ミーアと少女
次の日、ミーアは少し早く起きてキッチンへ。
しかしすでに朝食の仕度は始まっており、
アリサの笑顔が出迎えてくれた。
「おはようミーアちゃん」
「おはよう。アリサお姉ちゃん」
朝の挨拶も少しずつ慣れ始めていた。
今日も子ども達の朝食を手伝うミーア。
慣れない手つきでジャガイモの皮を剥く。
「ミーアちゃん。ジャガイモの芽と生皮には
毒があるわ。しっかりと剥いてね」
その言葉に否応にも気合が入る。
子ども達の朝食後は、算数が始まった。
集まる子ども達の年台には多少幅があるが、
数の数え方や簡単な計算くらいは覚えて欲しい。
アリサはなるべく分かりやすい方法で、
子ども達に覚えてもらおうとしていた。
「小さな子ども達が働いても、大人が賃金を
ちょろまかすの。
悪い大人に騙されない様になるのも、
勉強の1つよ」
ミーアは自分が生きてきた環境との違いに
複雑な想いになる……。
ミーアは大勢の子ども達の中、1人の少女が目に留まった。
同じくらいの背格好だが、来ている服はとてもみすぼらしく
髪はボサボサ俯きがちで内気な感じが見てとれた。
授業が終わり、解散となるとミーアは少女に話しかけた。
「こんにちは」
ミーアはなるべく違和感無く普通に挨拶をした。
「こ、こんにち……」
内気な少女はミーアの少し右を見ながら挨拶を返した。
お互いに会話も無く気まずい雰囲気が漂う。
アリサは遠くからそれを眺め、そっとしておいた。
次の日、ミーアは少女に小さな花を差し出した。
「あ、ありが……と……」
少女は恥ずかしそうにモジモジとお礼をした。
様々な子ども達と接する中で、ミーアには何故少女の事が
こんなにも気になるのか分からずにいた。
ある日、ミーアは教会を出た後の少女の後ろをつけた。
どんな家に住んでいるのか。ご飯は食べられているのか。
家族は居るのか。気になって仕方なかったのだ。
「ミーア」
しばらくしてアリサに後ろから呼び止められた。
ミーアは何故か怖くなった。
「秘密を暴くようなことをしてはダメよ。
聞きたいことがあれば直接聞きなさいな」
ミーアはまるで心の内を見透かされた様な気がした。
その時、ミーアは何故少女の事が気になるのか分かった――
(私はあの子に勝手に同情していたんだ……)
「きっと明日も来るわ。その時笑顔で迎えるのが、
あなたの仕事よ♪」
アリサは振り返ると、教会の方へ歩いていった。
ミーアは雑念を振り払い、真っ直ぐにアリサの後を追いかけた……。




