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りそまお~理想の開拓スローライフは魔王城から~  作者: 絵羽おもち
第1章 まったり冒険な開拓準備
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第12話 MP0からはじめる魔術師生活 パスタ師匠

「そういえば。ソト師匠、どうして魔術が使えなかったんですか?」


 先程の疑問をソトに尋ねた。


「それは、その~。……実は私は、魔霊石が無いと魔術が使えないんだ」

「なんですと?」


 魔霊石。

 宝石の一種なのだが、魔力が籠っているという特性をもつ特殊な石。

 この石を用いて魔力を代替わりする事も出来るありがたいものなのだが……。

 いかんせんお値段が高い。

 宝石の中では安い部類とはいえ、やはり資金に余裕がないと中々使おうという気にはなれないだろう。


「おかしいじゃないですか、魔術師になったのなら自前の魔力がないわけが……」

「私の種族を言ってみろ、その特性もな」

「ホビックですよね。特性は素早くてしぶとくて……魔力がない」


「そういう事だ」

「なんで魔力が無いのに、魔術師なんかやろうと思ったんですか!」

「ホビックだから魔術が使えない、そんな思い込みを覆したかったんだ! 逆にこう、なんか個性的だし! オリジナリティーを出して行かないとな!」


 だめだこの人。早くなんとかしないと。


「あの時、ギルドでハズレ扱いされてて、ボッチで、露骨に僕を狙ってきた理由がはっきりわかりました……」

「やだー、お願い! 捨てないで! 私を見捨てないで! もうここにしか居場所がないんだ!」


 いきなりソトが足にしがみついて泣き叫んでいた。……うわあ。

 寄生されたか。という言葉の真の意味をカデュウは悟った。


「やめてください、プライド無いんですか!」

「プライドなんざ、何の役にも立たたんわ」


 突然真顔になって格好いい事を言い出したソトだが、足にしがみついたままなのであまり格好良くはなかった。


「自尊心だの虚栄心だのは必要ない、そんなものは銅貨1枚の価値もない! 必要なのは矜持だ。自分の筋を通す事だ!」

「この足にしがみついて泣きわめいてるのは、矜持には触れないんですか?」

「まったくな! 靴だって舐めてみせる!」


 ある意味とても清々しい。

 元々、捨てる気なんてなかったのだが、かつて先生に教わった事と同じような思想を持っているソトに好感を抱いた。


「捨てないから落ち着いてください。足を離して」

「ほ、本当か。騙したりしないか」


 いつも捨てられてきたのだろうか、疑心暗鬼になっている。


「もちろんですよ。ソト師匠は良い人ですし」

「……大丈夫、役立たず仲間」

「荷物持ちの俺と、荷物持ちを維持してるだけの奴もいるしな」


 励ましてるのか自虐なのかイスマとシュバイニーがソトに微笑む。

 考えてみればアイスしか戦力になっていない。

 過半数が戦力外ってどういうことなの……。


「あはは。面白いし、いいんじゃないですか? 」


 出来る子アイスはさすがの余裕であった。心が広くて何よりだ。

 すぐ斬りたがる狂犬だけど。


「ありがとう君達! いつでも私を頼ってくれたまえ!」


 調子が戻ったソトがようやく足を離して、立ち上がる。


「って、なんで今度は首にしがみつくんですか!?」

「喜びの表現だ! こうして可愛がってやるからなー、捨てるんじゃないぞー」

「むしろ可愛がられる方なのでは……、サイズ的に」

「それもいいな! 師匠を愛でるんだぞー、愛情をもって育てろよー」


 育てられる方なのか。師匠なのに。

 いつもこの辺がバレた辺りで捨てられていたのだろう。

 そこを乗り越えたら、凄く懐かれた。


「そんなすぐに懐いちゃダメですよ。悪い奴に捕まって酷い目にあってポイされますよ」

「ふふーん、私の人を見る目はパーフェクトなのだ。こうしてカモを捕まえたしな!」

「いま、カモって……」


「細かい事は気にするな、美少女なんだからどーんと構えてだな」

「何故、美少女がどーんと構えるんですか、っていうか美少女ではないのですけど」

「細かい事は気にするな!」

「細かくないですよ、そこは気にしましょうよ!」


 こうしてソトと賑やかに喋りながらカールス村へと戻るのであった。

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