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第三十四話.異能の正体

王立学院―崩壊寸前。黒い魔力が空を覆う。

ヴァルディスの第二解放。その圧は圧倒的だった。

悠真とアレスは立っているだけで限界に近い。

「ぐっ……!」

アレスが歯を食いしばる。

悠真も槍を握る。

(強すぎる)

ヴァルディスがゆっくり歩く。

「終わりだ」

剣を振り上げる。その瞬間悠真の中で何かが“ズレた”(……なんだ)

時間がゆっくりになる。

いや止まった。アレスも。ヴァルディスも。すべてが静止する。悠真だけが動ける。

「これは……」

その時。またあの声。

「気づいたか」

悠真の意識の奥。

誰かがいる。

「お前は……」

声が言う。


「お前の異能の正体は」

「時間ではない」


悠真の目が開く。

「……違うのか?」

声が続ける。


「お前は“時間を操っている”のではない」

「世界の流れそのものに干渉している」


悠真が理解する。

「……世界干渉」

声が言う。



「その力の名は」


一瞬の静寂。


「時界支配」


ドクン

悠真の中で何かが完全に目覚める。止まっていた世界が動き出す。だが悠真にはすべてが見えていた。ヴァルディスの動き。魔力の流れ。攻撃の軌道。すべて。悠真がゆっくり構える。ゼノグレイスが共鳴する。

「なるほどな」

小さく笑う。

「そういうことか」

アレスが驚く。

「悠真……?」

悠真の気配が変わる。完全に別次元。セラフィーナが震える。

「何……あれ……」

ヴァルディスも初めて表情を変えた。

「……なんだその力は」

悠真が一歩踏み出す。

ドン

その一歩だけで空間が歪む。

「少し本気出す」

静かに言う。

「時界展開」

世界の色が変わる。悠真の周囲だけ時間と空間が歪む領域。完全支配領域。観客には見えないだが感じる。

「何かが違う……」

悠真が消える。次の瞬間。ヴァルディスの背後。

「っ!?」

初めて反応が遅れる。

ガキィィン!!

魔剣で受ける。だが吹き飛ぶ。

ドォン!!

地面に叩きつけられる。

観客が絶叫する。

「吹き飛んだ!?」

「幹部が!?」

ヴァルディスが立ち上がる。口元に血。

「……面白い」

笑う。

「最高だ」

悠真が槍を構える。

「続けるぞ」

戦いはついに人外の領域へ突入した。


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