ミーアと街へ
一郎はミーアと2人で街へ来た。
「私ももう12歳だもん、1人で大丈夫!」
着いてきたがるじーさんを説き伏せ、ミーアと一郎は馬車に乗り、街へやってきたのだ。
「まずはアッポさんの所へ行こう」
アッポさんの店はまだやっていて、中に入ると以前より少し老けたアッポさんが元気に出迎えてくれた。
「これなんだけど……」
一郎は荷物の中から袋に入った土を取り出した。
一郎が喋る猫だという事は、数年前にバレている。
今では普通に会話をしている。
「粘り気があるのぅ……」
「焼き物に使えないかな?」
「しばらく預かってもええか?
焼き物に詳しい人に話してみるわい」
「本当?ありがとうアッポさん!」
ミーアがアッポさんに抱き付く。
次の日、一郎とミーアは商業区を探索し売り物の傾向を調べ始めた。次に来るときの為だ。
「一郎?」
辺りをキョロキョロする一郎。
「あ、ああ……。
あれから一度も会えてない」
「大道芸人さんの事ね」
「よし、じゃあやるよ」
一郎は程良いスペースを見つけると、
以前青年に貰ったジャケットを着て、
足下に空の容れ物を置いた。
そして無言でお手玉をやり始めた。
「ん?」「おっ!」
次々と人の足が止まる。
「一郎凄い!」
ミーアが拍手を送る。
猫のお手玉はあっという間に満員御礼となり、
容れ物にチップが…………集まらない。
一郎が玉をわざと落として笑いを誘う。
お客さんの反応は良いものの、
肝心のチップは寂しいままであった。
しばらくするとお客さんは飽きてしまい、
1人、また1人と居なくなる。
しまいにはミーア1人になってしまった……。
「一郎……」
慰めようとするミーア。
「そう上手くは、いかないかぁ……」
半分も無い容れ物を覗き一郎は深いため息をついた。
足代として期待していただけに、落胆の色も大きかった。
とぼとぼとアッポさんの店へ帰る一郎。
「ただ今戻りました」
「おう、お帰り!
あの土売れたぞい!!」
「……へ?売れた?」
ポカンとする一郎。
「ああ!陶芸家の先生が
買っていったぞ。
試してみるってよ」
ニコリと笑うアッポさん。
「ああ、ありがとう!」
一郎は深々と頭を下げた。




