第二十八話.禁呪
王立学院 闘技場。煙がゆっくりと消えていく。
悠真とセラフィーナはまだ立っていた。観客席は静まり返っている。
「まだ終わってない……」
セラフィーナは悠真を見る。
少し息が上がっていた。
「あなた」
「本当に魔力少ないの?」
悠真は肩をすくめる。
「少ないよ」
セラフィーナは笑った。
「でも」
「魔術が上手すぎる」
杖を握る。
「だから」
「これは初めて使う」
観客がざわめく。セラフィーナの周囲に巨大な魔法陣が浮かび上がる。教師が目を見開く。
「待て……!」
「それは……!」
セラフィーナが詠唱する。
「天を統べる風よ」
「荒ぶる雷よ」
「我が声に応え」
「世界を裂け」
空が暗くなる。
巨大な雷雲。
観客席がざわめく。
「嘘だろ……」
「禁呪魔法だ!」
セラフィーナが手を上げる。
「天雷嵐」
次の瞬間。
ドォォォォン!!!
巨大な雷が闘技場へ落ちる。凄まじい破壊力。闘技場の地面が砕ける。観客が悲鳴を上げる。教師たちも防御魔法を展開する。煙が闘技場を覆う。リリアが心配そうに叫ぶ。
「悠真さん!」
セラフィーナも息を整えながら言う。
「……さすがに」
「終わったかな」
その時。
煙の中から声。
「いや」
セラフィーナの目が開く。
煙の奥。悠真が立っていた。少し服が焦げている。
だが無傷。観客が騒ぐ。
「生きてる!?」
悠真は言う。
「すごい魔法だな」
セラフィーナが驚く。
「防いだの……?」
悠真はゆっくり手を上げる。
「じゃあ」
「今度はこっちだ」
空気が変わる。教師が気づく。
「まさか……」
悠真が静かに詠唱する。
完全詠唱。
「流れし水よ」
「吹き荒れる風よ」
「二つの力を一つとし」
「天を裂く刃となれ」
巨大な魔法陣が現れる。観客が息を飲む。
「これ……」
「合成魔術!?」
悠真が手を前に出す。そして最後の言葉を言う。
「嵐刃」
ゴォォォォ!!
巨大な嵐の刃が生まれる。雷雲を切り裂きながらセラフィーナへ向かう。セラフィーナが防御魔法を展開する。
ドン!!!
凄まじい衝撃。風が闘技場を吹き荒れる。
数秒後煙が消える。セラフィーナは膝をついていた。
杖が地面に落ちる。教師が宣言する。
「勝者」
「神代 悠真!」
観客席が爆発する。
「うおおおお!!」
「すげえええ!!」
セラフィーナは少し笑った。
「……負けた」
悠真が手を差し出す。
「いい戦いだった」
セラフィーナはその手を取る。
「次は負けない」
観客席の上。アレスが静かに見ていた。
「……決勝だな」
ついに決勝戦
悠真 vs アレス
学院最強決定戦が始まる。




