第八話
「じゃあお風呂行くかー」
私の言葉にみんな頷いた。
女湯の脱衣所で服を脱ぐと、めっちゃ目の保養になった。
まず、望月はやや華奢だけど出るところは出ている体型。グラビアモデルみたいに均整がとれている。
顔が可愛くてスタイルも良いって、どんだけだよ。
でも羨ましくはない。彼女はモテないから。
そして真鍋美波は、胸はやや小さめながらも顔に可愛さの成分が多分に含まれているのでそれすらも可愛らしく思えてしまう。
和気ふぶきは胸もそこそこあるし、背も百六十くらいあるので、三つ編みを解くと大人びて見える。
凪野未来は相当巨乳だった。Gカップくらいあるんじゃないか?
ちなみに塚本メアリはなぜか部屋のシャワーで済ませると言っていた。みんなで騒ぐことが好きじゃないのだろう。
「コウミちゃん、スタイルいいねー」
性格的に一番普通の女の子、真鍋が望月を褒める。
「そんなことないよー。昨日、夕食抜いてカラオケ三時間していたから、むくみがとれているのかな?」
こういう切り返しが彼女は上手かった。コミュニケーション力がなさそうであるのだろうか。
「というか川崎さんがマネキンみたいな体型しているよねー」
望月の言葉に、私は「うげ」と思わず息を詰まらせた。
こういう女子にありがちなよくわからない褒め合いになんと答えたらよいかよくわからない。
「あ、ありがとー」
私はとりあえず微笑んだ。
***
入浴を終えて、夕食を終えて。
私は一人で売店までジュースを買いに行った。
人気の少ない廊下で、ジュースを飲んでいると、翔平くんが通りがかってくる。
「あ、翔平くん」
「おう」
「えーと、今から売店?」
「いや、トイレから帰るところ」
「そっか」
私は軽く微笑んだ。
翔平くんは軽く目を逸らす。
「……あのさ」
翔平くんがちょっと静かな声を出す。
「なんで、イケメン三人振ったの? 恋愛に興味ないの?」
「ううん。興味ないとかではないよ」
「好きな奴がいるの?」
「……まあね」
目の前のあなたですけど。
「そっか、がんばれよ」
うぐ。そうなるよなあ……。
私は項垂れる。
「……と言いたいところだけど」
翔平くんは極まり悪そうに微笑んだ。
「俺、お前の恋を応援できそうにないや。お前が好きだから」
「……」
「悪い。迷惑だよな、ごめんな」
「うっ。ううんううん! あのねっ。私の好きな人は翔平くんのことなの!」
「ううぇええええ?」
翔平くんがめちゃくちゃ間の抜けた声を出す。
「お、俺? 兄貴じゃなくて?」
「うん」
「イエス!」
翔平くんはガッツポーズをした。
「でもなんで私のことを?」
「え? 話しやすいし、俺にとってか、かわ……いやなんでもない」
やだ、女の子のことを素直に可愛いと言えない系男子可愛いんですけど。
「付き合ってもらえるか?」
「……よろしくお願いします」
翔平くんの言葉に私は軽く頭を下げた。
二日目に続く。