授業
朝、賑やかな声で目が覚めたミーア。
「おはようございます」
キッチンではアリサが忙しく食事の準備をしていた。
大きい鍋に大量の食材。いったい何人分あるのか見当すら付かなかった。
「おはようミーア。
早速で悪いんだけど、ここのタマネギ全部
皮を剥いてもらえないかしら?」
忙しなく動くアリサ。ミーアは手を洗い
食事の準備を手伝った。
「これから小さい子ども達が沢山来るわ。
中には満足に食事に有り付けない子も居るの。
私はそういう子ども達の為にこの教会を役立てたいのよ」
キッチンで鍋をかき回しながら語るアリサの顔は
とても輝いており、ミーアには魅力的に見えた。
食事の準備が終わるころ、1人、また1人と子ども達が
集まってきた。
「アリサ姉ちゃん!!」
「お姉ちゃん!」
子ども達から慕われる声が教会に響く。
「アリサ姉ちゃんあれは誰?」
子ども達の視線がミーアへと注がれる。
「今日からこの教会で一緒にお勉強するミーアちゃんよ!
みんな、宜しくね」
アリサの手招きで、ミーアは軽い自己紹介をした。
幸いにもミーアは子ども達に歓迎され、ミーアも一安心した。
パンとミーアが皮を剥いたタマネギが入ったスープが配られ、
子ども達は一斉に食べ始めた。
ミーアも遅めの食事を頂く。
自分で剥いたタマネギを見つめ、不思議と笑顔になる。
「アリサお姉ちゃんパン食べないの?」
ミーアはスープにしか手を出さないアリサを見て不思議に思った。
アリサはこっそり人差し指を口に当て片目を軽く閉じた。
ポロッ……
「ああっ……」
1人の子どもが食べかけのパンを落としてしまう。
アリサは自分のパンを半分にし、その子へと近寄る。
「はいどうぞ」
アリサは落ちたパンと自分のパンを交換し、子どもへ渡した。
そして皆に気付かれない様にミーアへウインクをした。
落ちたパンをこっそりしまうアリサ。
残りの半分も、まだ足りなさそうな子にあげてしまった。
食事が終わり、子ども達は自分達で食器を片づけ始めた。
食器を種類ごとに集める子、洗う子、拭く子。
子ども達が主体となり片づけはアッと言う間に終わった。
片付けが終わり、礼拝堂の椅子へ座る子ども達。
アリサが1冊の本を広げ、読み聞かせを始めた。
ミーアはアリサの美しい朗読を固唾を飲んで眺めていた。
今日の授業が終わり、子ども達は外へと駆けていく。
手を振るアリサとミーア。
ミーアは椅子の掃除を任され、バケツを取りに行く途中で――
今朝の落ちたパンを食べるアリサを見た。
落ちたパンを美味しそうに食べるアリサを見て、ミーアは
衝撃的な何かを感じた。
そして何も見なかった事にした。
空いた時間で、ミーアはアリサに勉強を教わった。
「ミーアちゃん同年代に比べても全然出来るじゃない」
褒めてくれるアリサの顔を見てミーアは嬉しくなった。
勉強終わりに何冊か本を借りたミーア。
自室に戻ってペラペラとページをめくる。
――旬の野菜と料理法――
ミーアは少しでもアリサの役に立とうと思った……。




