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ニートが猫に転生する話あるんですけど、聞きたいっすかwww?  作者: しいたけ
          猫一郎
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 お買いもの

楽しみにしていた街でのお買い物。

一郎の目には全てが未知の事で……。

 一郎は外のざわめきに目をさました。

「んんん〜。よく寝たなぁ…」

大きいあくびをしながらノビをすると、じーさんとミーアも目をさました。


 「おはよう」

「おはよう。良く眠れたかい?」

「ああ、外が賑わっている様だけど、もう人がいっぱい居るのかな!?」

窓から外を見て一郎が言う。

「この街は朝から活気がある。わしらも朝ごはんを頂いたら早速買い物といこう」


 買い物へ出た3人。

「じーさん、何を買うんだい?」

「今回は、調味料と保存食を買いに来たんじゃ」

と、じーさんは出店の商品を手に取り物色する。

「おじいちゃん!これ買って!!」

と、ミーアが綺麗なガラス球に入った船を手に取る。

「ほほぅ、ガラス球の中に船が入っておるのか。どうやって入れたんじゃろなぁ?」

一郎がこっそり耳打ちをする。

「台座からガラス球を外してみて。小さな穴があった? そこから部品を入れてガラス球の中で船を組み立てたんだろう」

「一郎すごーい!!よく知ってるね」

羨望の眼差しで見つめるミーア。出店の主人が不思議な顔でミーアを見る。

「ミ、ミーア。静かに頼むよ」

はっとした表情になるミーア。

「ご、ごめんね。」

「ミーア。家に手ごろな空き瓶があるから、やってみるかい?」

じーさんがミーアに尋ねる。

「うん!やってみたい!!帰ったら教えてね!!」


 じーさんのリュックから出店を見渡す一郎。ある事に気付いた。

「(貨幣価値ってどうなってるんだろう?昨日じーさんはいくら貰ったんだ?)」

周囲の値札には[1][3][4][7]等1ケタの数字が目立つ。


 「じーさん、この世界の貨幣価値ってどうなってるんだい?」

じーさんが布袋からコインを数枚取り出して説明してくれた。

「四角いお金が5つで、丸い穴空きのコインと同じじゃ。銅が100枚で銀と交換。銀が10枚で金と交換じゃ。ま、この街じゃあ大抵は銅貨で買える物ばかりさ」

じーさんが布袋にコインをしまう時、ちらりと見えた袋の中は殆ど銅貨で銀貨が数枚入っている程度であった。


 「じーさん、もしかして生活あまり余裕が無いのでは…?」

その瞬間、心が痛くなる一郎。前世で働かず母のお金で引きこもっていた自分が、どれだけ母の負担になっていたのか気付いてしまったのだ!

「(じーさん、俺が増えた分食費とか、色々かかるんじゃぁ…)」

どんどん心が重苦しくなる一郎。

「一郎?どうしたの?」

急に大人しくなった一郎を見てミーアが心配する。

「あ、ああ。ごめん大丈夫だよ」

一郎がにっこり笑う。


 ふと、道の傍らでみすぼらしい青年がお手玉をしていた。足元には空の缶詰があり、中には銅貨が2枚入っていた。どうやら大道芸人のようだ。しかし彼を見る人は居なかった。

「すっごーい!見て見て!お手玉1個2個3個、、、、いっぱい凄いねぇ!!」

ミーアが盛大な拍手を送る。ミーアに気付いた青年が更にお手玉を早く回す。

「彼は若いのに大したものだ…」

その言葉に深く胸をえぐられた一郎。居ても立ってもいられず、リュックから飛び降り青年の元へ向かう。

「一郎!どこ行くの!?」


 青年の足元へ寄ると、ニャーニャーと鳴き、落ちているお手玉を2つ手に取り後ろ足だけで立ち、青年のとなりでお手玉を始めた。一瞬驚いた青年だが、かまわず一郎と一緒にお手玉を続けた。

「おおー!一郎すごーい!!」

ミーアの拍手喝采を浴びた一郎。


 猫のお手玉に目を留める人が1人2人と集まり、終いには青年と一郎を取り囲むかのように人だかりが出来てしまった。

無我夢中でお手玉をする一郎。1つ増やし、3つに挑戦してみるもポトポトと落してしまう。


 猫があたふたしながらお手玉をする姿に皆が笑い、空き缶の中に次々とお金を入れていく。

空き缶はすぐに満杯になり、ついにはお金の山に埋もれてしまった!!


