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りそまお~理想の開拓スローライフは魔王城から~  作者: 絵羽おもち
第1章 まったり冒険な開拓準備
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第58話 これなるは少女を救うための物語 5

 じわりじわりと、嫌らしい笑みを浮かべ距離を詰める野盗のような男達。

 隠れ潜んでいたのだから、無傷で体力もあり余っているだろう。

 今までと違い、理性のある生きた人間らしい。

 対して、カデュウもクロスもここまでの連戦と走り続けた強行軍で、軽傷とはいえ手傷もあるし疲労困憊だ。


「数が、多すぎる……!」


 アイスやユディもいるが、数百は数えられる敵に対処しきれるかどうか。

 不安がカデュウの口から洩れる。


「私達だけでは、ちょっとまずいです……」

「後退しながら、耐えて援軍待ち、かな」


 厳しい表情で見つめるアイスやユディの言う通り、後退すべきだろう。

 その場合でも疲労の極致にあるカデュウらが足手まといとなる。

 それでもこの場で戦い続け、敵に分断され各個撃破されるよりはマシだ。


「ほらほら、どうしちゃったのかな~。びびっちゃいましちたか~、怖いでちゅか~?」


 高台の男、クースピークスの団長を名乗る男から、煽りが飛んでくる。

 絶対有利にあると確信している舐め切った表情。


「安心しなよ、みんな殺しはしないからさ。俺達は優しいんだぜ? ちゃーんと楽しく遊んだら、奴隷商人のおじさん達に売ってあげるからさ。高く売れるぜ?」


 クズを名乗る男の、クズらしい宣告が響く。




 ――その時。


「そうか。……ならば、遊んでやろう」


 ――光が。その瞳から、光が漏れ出ていた。

 ――碧眼の輝き。


 小さき人。プラチナブロンドのホビック。

 ソトが、カデュウ達の前に出る。


「ソト師匠!」

「私に任せろ。合図をしたら、アイスとユディは斬り込め」

「わかった」

「ふむむ? 了解ですー」


「それまで、動くなよ。――決して」


 いつものように喋っているが、少し、いつもと違う。


「クズ野郎共、私のモノに手を出したな」


 怒り。ソトの言葉の端から伝わる怒り。

 歩き出す、敵に向かって。

 ――そして、魔力の波動。

 ソトのその手に握る魔霊石が、輝きを、放つ。


「《与えよ、さらば求められん》」

「いいぜぇ……与えてやるぜ」


 ニヤニヤと近づくクースピークスの集団。

 そのうちの1人がソトを掴もうとしたのか腕を振るう。

 だが、逆にその腕が掴まれる。

 そして、男を掴んだガントレット、そこからも光が漏れ出す。


「《そは真理。そは胎児。ならば人か? いいや物だ》」

「お……うごぉ、げぶぁ……」


 掴まれた男が、見る見るうちに変形していく。


「《ならば形は? いいや問わぬ》」


 すでにして、人の形を留めていない。

 男は、男ではなくなった。


「《人の生み出した人よ、汝は人にあらず》」


 膨らむ。膨らむ。

 その光景を目の当たりにして、同じく近づいていた者たちが、怯む。


「――【供物の人形現象(ゴーレム・ハラミーム)】」


 男だったはずの者は、変形し、膨らむ。形作られる。人から、人形へと。

 その名はゴーレム。魔術にて命を与えられた自動人形。


 ただ、そのゴーレムの材料は、人間だった。

 フレッシュゴーレムという、肉で作られる種類のゴーレムだ。

 しかし、本来は死肉を用いて作り上げるものであり、生きた人間をそのまま材料とする魔術などではない。

 

 仲間の変質したその姿を見た敵達は、怯え混乱した。

 未知なるものを恐れるのは人の性だ。


「貴様も、ゴーレムになりたいか」

「ひっ……た、たすけ……いやだ、いやだっ」


 碧く輝くソトの瞳に気圧され、狼狽し逃げだした。

 その男が逃げる姿を見て、他の者も慌てて逃げる。

 しかし、ソトの振るう手には魔霊石が。魔力の源が握られていた。


「もう手遅れだよ、クズ共」


 逃げた先の土が、木々が、次々とゴーレムと化していく。

 悲鳴を上げ、我先にと逃げ出すクースピークスの暴徒達。

 だがすでに、生まれ出でた多種多様なゴーレムがその周りを囲んでいた。


 人型や様々な動物、鳥のような飛行物、そして怪物のような不定形の肉塊。

 それらが一斉に襲い掛かり。

 そして、一方的に蹂躙した。

 数百を数えた暴徒達は、次々とゴーレム達に潰され殴り飛ばされ飲みこまれた。


「ほら、遊んでやるよ。楽しくな」


 抵抗しても痛覚のないゴーレムには効かず、どこを攻撃すれば倒せるのかすらも彼らにはわからない。

 前後左右、果ては空まで、安全な位置などなく。

 とても、正常な判断など下せる状況ではなかった。


 隣で奮戦していた仲間が突然暴れ出し、肉塊のゴーレムと化していく。

 もはや、誰も、何も、信じる事が出来ない。

 近づくものは全て敵として狂気に飲まれた者もいた。


 人を生贄として魔力に変え、その魔力をリソースに、広範囲に渡ってゴーレム化現象を起こすという、脅威の大魔術。


 最後には、巨大な肉塊の怪物が全てを飲み込み、そして大地へと消えていった。


「ああ、斬り込みの合図するまでもなかったな」

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