第四話.神域解放
アルディアの街を出てから半日。街道は森の中をまっすぐ伸びていた。リリアは馬車の横を歩きながら言う。
「この道を進めば、二日ほどでエルフ王国の国境です」
「意外と近いんだな」
悠真は周囲を警戒しながら歩く。
「でもこの辺りは――」
その瞬間。ガサッ!!森の中から人影が飛び出した。
「止まりな!!」
道を塞ぐように現れたのは、汚れた鎧を着た男たち。
その数――十人以上。
「盗賊だ!」
御者が慌てて叫ぶ。リーダーらしき男がニヤリと笑った。
「そのエルフの嬢ちゃんと荷物を置いていきな」
「そうすりゃ命は助けてやる」
リリアが小さく震える。
「ゆ、悠真さん……」
悠真はため息をついた。
「テンプレすぎるだろ」
そして槍を肩から降ろす。黒と銀の槍。神槍ゼノグレイス。盗賊たちは笑った。
「ガキ一人で何ができる?」
「やっちまえ!」
三人の盗賊が同時に突っ込んでくる。悠真は一歩前に出た。そして小さく呟く。
「仕方ない」
槍を構える。その瞬間。槍が微かに光った。
頭の中に声が響く。
条件達成
神槍スキル解放
悠真は目を細める。
「へぇ」
「そういうシステムか」
盗賊が剣を振り下ろす。だが悠真は動かない。そして静かに言った。
「神域解放」
空気が変わった。次の瞬間。悠真の体が消えた。
「え?」
盗賊の視界から完全に消える。
背後。
「遅い」
ドンッ!!
一撃で盗賊が吹き飛ぶ。残りの盗賊が驚いて振り向く。
だが悠真はすでに動いていた。
「神域解放-星穿」
ズドドドドド!!
槍の突きが連続で放たれる。人間の目では追えない速度。
盗賊たちは次々と倒れていく。
「ば、化け物だ!!」
リーダーが逃げ出す。
悠真は槍を軽く回す。
「逃がすか」
そして一歩踏み出す。
「神域解放―閃槍」
ヒュン!!
槍の一突き。空気が裂ける。ドンッ!!
盗賊リーダーが吹き飛び、地面に倒れた。
静寂。風だけが吹く。悠真は槍を肩に担いだ。
「終わり」
後ろではリリアが呆然としていた。
「す、すごい……」
御者も震えている。
「今の……何ですか……」
悠真は少し考えて言った。
「ただの槍術」
だがリリアは槍を見つめていた。
黒銀に輝く槍。
「その槍……」
悠真は視線をそらす。
「ただの相棒だよ」
しかし遠くの森の奥で黒い影がその戦いを見ていた。「……神槍」
低い声が呟く。
「ついに現れたか」
こうして悠真の力は少しずつ世界に知られ始めていた。




