夫婦喧嘩
「秋道流執事術」
「どっせい!」
銀のトレーがへし折れ、壁に叩きつけられる。
「ぐっ」
「なーにが、執事術だぁ?暗殺者」
「だから、落ち着いてって」
「ラブリーコロシアムは、参加者が少なくなってくると足切りが行なわれる。よぉは、雑魚狩りだ。大道寺の犬どもが。」
「そんないいかた」
「事実だろうが。なぁ、執事長。らぁ!」
「…落ち着けっての…大道寺流暗殺技闇祓い」
サングラさんの衣服が弾け飛ぶ。ハイレグを着用したおっさん。後ろの意識が朦朧とした少女たちは、失神した。
「くそ。少女たちには、刺激が強すぎたか」
「見るも耐えないおっさんの際どい半裸なんか、誰もが失神すんだろうが」
「失敬な」
「あんたの魅力に気づいてやれんのは、あたしだけだよ」
「じゃあ、その殺気の籠った拳を収めてくれないかな。このままじゃあ互いに無傷じゃあすまなくなる。このサングラさん。えくすたしーもーど♡の前ではな」
「いや、ハイレグ入ったおっさんがポーズキメてんのは、なかなかに来るな」
「サインならやらんぞ」
「いるかいっ!」
「夫婦喧嘩のルールは」
「最後に立った奴が勝ち」
「30秒」
「1分」
「40秒」
「「45秒」」
にじり寄るサングラさんの足をローキックで払う。飛び上がる旦那に拳をあわせる。
「ラブリー、マグナム!!」
音速を超える拳。パンという破裂音が遅れて聞こえてくる。周囲の瓦礫を吹き飛ばす。
「『空蝉』」
「衝撃を逃がしたか。相変わらず器用だな」
「いや、逃がしてないさ。『万華鏡』」
かかと落とし。エネルギーを帯同し、かかとの一点に集中。反射する。
「ぬ」
腕をクロスにして、受け止める。パン、という破裂音。床に一気に亀裂がはいる。
「ダーリン、てめぇ。あたしの技を」
「返させてもらった。てか、さっちゃん、君も」
「お互い様だ。」
右足から、衝撃を床に逃がすことで、耐える。
「乱打はどうする、ラブリーマシンガンズ」
「秋道流テーブルクロス術『闘牛士』」
特殊合金製の布を広げ、拳をいなす。
「大道寺流暗殺術『闘牛堕とし』」
ひらひら舞う布で、拳をいなしつつ、接近し、素早く布を2人に巻き付ける。
「あ、かは、てめぇ」
「これだけ接近されたら、君も動けまい。」
「ハンサムが台なしだぜ?ダーリン」
いくらいなしていても、数発入った拳で顔面はタンコブやら出血やらでめちゃくちゃだった。
「だれが。ボコボコにしたのやら。悪いねハニー話を聞いてくれ、僕たちの息子がピンチなんだ」
「そっちも大事だが、てめぇは言うことあるだろ」
「遅くなってごめんね、ハニー」
「もう、寂しかった」
「なんだこれ」
目を覚ましたら、中年夫婦喧嘩がカーテンでぐるぐる巻きになってイチャイチャしてんだが。
「隊長、どうしますか。」
「あ、あー、」
考えるのをやめた




