市場の影の支配人
更新が遅れてすみません。久々更新です。
それからと言うもの、リースは市場へ足繁く通うようになった。
様々なお店の商品をや売っている人を観察し、市場の情報を積極的に取り入れるようになった。
木彫りが集まれば自分もお店を積極的に出した。
何を売ろうが許可はいらず、自由に商売が出来るのもミーアの背中を押した理由の1つでもあった。
「お嬢ちゃん、最近良く見かけるねぇ……」
最初にお店を出したときに隣で売っていたオバサンに声をかけられる。
「あ、オバサンおはよう! 今日は何を売るつもりなの?」
今日もミーアの笑顔が明るい。
「今日は大根とキャベツと――」
オバサンの後ろには荷車があり、野菜が沢山載っていた。
「それなら今日はジークさんの隣がいいね。ジークさん肉と味噌売ってたからきっと相性が良いと思うよ」
朝から市場にいるミーアは『誰がどこで何を幾らで』売っているのか全て把握していた。
「そうかい、ありがとう。是非そうするよ。これお駄賃ね」
そう言うと、オバサンは銅貨を1枚ミーアに手渡した。
ミーアの狙い通り、隣で肉を買った後、オバチャンの野菜を買う人は多かった。
値段や物を見て、今日の献立を想像する。食べたい料理の食材が近くに有れば手に取ってしまうのは自然の事。値段が安くて物が良ければ尚更だ。
最近ではミーアに助言を求める人も増え、雑談や相談と共に情報量は更に増えていき、農家の生産地、生産時期、原価、等々……。売り手の情報が一挙に集うようになったのだ!
すると、今度は買い手からも相談を受ける様になり、市場の需要と供給の情報が全てミーアの中へ集まった!
ミーアはいつしか影の支配人と呼ばれていた……。
12歳の子どもが市場の流通を網羅する。何も知らない旅人の目には、元気な女の子にしか映らないだろう。
朝から晩まで市場の人と話しをする。それだけでミーアの手元にはお小遣いと言う名の情報料が大量に舞い込んでいた。
「たまったね〜」
教会の自室には大きい貯金箱が3つ。それでも入りきれずビンに入ったお金が大量に置いてあった。
「明日両替しよう」
そう決めて、その日は眠りについた。
次の日、ミーアは手押し車にお金を入れ布で見えない様にし銀行へ行った。
最初は驚いたが、ミーアだと知ると納得し両替に応じてくれた。
帰り道、浮かれたミーアが1件の家に入る。
「タツさんいますかー?」
小さな家に元気な声が響く。
「あいよー!」
タツと呼ばれた中年の男が奥から現れた。
「おっ!ミーアちゃんじゃねえか。どした?」
まるで親戚の子の様な扱いでミーアの傍へ近づく。
「あのね、お金溜まったからこの前言ってた修理お願いしたいの……」
ミーアがポケットから金貨を数枚取り出した。
「へへ!仕事だな。久々に腕が鳴るぜ!」
鼻を擦りサンダルを履くと、タツはミーアと教会へ行った……。




