帰宅
「ただいまー」
一郎とミーアが小屋へと戻った。
2人の表情は重く、成果が芳しくない事はじーさんの目にも明らかであった。
「おかえり。疲れたじゃろう」
じーさんがお湯を沸かし、お茶の用意を始める。
ミーアがソファに寝転がりため息をつく。
一郎は椅子で毛繕いをしていた。やる事が猫に近くなってきている。
「じーさん、山の土が売れたよ。
やっぱり焼き物に使えそうだ」
一郎がお茶をチビチビ飲む。
「そうかい、それは良かった。
馬車か何かが有ればいっぱい運べそうだの」
じーさんが笑顔で答える。
「でも……」
言葉を詰まらせるミーア。
「俺の芸はダメだった……。
街への足代にしようと思ってたのに……」
しょんぼりする一郎。
ミーアが一郎の背中を優しく慰めるように撫でた。
「そうか、でもまだまだこれから。
諦めずに頑張るといい」
ニコッと笑うじーさんの笑顔が眩しい。
帰宅後、夕食を食べ1人考えにふける一郎。
「いっその事『喋る猫』を売りにしてしまうか……」
「いやいやいや、なるべくミーアと一緒にやるのが一番だし……」
「う〜ん……」
「どうしたの一郎?」
ミーアが一郎の隣に座る。
「どうしたものかなぁ……って」
「一郎」
ふと真面目な顔になるミーア。
「ん?」
「私、学校に行くよ」
「え?」
突然の事に頭が着いて行けない一郎。
「街へ行って思ったの。
今のままじゃお金すら稼げない。
お金の稼ぎ方を勉強しないとダメだって」
ミーアの顔は真剣そのものだった。
「両親の所に行くのかい?」
「ん〜ん、王国に行くの。
アッポさんから聞いたんだけど
学校の近くに住みながら学校へ行ける
制度があるんだって!」
「そ、そうか……。
まぁミーアが決めたならいいんじゃないかな?」
少し寂しそうな一郎。
「今回は一郎は一緒に行けないかもしれないね」
ミーアも少し寂しそうな顔をした。
「でもどうやって学校へ入るの?」
「アッポさんが調べてくれるって……」
2人は複雑な思いを胸に眠れぬ夜を過ごした……。




