アルマ移植者
この街ーーマナノソルはアルマの出現率が最も高い街である。
神魔アルマ、神が遥か昔に地上に放ったと云われる怪物。
「それでお名前は」
「待ってろ今思い出すから・・・え〜と〜確かね〜そうそう!カンナビだ、
カンナビ クロック」
「君は自分の名前も思い出せ無いのかい?」
「失礼な今思い出したろ」
基本的に本名で呼び合う環境にいなかったからな、もし捕まった場合の罪状や年数で呼び合いすぎて本名をすこ〜し忘れてただけである。
「・・まあいいや、カンナビ君資料によると君は警官の20名暴行による『暴行罪』しかもその20名全員が病院行きよくやったもんだ。この人材不足の中20名も使えなくしちゃってまぁ〜」
「あれは不可抗力って言う奴ですやん、流石にここまでしなくてもよくない?」
俺は今鎖でこれでもかとグルグル巻きにされ、メガネの警官に事情聴取を取られている。充電カスッカスの状態で警官20人も転がしたら流石に充電切れでまともに動けねぇよ、動けないんだからもうちょっと優しくてもよくない?
「まあ念の為って奴だよ、警官によると事情聴取を取ろうとしたら急に危害を加えてきた危険人物って話だからね」
「あれは事情聴取されそうになって、急いでたし任意だから断るって言たら急に腕を掴まれて、暴力を振ると思ったから抵抗したらその警官が増員を呼んで、まあ後は想像にお任せします。」
実際間違いはない、その抵抗がちょっとばかし過ぎていたというのは認めるが、俺がやった行動は間違っていたとしても後悔はしない自分に正直な行動だったと思う。いや嘘ついたちょっと後悔はある。
「まあそれはおいおいわかるから良いとして、君がやった行動は一応 暴行罪と公務執行妨害 に当たる行動なんだよね」
「正当防衛じゃないですか」
「流石に過剰防衛かな〜このレベルで正当だと司法は成り立たないよ〜 例え正当防衛で逃れても君の体内にあるそれも違法だしね」
「気付いてたのね、俺必死に隠してたのがバカみたいじゃん」
こいつ移植者か・・・審美眼系だから赤血眼とかその辺の神魔か? だが眼の能力に関するアルマは副作用で能力発動中に眼の変化が現れる筈、なのに眼は変化なし、多分こいつのメガネが副作用を隠してるってところかな?
「流石に無許可でのアルマ移植はダメだよ〜警察もしくはその類の組織でしかアルマの移植は認められていないんだから、見た感じ適合率が通常状態で 70いや77%くらいかな。逸材だよ、そのアルマに結構好かれてるんだね」
さてどうするか、ぶっちゃけ充電がカスッカスとは言え3%ぐらいの残量はある。鎖を千切って壁をぶち破る・・いや3%でそれはキツイな、頑張れば行けなくもないが例え逃げられても顔と名前がバレてる以上、充電切れを狙って結局捕まえられるな、 詰みか。
「できれば煮てくれ」
「そこは好きにしろじゃないのね」
「だって肉体に無許可でのアルマ移植をする行為は結構な重犯罪だろ? 」
確か無許可でのアルマ移植の罰は懲役とアルマの没収が確定で課されるはず、俺から見えないだけでここには結構な警察がいるからな、人が少なくなったら脱出してあとは運任せか、乱数の神様あとはよろしく。よし、最悪のプランはこれで決まりだな、出来ればしたくないが。
「そうなっちゃうね、君は嘘をついて無さそうだから暴行罪に関してはすまないね、後でその警官にはキツく言っておくよ」
「いやいいよ、実際俺は重犯罪者だった訳だし、3発で許してやってくれ」
「なんか僕が3発以上殴る仮定で話していないか」
そんな会話をメガネとしていると、電話が来たのか事情聴取を一時中断した。10分後、帰ってきたメガネは少し億劫そうな顔をして俺との事情聴取を再開する。
「君は大変不本意だが輸送になった」
「輸送? 刑務所にか? 早くない?」
「そうじゃない、君が20人の警官との戦闘は深夜に行われていた上に、そんな目立った場所じゃないから警官以外の誰にも気付かれていないと思っていたんだが、対神に話が伝わっていたようだ。さっきの電話はね、君を対神にスカウトしたいという旨を伝える電話だ」
「対神? え〜と聞いたことある気がするがなんだっけな」
「正確には警察との協力関係にある組織だね、警察は治安維持を行う組織だが、対神・・・正式には対 神魔討伐組織、名前の通りアルマの討伐や アルマ移植を行った犯罪者を捕まえたりする組織だね。君はその組織にスカウトされた、つまり無罪にされたって訳だよ」
アルマを没収されるよりはだいぶマシだが対神、重犯罪者の俺をスカウトって結構碌でもない組織なのでは。
「対神って組織については分かったが、重犯罪者の俺をそう簡単に無罪にしちゃってもいいわけ」
「良い訳ないがうちの警視総監が対神のボスに借りがあるらしくてねその借りを利用してカンナビくんを無罪にし、対神がもらうって事でチャラになったんだ」
つまり俺は対神の借りをなくすために差し出された生贄ってことじゃん。重犯罪者にも人権はあるんだぞ。
「今から対神本部に向かうけど抵抗しないでくれよ・・まあ、麻酔打つから抵抗できないと思うけど」
「お前には良い話し相手になってくれたからな、抵抗なんかしねぇよ、それよりお前の名前を聞いておきたいこれが最後になるかもだからな」
「アトリだ アトリ ブランド」
「話し相手になってくれてサンキューなアトリ」
「こっちも暇しなかったよカンナビくん、じゃあおやすみ」
俺の意識はここで飛び、眼が覚めた時にはトラックらしきものの荷台だった。




