2.ゲームstart
【秀side】
それから数時間後。
警察署に一本の電話が入った。
『今から、都内のどこかのコンビニに強盗が入る』
名前を告げずに、それは切れた。
都内のコンビには、何店舗もある。
しらみつぶしに探すのは、時間がかかり過ぎた。
警察は、動ける者をすべて捜査に出した。
・・・その事が、秀の耳にも入った。
オレも一度、警察署に行く事にした。
準備が出来て、動き出そうとした時、
また携帯が鳴りだした。
「もしもし」
「琴美から聞いてると思うんだけど、
オレ、ミキヤって言います」
「…何でオレの携帯」
「貴方の事なら、何でも知ってる」
「何の用だ?今忙しいんだ」
「コンビニ強盗でしょ?」
「?!」
警察しか知らない情報を、
なぜコイツが知ってる?
「・・・驚いたでしょ?」
「・・・お前、何者だ?」
「コンビニ強盗は、オトリデスヨ。
今から都内の○○銀行を襲います。
さて、秀は間に合うかな?」
その言葉を最後に電話は切れた。
「…クソッ」
今頃もう警察は出払っているはずだ。
携帯で琴美の父に連絡しながら、
○○銀行に急いだ。
…時すでに遅し。
移動予定の輸送車が襲われた。
金額は5000万。
ミキヤ、お前は一体何者なんだ?
琴美の事も知っていた。
…琴美には近づくなよ?
胸騒ぎが治まらなかった。
【琴美side】
…朝方、なんとなく目が覚めた。
?!…突然鳴りだした携帯。
こんな時間に誰かしら?
送信元は知らないアドレス
琴美
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ゲームが始まったよ。
もうすぐ、琴美の所に行く。
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ミキヤ
…ゾクッとした。
秀に何かあったんじゃないか?
不安な気持ちを抑えつつ、
秀の携帯を鳴らした。
「もしもし」
秀の声だった。
その声を聞いて安堵の溜息をつく。
「秀、よかった。
ゴメンね、こんな時間に」
「いいよ、何かあったのか?」
「変なこと聞くんだけど、
何か事件は起こらなかった?」
私の質問に、明らかに動揺している。
秀がこんな態度を取るなんて、初めての事だった。
「…何で?」
「ミキヤからメールが来たの」
「・・・それで?」
「ゲームが始まったって」
「そうか…他には?」
…私の所に行くとは、言えないよ。
「う、ううん、それだけ」
「…本当に?」
「もちろんよ。
秀にウソつくわけないでしょ?」
「そうだな」
秀がクスッと笑った。
…ゴメンね。
秀には迷惑かけたくないよ。
仕事だって大変なのに。
「琴美は何も心配するな。
警察がきっと捕まえるから」
「・・・うん。
無理しないでね?
・・・なんかあったら、真っ先に逃げてね?」
「どうしたんだよ、急に?」
「なんだか怖いの。
秀に何か起こりそうで」
「バカ、心配するな。
琴美こそ、気をつけろよ。
…ミキヤに会っても、近づくな」
「…うん、気をつけるよ」
携帯を切った私は、
もう一度ミキヤからのメールを見た。
・・・私に、
秀の役に立つことはできないかな?
コイツを捕まえれば、
事件は終わるはず…
私はそんな事を考えていた。