさんは店主と話していた。
「お、噂をすれば。こいつがノアだ。ノア・フォスター。」
「ほうほう。この子がノアくんですか。平凡な力以外にも、何か光るものがありそうですにゃー。」
店主と思われる猫耳少女は目を細め顎に手を当てそういった。
「おっとー。挨拶が送れましたにゃ。ミアはミア・キャルート。由緒正しき猫種族、キャルート族の一人ですにゃ!!得意なことはお裁縫。なので服屋を営んでまーす!よろしくぅ!」
「あ、えっと、ノア・フォスターです。よろしくお願いします。あの、いきなり質問で申し訳ないんですけど、猫種族ってなんですか?」
「にゃんと!?ご存知でにゃいですか!!まあ無理もにゃいですかね…記憶喪失らしいですもんね…いいでしょう!!説明致しますにゃ!!猫種族というのはモンスターの中でも人間と共存してきた種族のひとつのことを指しますにゃ。活発な動きで人間を助けてきましたにゃ。でも、ミアは活発ではないので手先だけでやってきたんですよねー…あ、耳は頭のふたつだけですよ!猫種族って言うのはこういう感じですにゃー。ご理解頂けましたか?」
「は、はい。十分理解しました…」
マジでこういう子もいるのか…スゲーなこの世界。チート能力がないのが玉に瑕だけどな。
「おいノア。ミアに好みの服の種類を教えろ。それを買ってやるから。」
俺はこくんとうなずいた。さっきから言われるままに行動してる…この世界に来てまもないから理解しきるまではNOを言えないだろうな…俺ヘタレだし…とりあえずミアさんに好みの種類を教え、ライリーさんに会計をお願いする。
「ちなみにこれが私が支払う最後の服代だからな。あとは自分で稼げ。」
「稼げって言われても…稼ぐ術がないでしょう…」
「何言ってんだよほんとに。平凡な実力があるんだからちいせーモンスターなら倒せるだろ。」
そういいながらライリーさんはミアさんからお釣りを受け取った。
「ありがとうございましたにゃー。」
ライリーさんが真っ先に出ていき、俺もミアさんの眩しいウインクに見送られながら店を出ていった。