夜風
小屋に戻った次の日、一郎は森で小さな木の実を何個も取ってきた。
じーさんに頼み、厚手の布を袋状にして木の実を中に入れる。口を縫えばお手製のお手玉の完成だ。
お手玉を3つ作ってもらった一郎は、小屋でお手玉の練習を始めた。
「まずは3つをマスターしよう」
来る日も来る日もお手玉の練習をする一郎。天気の良い日は外でお手玉。風の日雨の日は家でお手玉。
猫の手ではお手玉を掴みにくいが、練習あるのみである。
「一郎は熱心だね」
「ああ、あの日街に行って正解だったかな」
「でも最近一郎があまり遊んでくれなくて寂しいな〜」
「ふふ、大分上手くなったから、そろそろだと思うぞい」
じーさんの読み通り、3つをマスターした一郎。その調子で4つにも挑戦する。
「おっ!いけるいける!!出来ることが素直に嬉しい一郎」
次は5つにも挑戦するが、流石に上手くいかない。
「むむっ。難しいぞ…」
それから何日も練習するが、ついに5つは出来なかった。
がっくりと肩を落とす一郎。
「一郎。上手くいかないの?」
ミーアが心配そうに見つめる。
「あ、ああ難しい。あの時の青年はもっと沢山やってたのになぁ…」
「わたしは2つでも一郎のお手玉は素敵だったよ。あの時の一郎、とても良かった!!」
「…そうか、ありがとうミーア。少し焦りすぎた様だ」
「少しずつ頑張ろうね!」
外に出て夜風にあたる一郎。
あの時の青年の姿が頭から離れない
「せめて名前を聞いておけばよかった…」




