第十二話.異能
訓練場に衝撃が走る。
ドォン!!
アルヴェインの体が地面を転がる。騎士たちが叫ぶ。
「団長!!」
土煙の中、悠真は静かに立っていた。ゼノグレイスを肩に担ぎながら言う。
「言っただろ」
「これは魔力じゃない」
セレスが目を細める。
「……異能」
悠真は軽く頷いた。
「そう」
そして一歩踏み出す。
その瞬間。空気が歪む。地面がミシッと音を立てた。
騎士たちが驚く。
「地面が……!?」
悠真は呟く。
「一つ目」
体の周囲の空気が震える。
「時間加速」
次の瞬間。
ドン!!
悠真の姿が消えた。
セレスの瞳が揺れる。
(速い……!)
さっきまでのスピードとは別次元。完全に視界から消える。背後から声。
「遅い」
ガキィン!!
セレスがギリギリで剣を防ぐ。衝撃で地面が割れる。
だが悠真は続けた。
「二つ目」
槍を軽く振る。その瞬間。
ズン!!
凄まじい重圧が訓練場に落ちた。
騎士たちが膝をつく。
「重い……!?」
悠真が言う。
「重力操作」
ゼノグレイスの先端に重力が集中する。セレスが後ろへ跳ぶ。
「危険ですね」
その時。
土煙の中から声がした。
「……まだ終わっていない」
アルヴェインが立ち上がる。
剣を構えながら笑う。
「まさかここまでとは」
悠真が振り向く。
「もう立てるのか」
団長は頷く。
「騎士団長だからな」
セレスも剣を構える。
「では」
「本気で行きます」
空気が変わる。セレスの剣が淡く光る。
「魔封領域・完全解放」
魔力封印の範囲が広がる。騎士たちが息を飲む。
「セレス様の本気……!」
アルヴェインが言う。
「連携だ」
「行くぞ」
二人が同時に動く。その瞬間。観覧席から笑い声が響いた。
「ははははは!!」
エルフ王だ。
腕を組みながら大笑いしている。
「いいぞ!!」
王は言った。
「これはもう」
「模擬戦じゃないな」
目が完全に戦士の目だった。
「本気でやれ」
「全員だ」
訓練場の空気が一気に変わる。
悠真は槍を回す。
ゼノグレイスが低く唸る。
「……いいな」
悠真は笑った。
「それなら」
「こっちも遠慮しない」
そして言う。
「神域解放」
魔封領域の中でも。異能と槍は止まらない。エルフ王国最強の二人。そして異世界の槍使い。
三人の本気の戦いが今、始まる。




