第六話. 神槍の詠唱
王と騎士団長。エルフ王国最強の二人が同時に構える。
「行くぞ!!」
王が地面を蹴った。
ドン!!
爆発のような音と共に突進する。同時に騎士団長アルヴェインが横から斬り込む。完璧な連携。普通の相手なら一瞬で終わる攻撃。だが悠真は動かなかった。
「……なるほど」
槍を軽く握る。
「二人同時か」
そして目を閉じる。ゼノグレイスが微かに震えた。
「ちょうどいい」
悠真は静かに言った。
「少し本気出すか」
王の剣が振り下ろされる。団長の剣が横から迫る。
その瞬間。悠真が呟いた。
「神域解放」
空気が一変する。風が渦巻く。地面が震える。
そして悠真は槍を空へ向けた。
「……ゼノグレイス」
槍がまばゆく光り始める。
観客席のエルフたちがざわめいた。
「何だあれ……」
「魔法じゃない……」
悠真の声が響く。
静かで、重い詠唱。
「星を穿ち」
「天を裂き」
「世界を貫く神の槍」
ゼノグレイスの光が強くなる。王の目が輝いた。
「はは……!」
「神器か!!」
悠真は続ける。
「その力を今解き放つ」
「神槍ゼノグレイス」
「――真なる姿を示せ」
光が爆発した。次の瞬間。悠真の周囲に無数の光の槍が現れる。空中に浮かぶ神槍の残像。王も団長も一瞬止まった。
「これは……!」
悠真が槍を構える。
そして言った。
「神域解放―流星槍」
ドォォォン!!
空から無数の槍が落ちる。まるで流星群。王が大剣で弾く。「面白い!!」
団長も防御する。
「凄まじい……!」
地面が爆発し、煙が上がる。数秒後。煙が晴れる。
そこに立っていたのは悠真。そして。王と団長。
王は大笑いしていた。
「ははははは!!!」
「最高だ人間!!」
団長も息を整えながら笑う。
「ここまでとは……」
王は剣を肩に担ぐ。
「もう十分だ」
そして宣言した。
「この人間」
「我が国の客人として迎える!!」
エルフたちがざわめく。リリアは嬉しそうに笑った。
「悠真さん……!」
こうして神槍ゼノグレイスの力はエルフ王国に認められた。だが。遠く離れた場所で黒い影が呟く。
「……神槍ゼノグレイス」
「やはり目覚めたか」
「魔王様に報告しろ」
新たな戦いの予兆だった。




