モモ
水族館のエリアを少しづつ進んでそれらしい人影は見当たらない。ショーもおわり人が増えてきた。
「妹さんのお名前は?」
「四日月 モモさ」
「ん?どこかで聞いたような気がするにゃ」
「わかった!すぅぅう!」
まてまてまて、お嬢様!お前まさか。椅子に飛び乗り、いっぱい息を吸う。
「よぉっかげぇつぅもぉもぉ!いたら、返事しなさぁあああい!」
馬鹿でかい声が水族館に響く。
「よし!いないわね!次のエリアにいくわよ!」
「ば、ばか!水族館ででっかい声出したら、だめだろうが!」
耳がキンキンする。
「お、お客さま、館内ではお静かに!」
「す、すみません、はやく行くぞ」
「わたしに、向かってバカなんて」
「あははは!お前おもしれーな」
「身長だけじゃあ、分からないけど、どんな子なんですか?」
「おっと、悪いね、少年。たしかに背丈だけじゃあ、分からないよな。ピンク色の髪で、いっつも、どっか髪が跳ねていて。服装は大人しめのゴシックロリータな服よく着てるな。今日もそうだった。んーあーあと、あいつは重度のラブリーズヲタだ」
「ラブリーズヲタ?」「おさかなきれい」
お嬢様はスイッチが入ってしまった。彼女は特にきもとめなかったようで、話を続ける。
「あぁ、いつからハマったんかはしらないけど、なんでそんなこと知ってんのかってことまで知ってるんだ。ラブリーピンクの引き継ぎ式では号泣してたな。」
「あー!四日月モモって、もしかして、……三歌月モモと関係あるのかにゃ?!いま放送中のTVシリーズラブリーズω ラブリーズピンク役の芸能人!!」
「んあ?そうだよ」
「あわわわ。なんか違うって思っちゃったにゃ。失礼だったにゃ!」
「違和感感じたなら、あながち間違いじゃあないさ。あいつがなりたいのは、ラブリーズ役じゃなくて、ラブリーズだからな」
「?お姉さんは何者なの?」
「わたしは、ちいさな芸能事務所の社長さ」
「貴方の『愛』はなに?」
「はぁ?何を言ってるんだ?」
唐突にラブリーピンクはそう言った。
「あなたの『愛』!そう、愛する心!ラブリーズに変身できるのなら、『愛』がないと、ラブ リーズなんだから。ラブリーピンクは【みんなへの愛】ラブリークリムゾンは【姉妹愛】。ラブリーツリーは【自然への愛】。全てのラブリーズに愛がある。」
「愛なんて知らないね!」
「あなたの願いは?」
「いまから、脱落するあんたに話してどうするってーの?ラブリーズの報酬で何でもかなえられるでしょう?大人しく証を渡しな」
「……ラブリーミコ。年齢は17歳。ラブリーメコとの双子ラブリーズとして3年前にデビュー。」
「は?なんだよ」
「実年齢は22歳。メコとの人気差に悩む。飼っている犬はゴールデンレトリバー。名前はおいなり。散歩に出かけるのは早朝。寂しさを紛らわせるため溺愛している。ペット可能のマンションに引越している。部屋の番号は705号室。暗証番号は1050。」
「え、、な、」
「間取りは2LDK。」
「ひ」
「そうだ、わたしのスマホの写真フォルダを見てくださいよ。顔認証で開けて。1週間前の写真」
そこには、笑顔で自分のマンションで愛犬と映るモモの写真があった。
「え、いなちゃん、なんで、こいつと、」
「いやぁ、可愛かったですよ。おきにいりの黄色い鳥のお人形であそびました。あなたの愛は【ペットへの愛】ですかね?」
「す。すみませんでした。ゆ、ゆるしてください」
「んー、ラブリーズは正義のヒーローです。何をすべきかわざわざ言わないと、、、いけませんか。」
「あ、あなたを狙うのをやめます。」
「で?」
「わ、わたしの集めていた証もわ、わたします。」
「で?」
「ひ、」
「はぁ、察しが悪いですね。夏海さんに絡んでる妹さんも止めてくださいね。あの子もラブリーズの素養があります。まだ、紅蓮の影武者ですが、そのうちほんとにラブリーズになりそうです。……はぁ、まったく、私はこんなに善行を積んでいるのになんでラブリーズになれないのかな。」




