第十話.エルフ国最強の2人
騎士団の訓練場。地面には倒れた騎士たち。
そして中央に立つのは悠真。騎士団長アルヴェインは息を整えながら言った。
「……全く当たらない」
悠真は肩をすくめる。
「まだまだだな」
その時だった。上から声が響く。
「相変わらず面白いことをしているな」
悠真が上を見る。訓練場の上の観覧台。そこに立っていたのはエルフ王。腕を組み、楽しそうに笑っている。
「父上……」
リリアが呆れた声を出す。
「また見ていたんですか」
王は笑う。
「当然だ」
「こんな面白い戦いを見逃すか」
そして王の隣にもう一人立っていた。長い黒髪。細身の体。だが放たれる気配は騎士団長にも匹敵する。
悠真は目を細めた。
「……強いな」
王が笑う。
「分かるか」
「こいつは我が国で一、二を争う強さだ」
そのエルフが前に出た。
静かな足取り。
そして悠真を見る。
「初めまして」
落ち着いた声。
「私はエルフ王国守護剣士」
「セレス・ヴァルディア」
騎士たちがざわめく。
「セレス様!?」
「王国最強の剣士……!」
団長も小さく笑った。
「ついに来ましたか」
悠真は槍を肩に担ぐ。
「で?」
「何しに来た」
セレスは少し微笑んだ。
「あなたを見に来た」
「人間が騎士団をここまで圧倒するとは思わなかった」
王が豪快に言う。
「つまりだ」
「試したい」
騎士たちがざわつく。
「また戦うのか!?」
王はニヤリと笑う。
「今度は」
指を二本立てる。
「アルヴェインとセレス」
「我が国の最強二人だ」
団長が剣を抜く。セレスも静かに剣を構える。
「王命です」
悠真は少し驚いた顔をする。
「ほう」
そして笑う。
「それはちょっと面白そうだ」
槍を回す。ゼノグレイスが光る。リリアが慌てる。
「また戦うんですか!?」
王は大笑いした。
「当然だ!!」
そして叫ぶ。
「模擬戦開始!!」
次の瞬間エルフ王国最強の二人が動いた。
そして悠真も槍を構える。
「……神域解放」
訓練場に再び嵐が起こる。