 「こらー!!!何をしている!!」

異様な人だかりに街の兵士がやってきた!人々はすぐに散り散りとなり、一郎はすぐにじーさんのリュックに戻った。

最前列までやってきた兵士が目にしたのは、お手玉をする青年と山盛りのお金。

「……なんだ、ただの大道芸人か…」

首をかしげながら帰っていく兵士

「(あんまり面白そうに見えなかったけどなぁ…)」

ブツブツと不満を漏らし持ち場へ戻った。


 「じーさん、ごめんよ…。ちょっとやりたくなっちゃって…」

しゅんとする一郎。しかし、じーさんとミーアの表情はにこやかであった。

「なかなか面白かったよ一郎!!」

「一郎才能あるね!!みんな喜んでたよ!!」

じーさんとミーアが喜んでくれた事が何よりうれしかった一郎であった。


 リュックから降り、青年に近づく一郎。青年はお手玉を止め、一郎に近づく。

「貴方たちがこの猫ちゃんの飼い主ですか?」

「ニャー」

じーさんの方を振り向く一郎。何かを察したじーさんが答える。

「え、ええ。孫娘が飼っている猫じゃ。すまんのうお仕事の邪魔をしてしまって。ちょっと変わった猫で家でもああいう感じなんじゃ…」

と、説明するじーさん。青年が晴れやかな表情で答える。

「いえ、こちらこそありがとうございました」

深くお辞儀をする青年。


 「猫ちゃんのおかげで、昔の純粋に人を楽しませたい気持ちを思い出させてもらいました。結果的に沢山の人に見てもらえましたし、チップも尋常じゃない量で、、、」

と、山盛りのお金から両手で2杯分を袋に入れ、じーさんに手渡す青年。

「これは猫ちゃんの分です。是非受け取って下さい」

袋の重さに困惑するじーさん。一郎へ目配せすると、一郎は黙って首を縦にふった。

「わたしにはこれだけあっても十分すぎます」

と空き缶一杯のお金を見せる青年。じーさんに渡した量の4分の1程度だ。

「では、ありがたく頂戴致します」

と、袋をしまうじーさん。

一郎は青年にすり寄り、頭を足にスリスリした。


 「そうだ! ちょっとお待ちを」

と、青年が自分のバッグを漁る。 取り出したのはとても小さな服。黒の半袖ジャケットに蝶ネクタイがついていた。

「これを君に…」

青年は小さなジャケットを一郎に着せる。

「おお!ピッタリだ!」

スーツを着た一郎。猫にも衣装である。蝶ネクタイがいかにもそれっぽい。

「一郎オシャレ!!」

ミーアがべた褒めする。照れる一郎。

「ほう、君は一郎というのかい?とてもよく似合う。お礼にこれを差し上げよう。また今度機会があればいっしょにお手玉をしよう」

そう言い残し青年は去っていった。


 「一郎、いっぱいお金貰っちゃったね」

ミーアがじーさんのリュックを指で押す。リュックの中ではジャリジャリと音が鳴った。

「あ、ああ。そのお金はじーさんにあげるよ」

と、精一杯の照れ隠しで言う一郎。

「え!?それはいかん。これは一郎が貰ったお金じゃ!それを貰うわけにはまいるまい」

じーさんが即答した。続けて一郎が少し目の焦点を外し話す。

「いや、家でお世話になっているお礼と思ってくれればいい。じーさんにも色々教えてもらってるし、そのお金は勉強代さ」

そう言うと、じーさんもちょっと照れながら、

「そうか、そう言って貰えるならありがたく頂戴するよ。ありがとう一郎」

「ありがとう一郎!」

ミーアもお礼を言う。

「こちらこそいつもありがとう」


 一郎は深々とお辞儀をした。

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