僕のばいと事情
わんわん! くぅーん…
にゃおにゃお! にゃん? ふー!
犬と猫の鳴き声が店内の明るい雰囲気をさらに賑やかにする。
ここは地元でもそれなりに名の知れた動物喫茶だ。
そして今、お店の看板犬である『ヤマト』(柴犬 ♂)
にごはんをあげているのがこの僕『猫又 絢斗』です。
よくクラスの女の子に、「猫みたいでかわいいのに、犬みたいな性格だね!」と言われたり、友達に「犬か猫かどっちだよ!」とも言われたり…
でも、男が可愛いのはどうなんだろう…? それに、名前と容姿は変えられないよね?
でも、僕が尊敬する男の中の男である『兄貴』みたいに男らしくなるために、僕はこの喫茶店で働いています。
なんでも、「バイトする奴はカッコいい」
「お前が来てくれれば女の子がたくさん来るから、売上アップ」
らしくて、友達の従姉の朱音さんが経営するこの店で働くことになったんだよね。
僕が来てからまだ2週間ですけど、店長の朱音さんはとても僕に良くしてくれます。
でも、ときどき、朱音さんが自分のお古の服を着せてくるから困っちゃうなぁ。
とにかく、男の中の男になるためにも、朱音さんの役に立つためにも、がんばらなくちゃ!!