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私の彼氏はお巡りさん

今日は、私の彼氏と、久しぶりのデート。


お巡りさんの彼は、

忙しいのか、なかなか休みが取れない。


・・・え?


高校生と、警察官の恋なんて、いいのかって?


そんなの全然OK。


何せ、私と彼、秀は、

『許婚』なんだから。


私の父も警察官で、

秀の上司でもある。


父も、秀の事、大のお気に入りで、

私が高校卒業したら、結婚するつもりだった。


「ゴメン、お待たせ」

秀が走ってきた。


背が高くて、モデルみたいな体系。

顔もイケメンで、

思わずため息が出る。


「・・・怒ってる?」

私の顔を覗きこんだ秀。


「エ?全然!

早く行こう?映画、始まるよ?」


私の様子を見た秀が微笑んだ。


「琴美はいつも変わらないな」


「…子供だって言いたいの?」


「なっ?!違うよ。

琴美と一緒にいる時が、一番幸せだと思ってね」


秀の言葉に、

私の顔はマックスに赤くなった。


それを見た秀がクスクスと笑う。


「もう!笑わないでよ!」

私は秀の背中をポンと叩いて、先を歩き出した。


「待てよ、琴美」

そう言って秀は私の手を掴むと、

ゆっくり歩きだした。


・・・これから起こる、

大きな事件に巻き込まれることも知らず。


【秀side】

映画が終わり、外に出ると、

どこからか視線を感じた。


これだけたくさんの人がいるんだから、

誰か一人くらいこちらを見ていることもある。


最初はそう思っていた。


「ご飯、何食べる?」

笑顔の琴美が聞いてきた。


150㎝と小さな琴美は、

とても可愛らしい容姿をしている。

クルクルと表情が変わり、オレを和ませる。


そんな琴美が凄く好きだ。


それなのに、とんでもない秘密がオレにはあった。

何があっても絶対誰にも言えない秘密が。


例え、彼女の琴美にでも・・・


表向きはお巡りさん。


でも、裏では重犯罪を追いかける

『特殊捜査官』

この事を知っているのは琴美に父だけだった。


「もう!秀ってば!」


「ゴメン、ご飯だったよな?

琴美は何が食べたい?」


「私はねぇ・・・」


こんな幸せが、もうすぐ壊されることになるとは、

今のオレにわかるはずもなかった。


食事を済ませた俺たちは、

車に乗り込み琴美の家に向かった。

家の前まで送るのは恥ずかしいからと、

家の近くの公園まで行くと、そこからは徒歩で。


・・・やっぱり、

どこからか視線を感じた。


全くと言っていいほど、

人気のない道で、視線を感じるのはおかしい。


しかも、

その視線はさっきそのものだった。


オレ一人なら何とでもなるが、

横には琴美がいる。


オレは迷わず琴美を抱き寄せた。

「え?!ちょっと、こんな道の真ん中で何するの?」


琴美は驚きアタフタする。

オレは何事もないような顔をして、微笑んだ。


「キャッ!秀、何するの?」


お姫様抱っこをしたオレは、

琴美の家まで走った。


「ふ~ん…あれが、

秀の彼女ね、可愛いじゃん。

これからが楽しくなりそうだ」


・・・まさか、

琴美が標的にされるとは、

この時、誰も知ることのない、秘密。


【琴美side】

玄関の前に着くと、

秀が私をそっと下ろした。


目をパチクリさせ、

秀を見つめる。


「人が通らなかったからよかったけど、

急にあんなことしてどうしたの?」


私の質問に、秀は微笑んだ。


「なんとなくしてみたかったから」


・・・なんとなくって。


秀は時々、

何を考えてるのかわからなくなる。


「もう、あんなことしないでね?」


私の言葉に頷いた秀は、

私の頬にそっとキスすると、

手を振り元来た道を帰っていく。


私は秀がいなくなるまで、

秀を見送った。


・・・見えなくなり、

ドアに手を差し伸べた瞬間、

誰かが私の腕を掴んだ。


少し怖かったけど、

振り返った。


「私に、何か用ですか?」


「君、琴美ちゃんだろ?」


「そうですけど…貴方は?」


「もうすぐ、秀の知り合いになるものです」


・・・もうすぐ?

どういう意味?

「・・・えっと」


「あ、オレ、ミキヤって言います」


笑顔は変わらず、名前を名乗った男は、

そっと私の腕を離した。


「秀に伝えてください。

もうすぐ、ゲームが始まると・・・」


それだけ言ったミキヤは、

さっき秀にされたところと同じ場所に、

触れるだけのキスをした。


私は驚き後ずさりする。


「琴美も、

ゲームの対象者だから」


クスッと笑ったミキヤは、

暗闇の中に消えて行った。


何だって言うのよ?

・・・ゲームって何?


背中がゾクリとした。


・・・秀、

私、なんだか怖いよ。


…部屋に入った私は、

秀の携帯を鳴らした。


「もしもし、どうしたんだ?」

秀の優しい声。


「ちょっと…伝えたい事があって」

そう言って溜息をつく。


私の声がいつもと違う事に気付いた秀。


「何があった?

何でも話せ、琴美が心配だ」


「・・・うん、あのね?」


私はさっきの出来事を話した。


最後まで話しを聞き終えた秀が、

ゆっくりと私に問いかける。


「・・・男の特徴は?」


「黒縁メガネをかけて、

キャップをかぶってたから、

よくわからないの・・・

役に立てなくて、ゴメンね?」


「いや・・・

琴美に何もなくてよかった。

後は、オレに任せて?」


「・・・うん」


携帯を切った私は、その場に座り込んだ。


今から何が始まろうとしているのか?


ミキヤは、私もゲームの対象者だと言ってた。


・・・その事だけは、

秀には言えなかった。


余計な心配はかけたくなかったから・・・

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