第三話.これはゲームでよくあるやつだ!!
アルディアの街の中央。そこに大きな建物があった。
木と石で作られた重厚な建物。看板にはこう書かれている。冒険者ギルド
「ここで登録すれば、エルフ王国まで護衛依頼とか受けられます」
リリアが説明する。
「なるほど」
悠真は頷いた。
「身分証も作れるので、冒険者登録はしておいた方がいいです」
「じゃあ登録するか」
二人はギルドの扉を開けた。ガヤガヤとした空気。
酒を飲む冒険者。依頼書を見ているパーティ。
いかにもファンタジーの冒険者ギルドだ。
その時。受付の女性が声をかけてきた。
「いらっしゃいませ。ご用件は?」
「冒険者登録したい」
悠真が答える。受付の女性は少し驚いた顔をした。
「新人ですね。では能力測定を行います」
「能力測定?」
「はい。基礎能力を確認します」
案内されたのは奥の訓練室だった。そこには水晶のような装置や、測定用の人形が並んでいる。
「まずはスピードから」
悠真は軽く準備運動をする。
「そこからあそこまで全力で走ってください」
距離はおよそ50メートル。
悠真は地面を軽く蹴った。
次の瞬間――
「え?」
受付の女性が目を見開いた。
もうゴールに立っていたからだ。
「は、速い……」
周りの冒険者たちもざわつく。
「今の見たか?」
「Aランク並みじゃねぇか?」
「いやSランク級だぞ……」
次はパワー測定。鉄製の人形に全力で攻撃する。
「武器は使ってもいいです」
悠真は少し考えた。
(ゼノグレイスはまずいか)
代わりに訓練用の槍を持つ。
そして突いた。
ドゴン!!
人形が数メートル吹き飛ぶ。
「……」
受付の女性が固まる。
「パワー……Aランク相当」
「新人でそれ!?」
冒険者たちの声が上がる。次は魔力測定。水晶に手をかざす。光が弱く輝く。
受付が結果を読む。
「魔力量……低め」
周りの冒険者が笑う。
「なんだ、魔法はダメか」
「戦士タイプだな」
悠真は肩をすくめた。
(まぁ魔法は使う気ないし)
だが最後に総合判定が出る。水晶に文字が浮かぶ。
総合能力評価:Sランク相当
一瞬、ギルドが静まり返る。
「……は?」
「新人でSランク相当?」
「冗談だろ」
受付の女性も困惑していた。
「こ、こんな数値は初めて見ました……」
その時。一人のベテラン冒険者が悠真を見る。
「おい新人」
「なんだ?」
「その背中の槍……」
悠真の背中には黒銀の槍。神槍ゼノグレイス。冒険者は目を細める。
「……ただの槍じゃねぇな」
空気が少し緊張する。
(まずいな)
悠真は内心で思う。
ゼノグレイスは明らかに普通の武器じゃない。下手をすれば騒ぎになる。だがその時リリアが前に出た。
「彼は私の護衛です」
冒険者たちはリリアを見る。
「護衛?」
「はい」
リリアは微笑む。
「とても強い方ですよ」
その言葉で空気が少し落ち着いた。受付の女性が咳払いする。
「えー……登録は完了です」
ギルドカードが渡される。
「ランクはBランクからのスタートになります」
「新人にしては異例ですが……」
悠真はカードを受け取る。
「まあいい」
槍を肩に担ぐ。そしてリリアを見る。
「準備はできたな」
リリアは嬉しそうに頷いた。
「はい!」
こうして神槍ゼノグレイスを持つ少年は
エルフ王国へ向かう旅に出る。
だがその影で。
「……あの槍」
ギルドの奥で、一人の男が呟いた。
「まさか……神槍か?」
新たな波乱の予感だった。




