街へ
じーさん、ミーアと共に街へ着いた一郎だが…。
「街へ行ってみるかい?」
じーさんの唐突な発言にきょとんとする一郎とミーア。
「そういえば、じーさんは時々街に行ってるんだっけ?」
「行く行くーーー!!」
隣で大はしゃぎするミーア。
「よし、じゃあ明日出発じゃな」
次の日の朝、3人で小屋を出発し街へ歩き始めた。
「どれくらい歩くんだい?」
「半日くらい歩くと、馬車屋があるから、そこからまた半日馬車で行けば街に着くさ」
「げ…まじで…」
怪訝な表情の一郎。
「街は遠いけど、今日は一郎も居るから大丈夫だよ」
街に行くのが楽しみなミーア。何が大丈夫なのかは分からない。
「なぁ、じーさん?」
「ん?何だい一郎?」
「俺が喋る猫だって事は秘密にしておいてくれないか?」
じーさんが不思議な表情を見せる。
「…分かった。人目に付きたくないんだな?」
「ああ、俺はこの世界をよく知らないからな。大丈夫だと思ったら自分から話すさ」
「私もヒ・ミ・ツにしておくね」
ミーアの可愛げな表情に、少し心が癒される一郎であった。
休憩を挟みつつ歩き、お昼ごろに大きい馬小屋についた。
馬小屋は古い作りで、馬のいななきが外に聞こえていた。
「やっと着いた〜」
ヘトヘトの一郎。ミーアはまだ元気の様だ。馬小屋へ走って行き、馬を見ていた。そこへ大柄な男が右足を庇いながら歩いてきた。
「おお!これはこれは、よくいらっしゃいました。今日も街へお出かけですか?」
じーさんに気さくに話しかける男。
「ああ、また馬車を頼むよ」
「あい分かりました。ただ今準備致しますのでお待ちください」
男はズルズルと右足を引きずる様に馬小屋へ向かっていった。
一郎がじーさんの肩に乗り、こっそり話しかける。
「じーさん、知り合いかい?」
じーさんも小さな声で返事をする。
「昔、怪我をして動けなかったのを助けた事があってな。右足はその時の後遺症じゃよ。私が街に行くときは馬車を借りておる。安くしてくれるので助かるわい」
男が馬車でこちらへやってきた。
「準備が出来ました。さぁどうぞ」
「へっへー、一番乗り!!」
いつの間にか戻っていたミーアが我先に馬車に乗る。
「?、その猫も一緒ですか?」
男がじーさんに問いかけた。当然の質問だろう。
「あ、ああ。家に置いておくのもなんだから、連れてきたわい。ダメじゃったか?」
しどろもどろで答えるじーさん。
「ええ、大丈夫ですよ。それじゃあ出発しますね」
男は手綱を引くと、馬がゆっくりと歩きだした。
馬車の中で昼食にする3人。サンドイッチと木の実をモグモグと食べた。
「街はどれくらい大きいんだい?」
「うんとね。とってもとっても大きいんだよ!!」
答えになってない様な気がするが、可愛いからよしとしよう。
「街は3つの区画に分かれていて、お店が多くならぶ商業区。住宅の並ぶ住居区。そして工業地帯の工業区じゃ。商業区で持ってきた物をお金に換えて、他のお店で必要な物を買って帰るんだ」
一郎は期待と不安でドキドキワクワクしていたが、馬車に揺られいつの間にか寝てしまった。
「一郎寝ちゃったね」
「ああ、街まではまだある。ミーアも少し休むといい」
ミーアと一郎にひざ掛けを掛けるじーさん。
「はーい、おやすみ〜」




