留守番 ③
「で? この猫は何で喋ってるんだい?」
不思議そうに一郎の身体を視る眼鏡のオッサン。
動物専門の医者だけあって、喋る猫に興味深々である。
「俺にもよく分からないよ。
それよりミーアを診てくれ!」
小屋に一人置いてきたミーアを心配する一郎。
「一応は診るけど、期待はしないでくれよ……。普段馬しか診ないんだから」
困った顔をする医者。
小屋のそばで倒れる人影を見つける青年。
「おい! お嬢ちゃんが倒れているぞ!!」
「な! なんだって!!」
思わず馬車から飛び出す一郎。急いで駆け寄った。
「ミーア! ミーア!」
倒れていたのはミーアであった。
意識は朦朧としており、依然として熱が高かった。
「どれ、家に運ぼう!」
医者と青年がミーアをベッドへ運んでくれた。
「どうだい先生?」
「う〜む、一応人間にも効く薬をやったから、一応は大丈夫だと思うが……」
いまいち自信の無い医者。本当に人間は専門外の様だ。
「ありがとう先生!!」
ペコリとお辞儀をする一郎。
「ありがとう!!」
青年にもお辞儀をする。
「そのじーさんとやらはいつ帰ってくるんだい?」
先生が一郎に尋ねる。
「多分、今日の夜か明日の朝かな?」
曖昧な答えしか出ない一郎。
「そうか。じゃあ今晩はここに泊まろうかな!」
「え?いいのかい! そうしてもらえると助かるよ!!」
喜ぶ一郎。
「そのかわり……」
顔を近づける医者。嫌な予感がする一郎。
「あ、あーーーーーー?」
口を大きく広げる一郎。
「ん、もう少しだ……」
一郎の口の中を視る医者。
「声帯が少し違う様な……違わない様な……」
「毛並み、脚、特に変わった所は無いな〜」
医者に身体のあちこちをいじられる一郎。
大人しくミーアの為、受けた恩を身体で返す。
「(じーさん早く帰ってきてくれ〜!!)」
心から願う一郎であった。




