第十八話. 魔法科首席
アレスとの模擬戦が終わったあと。訓練場はまだざわついていた。
「首席の剣が折れたぞ……」
「ありえない……」
「王推薦って本当だったんだ……」
悠真は槍を肩に担いだ。
「なんか疲れたな」
リリアが少し苦笑する。
「入学初日から騒ぎになりましたね」
その時
「ふーん」
静かな声が聞こえた。悠真が振り向く。そこに立っていたのは一人の少女。長い銀色の髪。透き通るような青い瞳。
そしてローブ。学生たちがざわめく。
「魔法科首席……!」
「セラフィーナ様だ!」
少女はゆっくり悠真に近づく。そして言った。
「あなたが神代悠真?」
悠真は答える。
「そうだけど」
少女は折れた剣を見る。
「へぇ」
「本当に一撃で折ったんだ」
リリアが説明する。
「悠真さん、この人は――」
だが少女は自分で言った。
「魔法科首席」
「セラフィーナ・ルミナス」
周囲の学生が頷く。
「学院最強の魔法使いだ」
「天才って噂だぞ」
セラフィーナは悠真をじっと見ていた。
興味深そうに。
「ねぇ」
悠真を見る。
「その槍」
「ただの武器じゃないよね?」
悠真は少し笑う。
「どう思う?」
セラフィーナも笑った。
「やっぱり」
そして小さく言う。
「面白い」
リリアが少しむっとする。
「セラフィーナさん」
セラフィーナは肩をすくめる。
「取らないわよ」
「まだね」
悠真が聞く。
「まだ?」
セラフィーナは言った。
「あなた」
「強い」
そして指を一本立てる。
「だから決めた」
悠真が首を傾げる。
「何を?」
セラフィーナは微笑んだ。
「あなた観察する」
周囲の学生がざわめく。
「観察!?」
「どういう意味だ?」
セラフィーナは当然のように言う。
「面白いものは近くで見ないと」
悠真はため息をついた。
「面倒なやつ来たな」
リリアが少し不機嫌になる。
「……悠真さん」
学園生活はまだ始まったばかりだった




